ヨウ素の過剰摂取は身体によくない?

更新日:2016/12/09 公開日:2016/07/26

ミネラルの種類(8)ヨウ素

日本は海に囲まれ、普段の食生活で十分にヨウ素を摂取しており、ヨウ素が欠乏することはあまりありません。一方、ヨウ素を摂り過ぎると、健康に支障をきたすことがあります。ヨウ素の過剰摂取について、栄養療法専門医師の監修の記事で解説します。

ヨウ素は、海藻類や魚介類に豊富に含まれています。日本人の食生活では、ヨウ素が含まれている食品を摂る機会が多くあり、十分なヨウ素を摂取していることが多いです。そのため、習慣的に海藻類を食べる方では、ヨウ素が過剰になることがあります。ヨウ素が過剰になると、どうなるのでしょうか。

ヨウ素を過剰摂取するとどうなるの?

ヨウ素は、海藻類や魚介類など、ヨウ素を含む食物を食べることで摂取できる栄養素です。基本的には、ヨウ素を含む食物をたくさん食べて、一時的にヨウ素が過剰になったとしても、不必要なヨウ素は尿中に排泄されています。また、ヨウ素を材料に甲状腺ホルモンが身体の中で作られるのですが、ヨウ素をたくさん摂ったからといって、甲状腺ホルモンが多量に作られるわけではありません。甲状腺ホルモンが作られ過ぎないように、調節機能が働くしくみになっています。

しかし、便秘予防やダイエットを目的として、根昆布水を飲んだり、低カロリーのもずく、ひじき、おしゃぶり昆布など、ヨウ素を多く含む食物を習慣的に食べ続けたりすると、ヨウ素の過剰摂取の影響が出る場合があります。ヨウ素が長期間過剰になった場合、甲状腺ホルモンが作られ過ぎないように、一時的に甲状腺ホルモンを作る機能が抑えられます。甲状腺が健康な場合には、その後甲状腺ホルモンを作る機能は再開しますが、もともと、甲状腺になんらかの病気がある方では、甲状腺に障害がおこり、甲状腺機能低下症を発症することがあります。むくみや全身の倦怠感、便秘、体重増加などの症状が現れたり、生理が止まったりすることがあります。重症の場合には、甲状腺腫になる方もいます。

特に、甲状腺炎は女性の方に多く、無症状の方の割合が高いといわれています。健康目的でヨウ素が多く含まれている食品や、ヨウ素を加えたサプリメントを長期間摂りつづけると、思わぬ影響が出ることがあるので注意が必要です。

ヨウ素の一日の上限量について

健康を保つために必要なヨウ素の量は、日本人の食事摂取基準2015年版によると130μg(マイクログラム)と定められています。それに対して、日本人の食事からのヨウ素摂取量は平均1,000~3,000μgと推定されており、日ごろの食生活で十分にヨウ素の必要量を満たしていることがわかります。同じく健康を害さない最大限のヨウ素の量は、18歳以上の成人男女ともに、1日3,000μgと定められています。日ごろの食事から摂っている量から考えても、ヨウ素を多く含む食物を長期間継続して摂ると、甲状腺の機能に障害が起こる可能性があることを、頭の隅に留めておくとよいでしょう。

最後に・・・

食生活から塩分を除き、昆布のような海草を食べない完全菜食主義者は1日150μgの摂取が有用でしょう。ヨウ素サプリメントが必要であると主治医が勧めた場合、治療で用いる量は150~300μgです。

高用量(1日数mg)のヨウ素は正常な甲状腺機能を阻害します。リチウム、メチマゾールやプロピルチオウラシルなどの抗甲状腺薬を服用している人は、主治医との相談なしにヨウ素サプリメントを服用してはいけません。

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