ばね指になってしまう原因とは

更新日:2016/12/09

ばね指の基礎知識

ばね指を引き起こしている原因に関しての情報を、ドクター監修のもと、こちらの記事にわかりやすくまとめています。指の構造や炎症が起きやすい状況、発症しやすい人の特徴についても解説しています。

ばね指は手を酷使することで発症しやすくなる病気です。なぜ手を使いすぎることがばね指を引き起こすのか、指の構造やばね指が起こる理由、発症しやすい方の特徴をあわせて、こちらで解説します。

指の構造

指を曲げるために必要な腱(屈筋腱=くっきんけん)を保護するために、腱の表面は滑膜性腱鞘(かつまくせいけんしょう)という薄い被膜で覆われています。この滑膜性腱鞘に包まれた腱が指の曲げ伸ばしの際に骨から離れすぎないよう、骨に沿う通り道を作り出し、押さえつけているのがトンネル状の厚い繊維でできた靭帯性腱鞘(じんたいせいけんしょう)で、滑膜性腱鞘に覆われた腱が靭帯性腱鞘の中を滑るように動くことで安定してスムーズに指を曲げ伸ばしできるようになっています。指を動かす際には、滑膜性腱鞘は常に靭帯性腱鞘と直接触れ合っており、摩擦をくりかえしている状態ということになります。

ばね指の病態

滑膜性腱鞘または滑膜性腱鞘と靭帯性腱鞘の両方が炎症を起こし、厚みを増してしまうこと(肥厚)が原因でばね指は発症します。靱帯性腱鞘を通れなくなっても指を曲げよう(伸ばそう)という腱の力を働かせると、トンネル(靱帯性腱鞘)の入り口部分で腫れて肥厚した滑膜性腱鞘が引っかかり、ばねを無理やり縮めたような状態になります。さらに力を加えるか、もう片方の手で指を伸ばすと、この肥厚した部分がトンネルを少しずつ通過していきます。通過中は狭い中を無理やり通るためにゆっくり動きますが、出口まで到達すると今度は勢いよく飛び出します。それまで縮めていたばねから手を放すと、一気に元の状態に戻るばねのような動きをすることから、ばね指と呼ばれています。

滑膜性腱鞘・靱帯性腱鞘が肥厚する原因

滑膜性腱鞘や靭帯性腱鞘が肥厚する主な原因は、互いへの摩擦のくりかえしによるものです。手を使いすぎると何度も靭帯性腱鞘の中を滑膜性腱鞘に包まれた腱が通るため、過度な摩擦が起こります。熱を持ち、さらに摩擦をくりかえすことで炎症に発展してしまうのです。

女性の場合は、加齢や出産でホルモンバランスが崩れ、血流が悪くなります。手の血流が悪くなると腱鞘が狭くなり、腱や腱鞘が緊張状態となりやすくなります。腱や腱鞘の摩擦が強くなることで炎症や肥厚へとつながり、ばね指が起こりやすい状態となります。

ばね指が起こりやすい方の特徴・病気

ばね指を発症しやすい方の特徴を以下にあげています。この特徴に当てはまる方は今後ばね指を発症する可能性があるため、生活の改善や注意が必要です。

  • 指先を酷使している方
  • 妊娠~出産後の状態にある女性
  • 閉経後や更年期の女性
  • 腱が短く、緊張状態にある方

妊娠や出産後、閉経後や更年期にさしかかる女性の方はホルモンバランスがくずれやすいため要注意です。女性のばね指に影響しやすいものとして女性ホルモンのエストロゲンやプロゲステロンがあげられます。

エストロゲンには、腱や腱鞘を柔軟に保つ効力や血管を拡張する作用があります。妊娠や更年期を迎えることにより減少するため、腱や腱鞘の柔軟性が低下したり、血管が萎縮し血行が悪くなり、ばね指を引き起こしやすくなります。

プロゲステロン(黄体ホルモン)には、産後、出産のためにゆるんだ子宮や骨盤を元に戻す効果があります。 そのために、腱鞘を収縮させますが、ホルモンは全身に影響します。 出産と関りない手の腱鞘も狭くなり、腱と摩擦を起こしやすくなります。また、食生活やストレスなどで自律神経が乱れてしまうことで、血液の流れが悪くなり、緊張状態にあると腱鞘部分の摩擦が大きくなります。

習慣的、年齢的な理由に加え、ばね指は別の病気が影響して起こることもあります。主な原因として考えられている病気には以下のようなものがあります。

  • 関節リウマチ
  • 結核
  • 細菌感染
  • 糖尿病
  • 人工透析を受けている

関節リウマチ、結核、細菌感染は化膿性腱鞘炎(かのうせいけんしょうえん)を引き起こす原因となります。化膿性腱鞘炎を引き起こした結果、ばね指の症状に発展する危険があります。糖尿病を患っている方や、人工透析を受けている方もばね指を発症することがあり、注意が必要です。

これらの病気を併発している場合は、ばね指の治療も慎重に行わなくてはなりません。たとえば糖尿病患者の場合、使用する薬剤によっては血糖値が上がる危険もあるため、専門医に事前に相談しておくことが重要です。

ばね指にならないための予防法

ばね指を発症しないためには、手を酷使しないように注意することが重要です。日ごろから手をよく使用する場合は休憩を挟むようにしましょう。少し手を使いすぎたというときは、アイシングで熱を冷ましましょう。また、腱や腱鞘が緊張状態にならないようストレッチを行うことや、血行をよくするために簡単な手の体操を行う事も効果的です。

糖尿病など持病がある方は、早期治療を心がけましょう。ばね指の原因となる習慣や病気を見直すことで、発症の予防につながります。ばね指の予防法については、別の詳細記事もご覧ください。さらに詳しく解説しています。『ばね指にならないための対策、予防法』