上肢の痺れ、痛みの原因!?胸郭出口症候群とは?

更新日:2016/12/09

胸郭出口症候群の基礎知識

胸郭出口症候群とは、手・腕などの上肢のしびれや、肩・肩甲骨周辺に痛みが生じるなどの感覚障害、握力の低下や細かい作業がしにくくなるなどの運動麻痺といった症状が現れます。胸郭出口症候群についてドクターの監修記事で解説します。

上肢や両手がしびれ、肩や肩甲骨あたりに痛みが生じる場合は、胸郭出口症候群が疑われます。胸郭出口症候群になると、主に神経や血流の障害によってしびれや痛みが生じます。締め付けや圧迫される部位によっては斜角筋症候群、肋鎖症候群、小胸筋症候群(過外転症候群)と呼ばれますが、総称して胸部出口症候群といいます。胸部出口症候群はどのような症状が出るものなのでしょうか。原因や治療方法についても解説していきます。

胸郭出口症候群とは

つり革につかまる、洗濯物を干すなどの腕をあげる動作をすると、腕や手のしびれや、腕、肩、肩甲骨周辺に痛みが生じます。腕や手がしびれる病気はいくつかありますが、胸部出口症候群では肩や肩甲骨のあたりの痛みと、上腕のしびれをともなうことが特徴的です。

胸郭出口症候群の症状:感覚障害

手の小指から肩に向かって、前腕の小指側をなんとなく沿うように、しびれ、刺すような痛み、疼くような痛み、腕の重だるさ、発熱感、しみるような冷感などの感覚障害が現れます。

胸郭出口症候群の症状:運動障害

胸郭出口症候群では、握力の低下や、手や指がうまく動かず細かい作業がしにくいといった運動麻痺の症状がみられます。これは、腕に行く血流だけでなく神経も圧迫されているためで、進行すると手の甲の骨の間がへこみ、手のひらの小指側のもりあがった部分がやせてきます。

また、鎖骨の下付近にあって頭や腕をつなぐ動脈(鎖骨下動脈)が圧迫されることで、血行が悪くなり、腕が白くなることがあります。それから、静脈血の流れが悪くなって、手や腕が青紫色になったりします。

胸郭出口症候群の原因

胸郭出口症候群は、鎖骨から上腕、前腕、手へつながる神経の束(腕神経叢/わんしんけいそう)と、鎖骨の下付近にある動脈(鎖骨下動脈)が、締め付けられたり圧迫されたりすることで起こります。締め付けられる部位によって、斜角筋症候群、肋鎖症候群、小胸筋症候群(過外転症候群)と呼ばれますが、これらを総称して胸郭出口症候群といいます。

斜角筋症候群

頸椎の前側にあって、首を曲げたり伸ばしたりするための筋肉(前斜角筋・中斜角筋)の間が圧迫されている場合は、斜角筋症候群と診断されます。

肋鎖症候群

鎖骨と第1肋骨の間にある肋骨間隙という部位が圧迫されている場合は、肋鎖症候群と診断されます。

小胸筋症候群(過外転症候群)

小胸筋にある肩甲骨烏口突起停止部という部位の後方が圧迫されている場合は、小胸筋症候群(過外転症候群)と診断されます。

胸郭出口症候群の診断

上肢のしびれや、肩や肩甲骨周辺に痛みがあって、なで肩の女性や、重い荷物を運ぶ仕事に従事する労働者であれば、胸郭出口症候群が疑われます。触診で、鎖骨の上の頸椎あたりの骨に隆起がある場合は、胸郭出口症候群の主原因の1つである「頸肋」の可能性があります。また、腕神経叢部といわれる首筋付近は、神経の集まる部分を押すと上肢に痛みが走ります。胸郭出口症候群の診断には、似たような症状が出る頚椎椎間板ヘルニアや頚椎症、肘部管症候群などではないことを確認する必要があります。

胸郭出口症候群の予防・治療

胸郭出口症候群を予防するには、重い荷物を持ち運んだり、上肢をあげたりする行動をなるべく避けることが重要です。もちろん、これらは日常生活で必要になる動作ですので、できる範囲でかまいません。軽度の治療には、上肢の付け根や肩甲骨周辺の筋肉を強化する運動を行います。また、血流をよくする血流改善剤やビタミンB1、消炎鎮痛剤なども投与されます。症状が重い場合や頸肋がある場合は、手術が行われることもあります。