神経圧迫や血流障害を緩和する、胸郭出口症候群の治療法

更新日:2016/12/09 公開日:2016/09/15

胸郭出口症候群の基礎知識

胸郭出口症候群は、腕のしびれや肩甲骨周辺に痛みが生じるなどの感覚障害を起こします。治療には、筋肉を強化する方法や、原因を取り除く手術などが用いられます。胸郭出口症候群の治療法について、ドクター監修の記事で解説します。

胸郭出口症候群の治療には、症状の重さによって、投薬と並行して筋肉を鍛える方法や、手術をするなどの方法が選択されます。また、手術を行う場合は、部位に応じた手術法が取られます。胸郭出口症候群にはどのような治療法があるのか、詳しくみていきましょう。

胸郭出口症候群とは

つり革につかまる、洗濯物を干すなどの腕をあげる動作をすると、腕や手がしびれたり、腕、肩、肩甲骨周辺に痛みが生じたりします。その原因は、鎖骨や肩甲骨周辺の肩甲帯にある神経や血管が圧迫されるために起こると考えられています。やせていて首が細いなで肩の女性、がっしりしていて首が太く筋肉質の男性、重いものを運搬する職業につく労働者などに多くみられます。

詳しい症状については、『胸郭出口症候群の症状とは』をご覧ください。

胸郭出口症候群の治療法

胸郭出口症候群の治療法は、重症度によって選択肢が異なります。症状が軽い場合と重い場合のそれぞれの治療法について、解説します。

症状が軽度の場合

腕、肩甲骨、鎖骨などの肩甲帯といわれる部分をつり上げている、僧帽筋や肩甲挙筋を強化する運動が効果的です。安静時にも、肩を少しすくめたような姿勢をとると負担が軽減されます。肩甲帯が下がると症状が悪くなる場合には、肩甲帯を上げる装具を用いることもあります。痛みや炎症を抑える消化鎮痛剤や、血流をよくする血流改善剤、ビタミンB1などを併用することもあります。

症状が重度の場合

症状が重い場合は、手術で原因を取り除きます。手術は頸肋(けいろく)がある場合と、圧迫される部位や状態によって方法が異なります。

・頸肋

第7頸椎、または第6頸椎のあたりに、頸肋とよばれる隆起した骨がみられる場合は、鎖骨の上から進入して原因となる骨を取り除きます。

・部位が斜角筋間の場合(斜角筋症候群)

頸椎の前側にある首を曲げたり伸ばしたりする筋肉、前斜角筋と中斜角筋の間で圧迫されている場合は、鎖骨の上から進入して前斜筋腱を切り離します。また、肋鎖症候群と見分けるのが難しい場合は、同時にその原因となる第1肋骨を切除します。

・部位が肋鎖間の場合(肋鎖症候群)

鎖骨と第1肋骨の間にある肋骨間隙という部位が圧迫されている場合は、第1肋骨を切除します。鎖骨上から進入する手術法と、わきの下から進入する手術法があります。

・部位が肩甲骨烏口突起停止部(小胸筋症候群/過外転症候群)

小胸筋にある肩甲骨烏口突起停止部という部位の後方が圧迫されている場合は、鎖骨下から進入して小胸筋腱を切り離します。

胸郭出口症候群の予防

症状が軽いうちに、症状を悪化させる行動を控えるなどの予防策をとることも大切です。なるべく上肢を上げるような動作や姿勢を取らない、重い荷物を持ち上げない、リュックサックのベルトのように胸や脇を締め付けていないかなど、普段から気をつけるようにしましょう。