発熱や全身倦怠感をともなう血管炎症候群とは?

更新日:2016/12/09 公開日:2016/10/24

血管炎症候群の基礎知識

血管炎症候群を発症すると高熱を出し、倦怠感が続くだけでなく、筋肉痛、関節痛、体重減少が出現したり全身の臓器へ影響を与えます。ここでは、ドクター監修の記事で血管炎症候群の基礎知識について説明します。

血管炎症候群は血管炎の総称であり、炎症が起きた血管のサイズによってそれぞれの症名が付けられています。また、血管炎で起こる発熱や全身の倦怠感、筋肉痛、関節痛といった症状は他の病気でも見られるため、初診の際に、感染症、悪性腫瘍、膠原病といった病気の可能性を除外したうえで、診察する必要があります。

アジア人に多く見られる血管炎症候群

血管炎症候群は、全身に見られる症状と各臓器に見られる症状に大別できます。全身症状は38~39℃の高熱を発するケースが多く、高熱が続くと体重が減少します。筋肉痛、関節痛や脱力感、全身の倦怠感など、漠然とした症状を訴える人が多いのも特徴です。

臓器に起こる症状は、臓器に虚血や出血が起こり、同時に複数の臓器で症状が見られる場合もあれば、順次発症する場合もあります。人体には大小さまざまな血管が張り巡らされていますが、炎症を起こした血管のサイズによって症状に差が見られます。

今のところ、発症の原因は特定できていません。しかし、症状によっては性差があり、その他の地域と比較してアジアや中近東国で多く発症していることから、病気の発症には人種の違いによって差異が生まれることが判明しています。

大中小の血管サイズによって異なるさまざまな血管炎

血管炎症候群は、炎症の起きた血管の大きさによって、大型血管炎(大動脈とその主要分枝)、中型血管炎(内臓臓器に向かう主要動脈とその分枝)、小型血管炎(細動脈、毛細血管、細静脈)に分類されます。代表的な血管炎と炎症が起こる血管について説明します。

高安動脈炎(大動脈炎症候群)

大型血管炎の代表格でもある高安動脈炎は、大動脈とその基幹動脈、冠動脈、肺動脈で発症します。かつての研究によって報告された症例では、世界的に見てアジア、中近東で症例が多く、日本では、主に若い女性に見られるのが特徴です。血管の炎症による痛みと、血管の閉塞による血流障害が見られ、末期には動脈内膜の肥厚、そして動脈外膜の硬化(線維化)と虫食い状態が確認できるようになります。基本的にはステロイド療法や免疫抑制剤を試みますが、難治例に対して生物学的製剤が有効だったという報告もあります。大血管や心臓に血流障害が進行した場合には血行再建や心臓弁膜症に対して手術を要する場合があります。

バージャー病

中型血管炎にあたるバージャー病では、四肢末梢の動静脈に血栓性閉塞が見られます。主に20~40代の男性に多く見られる病気で、罹患した人の多くが喫煙者であることもわかっています。バージャー病の患者は、1970年代後半を境に減少しています。

喫煙は血管のけいれんや硬化を引き起こすことがありますが、血栓によって全身の血流が悪くなると、手足のしびれ、皮膚の変色といった症状が起こり、末期には、歩行困難になるほどの痛みを感じたり、皮膚潰瘍や壊死に至ることもあります。

ANCA関連血管炎(顕微鏡的多発血管炎・多発血管炎性肉芽腫症・好酸球性多発血管炎性肉芽腫症)

代表的な小型血管炎で、細小動静脈や毛細血管が炎症を起こし、血管が壊死してしまう病気です。特に顕微鏡的血管炎は海外と比較して日本人によく見られる症例で、発症の性差はないものの、50歳以上など、高齢者に比較的多く見られるのが特徴です。症状としては、発熱、倦怠感に加え、関節痛、手足のしびれなどが見られます。初期の段階では、臓器への影響は見られないものの、やがて進行すると高血圧や蛋白尿などの腎機能低下といった症状や、せき、息切れ、血痰などの呼吸器症状や狭心症、心筋症、心臓弁膜症などの心血管病変を合併することがあります。血管炎症候群の多くは原因不明かつ治療が難しいといわれており、今回説明した3つの血管炎は、いずれも厚生労働省の特定疾患(難病)にも指定されています。体調不良が続くようでしたら、早急に診療機関を受診して治療を行いましょう。