血管炎症候群の治療法について

更新日:2016/12/09 公開日:2016/10/24

血管炎症候群の基礎知識

自身、もしくは家族が血管炎と診断された場合、症状が全身に広がる傾向が強いこともあって、果たして完治するのかと多くの方が治療に不安を持つかと思います。ここでは、ドクター監修の記事で、血管炎の治療法について解説します。

血管の炎症により、発熱や全身の倦怠感といった症状が出る血管炎症候群ですが、早期に適切な治療を行えば、多くの人が普段通りの生活を取り戻せます。

ステロイド剤による治療が基本

多くの血管炎治療に対して、もっとも有効とされているのが副腎皮質ステロイド剤の投与です。副腎皮質ステロイドとは、腎臓の上端にある副腎から分泌されるホルモンの一種で、人体から生成された物質を薬に応用したものです。しかし、全ての薬に言えることではありますが、ステロイド剤にも、糖尿病、感染症、消化性潰瘍、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)、高血圧、緑内障といった副作用が現れる可能性があるために服用には注意が必要です。

血管炎の原因は自己免疫異常と言われますが、その免疫を正常化させるためにシクロホスファミド、アザチオプリン、メトトレキサートといった免疫抑制剤や生物学的製剤が使用される場合もあります。いずれも高い有効性がある薬剤ですが、副作用が出現する可能性があります。また、薬の種類によっては保険が効かないものもあるため、医師と相談したうえで処方を決める必要があります。

緊急性があり手術に踏み切る場合も

血管の炎症により血管の拡張や閉塞、心臓弁膜症、大動脈瘤の破裂などの合併症がある場合は、外科手術に踏み切るケースもあります。

生活習慣の改善から始める症例も

血管炎には、バージャー病という、血栓によって手足のしびれや運動障害を起こす症状が現れる場合があります。バージャー病は、20~50代の男性で喫煙者に多く症状が見られることから、禁煙の励行、歩行訓練や運動療法を行うのが一般的です。1970年代後半から患者数は減っているものの、いまだに国の特定疾病(難病)に指定されており、働き盛りの世代を直撃する病気であることからも、医師の指示に従って生活習慣の改善に努めましょう。

再発を防ぐための経過観察も重要

毛細血管など非常に微細な血管が炎症を起こす、小型血管炎という症状があります。このようなケースでもステロイド剤が投与されますが、さらに、重症の場合は免疫抑制剤や血しょう交換療法を試みられることもあります。

血しょう交換療法とは、血液中の病因物質を除去するため、血液中の血しょう(赤血球、白血球、血小板を除いた液体成分)のみを分離し、浄化させた後、再び血管に戻す療法です。血しょう交換療法によって症状が和らいだ場合はステロイド剤の量を減らし、副作用の弱い他の免疫抑制剤に切り替えて1~2年間維持療法を試みますが、この間に血管炎が再発する可能性も考慮して、経過観察する必要があります。症状の再発や、後の感染症のリスクなどもあるため、治療が終わったからといって油断せず、定期的に病院で診察しましょう。