皮膚に異変が起きる血管炎症候群

更新日:2016/12/09 公開日:2016/10/24

血管炎症候群の基礎知識

いつの間にか体中にあざができている、といった経験をされた人がいるかもしれません。あざは血管炎症候群で皮膚に現れる代表的な症状のひとつです。ここでは、血管炎の皮膚への影響について、ドクター監修の記事で解説します。

皮膚にあざのような紫斑を起こす血管炎は、障害が起きる血管のサイズが細小血管のために小型血管炎に分類されており、その代表的なものが顕微鏡的多発血管炎です。

目に見えない血管に忍び寄る炎症

顕微鏡的多発血管炎は、各臓器の血管に張り巡らされている細小動静脈や毛細管などが炎症し、血栓を形成して出血を起こし、最終的には血管を壊死させてしまう症状です。初期症状としては、他の血管炎と同様に発熱や全身の倦怠感といった体調不良から始まり、後に筋肉痛、関節痛、皮膚に異変が現れます。障害が起きている血管が内出血を起こすため、皮膚上に紫斑が見られます。日本では年間約1,400人の発症が確認されており、欧米諸国に比べてその発症率が極端に高くなっており、年齢別で見た場合、比較的高齢者に患者が多いことがわかります。

血液検査により病気が判明する

顕微鏡的多発血管炎の詳しい原因はわかっていませんが、患者の検査結果を見ると、好中球細胞質に含まれる酵素(ミエロペルオキシダーゼ)に対抗する自己抗体が検出されており、一種の免疫異常であると考えられています。血管炎症候群は、炎症が起きた血管の大きさによって、大型血管炎、中型血管炎、小型血管炎に分類されます。動脈などの大中型の血管炎は、X線やCTなどの造影検査によって発見できますが、顕微鏡的多発血管炎のように微細な毛細管で起きる炎症は造影検査での発見が難しく、小型血管炎を発見するためには血液検査を実施して場合によっては生検(組織の検査)が必要になる場合があります。

顕微鏡的多発血管炎の治療法

顕微鏡的多発血管炎の治療方法は、炎症の活動を抑えるためにステロイド剤と免疫抑制剤のシクロホスファミド、アザチオプリン、メトトレキサートを投与します。これを寛解導入療法と呼びます。重症の場合は、血液中の病因物質を取り除く目的で血しょうのみを体内から抽出し浄化する、血しょう療法も行うことがあります。いずれのケースであっても、治療によって快方に向かった場合はステロイド剤を減らしていきます。そして、免疫抑制剤を用いた療法で寛解を維持します。

その他の小型血管炎

小型血管炎の中には、自己抗体の異常以外にも、免疫複合体(抗原・抗体の集まり)の大量増加により血管炎が発症する場合もあります。

ヘノッホ・シェーンライン紫斑病

ヘノッホ・シェーンライン紫斑病は、薬剤・食物のアレルギーが関与しており、4~7歳の児童に発症することが多く見られるのが特徴です。症状としては、皮膚紫斑の他、関節痛、腹痛、嘔吐、血便、それ以外にも合併症として腎炎が引き起こされる場合もあります。治療は主に抗生物質の投与によって行われます。死亡率も1%未満と、比較的軽度な血管炎です。

本態性クリオグロブリン血症

免疫物質であるクリオグロブリンが血中で増加することで引き起こされるのが、クリオグロブリン血症です。現在は、C型肝炎ウイルス感染症や膠原病などと深く関連していることがわかっていますが、発症は約10万人に1人と極めてまれな病気です。症状としては、紫斑、関節痛が主なものですが、レイノー現象(寒さにより指先が変色する現象)も見られることから、防寒対策は必須です。

悪性関節リウマチ

悪性関節リウマチは、関節の炎症とともに血管炎による肺、心臓、腎臓などの臓器の障害が強く見られます。現在、日本では特定難病疾患に指定されており特定疾患医療受給が受けられます。患者数は推定4,200人ほどで、高齢男性が多く発症しています。合併症として、感染症、消化管潰瘍、悪性腫瘍を発症する例が多く、予後の死亡率も43%と極めて危険な病気と言えます。

皮膚に起こる異常は発見しやすいものですが、血管炎の場合はすでに進行した状態で病気がわかることになります。このような異変が見られる場合は、早急に診療機関で診察を受けてください。