摂りすぎに注意!カフェイン摂取量の目安とは

更新日:2016/12/09 公開日:2016/11/17

カフェインの基礎知識

適量なら、眠気覚ましや疲労回復に役立つなどの効果が期待できるカフェインですが、摂り過ぎは身体に悪影響を及ぼします。愛飲者の多いコーヒーや紅茶などは、どの程度の量なら安心でしょうか。ドクター監修の記事で解説します。

毎食後、仕事の合間、寝る前のリラックスタイムなど、つい飲み過ぎてしまうカフェインが入った飲み物ですが、習慣化して摂りすぎると、どのような影響があるのでしょうか。カフェインの作用などについて見てみましょう。

カフェインの作用

カフェインは、コーヒー豆や茶葉、カカオ豆などに天然に含まれている食品成分の一種で、コーヒー、紅茶、緑茶だけでなく、コーラや栄養ドリンクなど多くの飲料に含まれています。カフェインには、中枢神経興奮作用、強心作用、利尿作用、平滑筋弛緩作用などの働きがあります。適量のカフェインは、精神的にも身体的にも仕事の効率を高め、疲労をやわらげ眠気を覚ましますが、大量に摂取すると、不整脈、不安、興奮、不眠、幻覚、ふるえなどの問題が起こることもあります。

カフェイン摂取量の目安

日本では、カフェイン摂取量に関して国が明確な基準値を設けているわけではありませんが、海外の研究機関のデータを見てみると、2015年に公表された欧州食品安全機関(EFSA)のカフェインの安全性に関する科学的意見書では、1回の摂取につきカフェイン200mg(約3mg/kg体重)以下、1日あたりでは400mg(約5.7mg/kg 体重/日)以下なら、健康な成人であれば安全上の懸念はないとしています。カップ1杯(200mL)でのカフェイン含有量は、コーヒーなら約120mg、紅茶なら約60mg、ほうじ茶なら約40mg、玄米茶なら約20mgです。栄養ドリンクや目覚め効果をうたったドリンクには、1缶あたり約30~180mgのカフェインが含まれています。

カフェインの致死量

カフェインの致死量を、半数致死量(LD50)という化学物質の毒性の指標で示すと、約11gとなります。この数字は、動物実験をヒトにあてはめたものですが、コーヒー1杯(200mL)のカフェインを約120mgとすると、約91杯となります。コーヒーや紅茶を、普通に飲む限りは、カフェインのリスクはまず受けないと考えてもよいでしょう。ただし、カフェイン入りの栄養ドリンクを飲んだ後に飲酒するような場合には注意が必要です。含有量によっては、アルコールによる酔いをカフェインの興奮作用が隠すことがあります。また、カフェインもアルコールも利尿作用があるため、意識しないうちに脱水症状を起こすことがあるからです。

カフェインを摂りすぎた場合の悪影響・リスク

カフェインは適度に摂取すると、眠気の抑制、頭痛の緩和、筋肉疲労の回復などのメリットがあります。一方、摂り過ぎによるデメリットは、短期的には、睡眠障害や不安などの中枢神経関連の問題です。中枢神経系の刺激によるめまいや心拍数の増加、 興奮、不安、ふるえ、不眠などがあげられます。消化管系の興奮状態として、下痢や吐き気をもたらすこともあります。長期的な影響としては、心血管系の問題や中枢刺激作用による睡眠の問題があげられます。心血管系の問題は、心拍数を増加させ、血圧を上昇させるため、身体は常に興奮状態となり、自律神経のバランスが崩れて、だるさなどが続きます。

睡眠については、コーヒーなどでカフェインを大量に摂る人が慢性的な睡眠不足となり、睡眠不足による気力低下や疲労感を解消するために、日中、さらにコーヒーを飲むという悪循環に陥る可能性があります。眠りにつきにくい、途中で目が覚めるなどの睡眠の質の低下は、健康や生活の質とも関わるため、気をつけなければなりません。

カフェインの摂取に特に注意が必要なケースとは

カフェインの摂取に特に注意が必要なケースとして、妊婦や授乳中の女性、子供などがあげられます。妊婦では、出生児が低体重となったり、自然流産のリスクがあるなどの理由から、欧州食品安全機関(EFSA)では、目安となる 最大摂取量(1日あたり200mg以下)を設定しています。授乳中の女性についても、母親がカフェインを摂取すると、母乳を介して乳児もカフェインの影響を強く受けるため、妊婦と同様に、最大摂取量を設定しています。子供については、1日あたり3mg/kg体重以下と設定しています。このほかに、カルシウムの摂取量が少ない人、貧血の人、肝機能が低下している人などがあげられます。カルシウム摂取量が少ない人がカフェインを摂取すると、カルシウムの体内からの排出率が増え、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)を発症する原因となる場合があります。また、カフェインには鉄分の吸収を阻害する性質があるため、貧血の人が摂り過ぎると貧血が悪化することもあります。肝機能が低下している人には、高血圧のリスクが高くなる可能性があります。

カフェインは、総合感冒薬や解熱鎮痛剤などの医薬品にも多用されており、上記のケースにあてはまる人は、服用前に必ず使用上の注意を確認することが望まれます。特に、胃潰瘍(いかいよう)やその既往歴のある患者、心臓病の患者、緑内障の患者には、症状を悪化させるおそれがあるため、より慎重に服用することがすすめられています。カフェインが含まれている飲み物は、毎日の気分転換に欠かせないという人も多いことでしょう。ですが、カフェインには中毒性があります。空腹時に大量に飲めば胃痛になったり、眠る前に飲めば不眠になることもあります。楽しく味わうために、適切な量を飲むようにしましょう。

薬との飲み合わせに注意

カフェインは、肝臓の代謝酵素シトクロムP450 1A2(CYP1A2)を阻害します。カフェインと同様にCYP1A2を阻害する薬剤、ヒスタミンH2受容体拮抗薬であるシメチジン、抗うつ薬であるSSRIのフルボキサミンを一緒に服用すると、お互いの効果が強く出てしまいます。逆に、ニコチン(タバコ)はCYP1A2を誘導するので、タバコを吸っている人は、カフェインが早く代謝されます。また、カフェインは、躁うつ病に使われる炭酸リチウムの吸収を妨げます。そのため、炭酸リチウム服用中の方がカフェインを急にやめると、炭酸リチウムの血中濃度が上がり、リチウム中毒を起こす可能性があります。