妊娠中のコーヒーは避けるべき?妊婦のカフェイン摂取

更新日:2016/12/15 公開日:2016/11/17

カフェインの基礎知識

コーヒーや紅茶などに含まれるカフェインは、妊娠中に摂取しても大丈夫なのでしょうか。妊娠中の母体や胎児の特徴を踏まえながら、妊婦さんのカフェインとの上手な付き合い方を、ドクター監修の記事で解説します。

妊娠中はあれもダメこれもダメと禁止事項が多いもの。カフェインもその1つですが、コーヒーや紅茶だけでなく、市販の風邪薬や解熱鎮痛剤にも含まれています。カフェインの安全性について見てみましょう。

妊娠時のカフェインの代謝

カフェインは、医薬品としても中枢神経興奮・鎮痛などの目的で処方され、カフェイン水和物添付文書には、「胎盤を通過し、また母乳中に用意に移行するので、妊娠または妊娠している可能性のある婦人および授乳婦には長期連用を避けること」と記載されています。こういった注意が喚起されるのは、妊娠中という、特殊な身体の状態だからです。

カフェインを摂取すると、健康な成人であれば、速やかに体内に吸収され、その影響は、摂取後15~30分で始まり、何時間も持続します。体内でカフェインが半減するまでの時間は、年齢や体重によって異なるものの、約4時間(2~8時間)です。カフェインの代謝産物は尿中に排出されるため、摂取して16~20時間が経過すれば、約95%は尿として排出されてしまいます。ところが、妊娠中は、胎児の排出物の代謝に母体の肝臓が使われているので、カフェインの代謝が遅くなります。胎児も肝臓も代謝機能が未完成のため、カフェインの作用が強く長く続くといわれています。

カフェインが胎児に及ぼす影響

カフェインの胎児への影響については、動物実験では大量投与すれば催奇形性のリスクがあるといわれていますが、実際に胎児に対して悪影響を及ぼすかどうかは明らかになっていません。少量であれば、摂取してもほとんど影響がないと考えてよいでしょう。とはいえ、カフェインは、コーヒー、紅茶、緑茶だけではなくコーラなどの清涼飲料水やチョコレート、薬などにも含まれており、累計すると想像より多く摂取している場合も考えられます。カフェインを大量に摂取した場合の影響は、胎盤を通じて容易に胎児に到達し、胎児の心拍数を上昇させることがあります。また、胎盤を通る血流量を減少させ、鉄分の吸収を低下させて貧血のリスクを高めることがあります。さらに摂取量が多くなると、突発性流産、死産、早産、低体重児など、胎児の発育を阻害する可能性もあります。

妊娠中のカフェイン摂取量の目安

それでは、妊婦は、どの程度のカフェイン摂取なら許容されるのでしょうか。日本では妊婦のカフェイン摂取量に関して国が明確な基準値を設けているわけではありませんので、海外の研究機関のデータを紹介します。世界保健機関(WHO)が公表した「Healthy Eating during Pregnancy and Breastfeeding (Booklet For Mothers)2001」では、紅茶、ココア、コーラ飲料は、ほぼ同程度のカフェインを含み、コーヒーにはこれらの約2倍のカフェインが含まれているとしています。この調査では、カフェインの胎児への影響についてはまだ確定していませんが、妊婦はコーヒーの摂取量を1日3~4杯までにすべきとしています。

一方で、欧州食品安全機関(EFSA)の「カフェインの安全性に関する科学的意見書」では、妊婦による習慣的カフェイン摂取量は、200mg/日以下であれば、胎児に安全性の懸念は生じないと報告しています。英国食品基準庁(FSA) は、2008年に、妊婦のカフェイン摂取に関して新たな助言を公表しています。以前は、摂取するカフェインの上限を300mgが望ましいとしていましたが、200mgに制限するように変更しています。これは、妊婦がカフェインを摂り過ぎることで、出生児が低体重となり、将来的に健康リスクが高くなることを懸念したためです。高濃度のカフェインについても、自然流産を引き起こす可能性があるということで、注意を喚起しています。

これらのデータから、カフェインの1日あたりの摂取量は、200mg以下とするのが安全だと考えたほうがよいでしょう。カップ1杯(200mL)でのカフェイン含有量は、コーヒーなら約120mg、紅茶なら約60mg、ほうじ茶なら約40mg、玄米茶なら約20mgです。コーヒーを1日1杯飲む程度ならば、カフェインの影響はほぼ気にせずに済みそうです。

詳しくは、『コーヒー1杯ならOK?妊娠中のカフェイン摂取に関する最新研究』をご覧ください。

薬に含まれるカフェインにもご注意

カフェインは、医薬品としても中枢神経興奮・鎮痛などの目的で処方されます。医薬品として使用されるカフェイン水和物の添付文書には、胎盤を通過し、また母乳中に容易に移行するので、妊娠または妊娠している可能性のある婦人および授乳婦には長期連用を避けることと記載されています。カフェインには、覚醒作用や解熱、鎮痛作用があり、風邪薬や鼻炎薬の多くにも含まれています。特殊な病気ではなく、常備薬として家庭にあるような薬に含まれていますので、服用するときは、カフェインを含むコーヒーや緑茶などで飲まないように注意をしてください。妊婦は、薬局で薬を購入する際や病院を受診する際には、妊娠中であることを必ず伝えましょう。妊娠している可能性がある人も、その旨を伝えた方がよいでしょう。