大人の溶連菌感染症について

更新日:2017/01/30 公開日:2017/01/30

溶連菌感染症の基礎知識

溶連菌感染症は、学童期の子供が感染しやすい病気ですが、大人でも感染することがあります。ここでは、大人が感染したときの症状や合併症、治療上の注意点などをドクターの監修のもとご紹介していきます。

溶連菌感染症は、子供が感染しやすい病気ですが、大人なら感染しないというわけではありません。ここでは、大人の溶連菌感染症の注意点などをお話していきます。

溶連菌感染症にかかりやすい人

溶連菌感染症は、3歳以上の幼児や学童期の子供がかかりやすい病気です。しかし、どの年代でも感染する可能性があるので、大人でもかかることがあり、特に免疫力が低下している妊婦さんや高齢者は注意が必要です。

大人の溶連菌感染時の症状

溶連菌は、粘膜や皮膚をはじめ、体のさまざまな場所に感染しますが、日常的によく見られるのは、のどへの感染による咽頭炎です。大人の場合は、症状が現れにくいといわれていますが、のどに感染した場合の症状には、次のものがあります。

発熱

38~39度の発熱が起こります。

のどの症状

のどが赤く腫れ上がり、痛みを感じるようになります。

イチゴ舌

舌にイチゴのような赤いブツブツができることがあります。

その他

頭痛や腹痛、首筋のリンパの腫れが見られることもあります。

薬の服用期間を守ることが重要

溶連菌感染症にかかっても、病院で処方された抗菌薬を服用すれば、2~3日ほどで熱やのどの痛みなどの症状が治まります。しかし、治療で重要なのは、症状をやわらげることではなく、溶連菌を完全に除菌することで、そのためには、少なくとも10日間は薬の服用を続ける必要があります。症状が治まったからと言って、勝手に薬の服用をやめると合併症を発症する危険性があるので注意しましょう。

溶連菌感染症の合併症

溶連菌感染症の主な合併症には次のものがあります。

肺炎

溶連菌が肺に入り込むと肺炎を起こすことがあります。肺炎になると、発熱、咳やたん、胸の痛み、呼吸困難などの症状が現れ、重症化すると命にかかわることがあります。特に免疫力が低下している高齢者は、肺炎にかかりやすく、治りにくい傾向があるので注意が必要です。

敗血症

溶連菌が血液中に侵入して全身に広がると、全身に激しい炎症反応が起こる敗血症を発症することがあります。敗血症になると、38度以上の高熱、もしくは36度以下の低体温、脈や呼吸が早くなる、低血圧、意識障害など、さまざまな症状が現れ、重症化すると多臓器不全やショック状態に陥り、命を落とすことがあります。

リウマチ熱

リウマチ熱は、溶連菌に対してできた免疫が誤作動を起こし、自分の関節や心臓などを攻撃してしまうことで起こると考えられています。39度以上の高熱、日によって痛む場所が変わる強い関節痛などが現れ、約半数には心炎も起こります。心炎になっても最初は自覚症状がありませんが、進行して心臓の弁が障害されると、倦怠感、むくみ、脈が早くなるなどの症状が現れるようになります。

急性糸球体腎炎

腎臓は、糸球体という場所で血液をろ過して尿を作っていますが、この糸球体に溶連菌に対する免疫抗体と溶連菌が結合したものが引っかかって炎症を起こすと急性糸球体腎炎になります。急性糸球体腎炎の主な症状は、血尿・タンパク尿、尿の減少、むくみ、高血圧などです。適切な治療を受ければ、子供の場合はほとんどが完治しますが、大人の場合は、なにかしらの腎臓の異常が長引くケースが30~50%あるとされており、注意が必要です。

溶連菌による劇症型連鎖球菌感染症とは

咽頭炎とは別に、溶連菌感染症で注意が必要な病気に、劇症型A群連鎖球菌感染症があります。これは、溶連菌が血液や筋肉、肺などの組織に侵入することで起こる病気で、発症した場合の死亡率は約30%にものぼります。劇症型連鎖球菌感染症になっても、初期には腕や脚の痛み、発熱、感染部位が赤くなるなどの症状しか現れません。しかし、急激なスピードで進行し、筋肉の周辺組織の壊死、血圧の低下、多臓器不全などをもたらします。この病気は、どの年代でも発症する可能性がありますが、特に30代以上の大人に多いことで知られています。

仕事復帰はいつできるのか

溶連菌に感染したら、周囲に人にうつさないように、なるべく人との接触を控えることが重要です。特に、高熱が出ている期間は、周囲の人への感染力が高いので、しばらくは仕事を休んだほうがよいでしょう。

抗菌薬を服用して24時間経てば、感染力がほとんどなくなるとされていますが、自己判断はせず、再度病院を受診して、必ず医師の判断を仰ぎましょう。また、会社を何日休む必要があるかは、職種や職場によって規定があるので、上司にも相談することが大切です。

さらに、溶連菌感染症は、咳やくしゃみで飛沫感染するので、仕事に復帰するときは、念のため、マスクを着用することをおすすめします。