スキンケア大学 ヘルスケア大学 メンズスキンケア大学

卵アレルギーの症状とは

更新日:2018/04/04 公開日:2017/04/04

食物アレルギーの基礎知識

食物アレルギーの原因となる食品は数多くありますが、もっとも多いものが「鶏卵」です。ここでは、乳幼児に多くみられる「卵(鶏卵)アレルギー」の症状と、症状が起こったときの対応法、どうして子供に多いのかなどについてドクター監修のもと解説します。

日本で食物アレルギーを持っている人の割合は、乳児で約5~10%、幼児で約5%、学童期以降が1.5~3%と言われています[1]。食物アレルギーの原因となる食品は多数ありますが、もっとも多いとされている原因食品が「鶏卵」です。特に小学生に上がる前の小さな子供に多く、実に食物アレルギーを持つ0歳児の約6割、1歳児の約4割、2~3歳児の約3割、4~6歳児の約2割が鶏卵に対してアレルギー症状を起こすと報告されています[1]。

卵アレルギーのある人が卵を食べると、数分~30分以内にアレルギー症状が起こります。症状は体質や量によって異なり、出る場所も皮膚、消化器、呼吸器、循環器、神経と多岐にわたります。重症度も幅広く、家で様子を見ていてよい軽度から、命にかかわる緊急性の高い重症まであります。

卵アレルギーの緊急性が高い症状

卵アレルギーで起こる症状のうち、命にかかわる緊急性の高いものは下記のようなものです。これらの症状が1つでもある場合はアドレナリンの自己注射薬(エピペン)を注射することが勧められています[2]。

消化器の症状
繰り返し吐き続ける
持続する強い(がまんできない)おなかの痛み
呼吸器の症状
のどや胸が締め付けられる
声がかすれる
犬が吠えるような咳
持続する強い咳込み
ゼーゼーする呼吸
息がしにくい
全身の症状
唇や爪が青白い
脈を触れにくい・不規則
意識がもうろうとしている
ぐったりしている
尿や便を漏らす

緊急性が高い症状が起こったときの対処法

これらの症状があると、卵などのアレルゲンなどの侵入により、複数の臓器に全身性にアレルギー症状が惹起され、 生命に危機を与え得る過敏反応である「アナフィラキシー」と呼ばれます。これに血圧低下や意識障害を伴う場合を特に「アナフィラキシーショック」といいます。迅速に下記のような対応を行いましょう[3]。

  • アドレナリンの自己注射薬(エピペン)があれば注射する
  • 救急車を呼ぶ(119番)
  • 急に座ったり立ち上がったりさせない
  • 仰向けに寝かせる(呼吸が苦しいときは少し上体を起こす、嘔吐しているときは顔を横向きにする)
  • 足を高くする(30cmくらい)
  • 呼吸困難があり、気管支拡張薬が処方されている場合は吸入する
  • 心臓や呼吸が止まっている場合は、心肺蘇生を行う

卵アレルギーの軽度の症状

前述したような症状は、卵アレルギーの中でもかなり重いものです。多くの場合はここまでにはならず、軽度でおさまります。これから、食物アレルギーで起こる軽度の症状を紹介していきます。それぞれの出現頻度も併記しますので参考にしてください[4]。

皮膚の症状(94.7%)
湿疹
じんましん
かゆみ
目の症状(30.3%)
まぶたの腫れ、かゆみ
消化器の症状(24.2%)
腹痛
吐き気、嘔吐
下痢
口の症状(22.8%)
唇の腫れ、かゆみ
鼻の症状(9.6%)
鼻水
くしゃみ

こうして見てみると、食物アレルギーでは皮膚の症状がほぼ必ず起こっていることが分かります。

軽度の症状が起こったときの対処法

症状が軽度であれば、救急車を呼ぶ、エピペンを打つなどの対応はしなくてもいいですが、だんだん症状が重くなったり、いったん回復したように見えて、半日くらい経った後にまた症状が出てきたりするようなこともあるので、注意が必要です。まだ病院にかかっていないようであれば、軽症でも早めに病院を受診し、対応法について指導を受けましょう。

どうして卵アレルギーが起こるの?

卵アレルギーは、本来は食べても何の問題もないはずの鶏卵に対して、身体が過剰な免疫反応(アレルギー反応)を起こしたもの、ということはよく知られています。このように、アレルギー反応を起こす物質を「アレルゲン」と呼びますが、この多くはタンパク質です。

卵アレルギーのアレルゲン

鶏卵の場合、多くの卵アレルギー患者が反応しているのは卵白の方です。卵白に含まれる下記のようなタンパク質がアレルゲンとなっていることが分かっています[5]。

  • オボムコイド
  • オボアルブミン
  • オボトランスフェリン
  • リゾチーム

このうち、特にオボムコイドとオボアルブミンが卵アレルギーの原因となりやすいと言われています。タンパク質は熱を加えると変性し、アレルギーを起こしにくくなる場合があります。実際に、生の卵白はアレルギーが起こるけども、しっかり火を通せば食べられるという人もいます。しかし、オボムコイドは火を入れても変性しにくい性質がありますので、オボムコイドに対するアレルギーがある人は加熱しても食べられません。

卵アレルギーが乳幼児に多い理由

卵アレルギーは、主に新生児から幼稚園の年長くらいの小さな子供によく見られます。このような年齢の子供は消化器(腸)が未熟であり、アレルゲンが腸の粘膜を通り抜けやすい状態となっているため、アレルギーを起こしやすくなります。ただし、小学生や中学生になれば消化器も発達し、卵アレルギーの症状が出なくなるケースも多くみられます。

また、乳児期の鶏卵アレルギーは乳児アトピー性皮膚炎との関与が指摘されており、これも消化管が発達してくれば症状が軽くなってくるケースが少なくありません。ただし、すべての乳児アトピー性皮膚炎に食物が関与しているとは限りません。

卵アレルギーの治療法

このように、卵アレルギーは成長にともなって自然に治っていくケースが多いのですが、それまでは卵の必要最小限の除去が必要となります。この場合には、症状が誘発される食物(原因食物)だけを除去することが重要です。

食物経口負荷試験で症状が誘発された食物であっても、症状を誘発しない範囲の量の摂取や、加熱・調理により症状なく食べられるものは除去せずに食べることで、耐性が獲得され、食物アレルギーの治癒につながります。例えば、卵白は食べることができなくても、卵黄は食べられる場合は、卵黄だけを食べてもらうようにします。

このように、原因食物でも症状が誘発されない「食べられる範囲」までは食べることができます。「念のため」「心配だから」という理由で過剰な除去をすることは推奨されません。

仮に卵黄も卵白も、どのように調理しても全く食べられないようなら、卵の完全除去が必要になる場合もあります。しかし、卵は栄養が豊富な優れた食品であり、いろいろな料理で使われているので、ともすれば栄養バランスを崩してしまい、成長のための栄養が足りなくなってしまうかもしれません。卵に代わる栄養を摂れるように献立を考えることが必要です。小児科医やアレルギー科医に適切な食事方法のアドバイスを受けながら、いずれ治るときまで気長に治療を続けていきましょう。

なお、アレルギーの検査について詳しくは、『「アレルギー検査」とは』『アレルギー検査の内容でわかること』をご覧ください。

参考文献

  1. [1]日本小児アレルギー学会食物アレルギー委員会. “第2章 疫学“ 食物アレルギー診療ガイドライン2012 ダイジェスト版.
  2. http://www.jspaci.jp/jpgfa2012/chap02.html (参照2018-03-12)
  3. [2]日本小児アレルギー学会アナフィラキシー対応ワーキンググループ. “「一般向けエピペン®の適応」決定のご連絡“ 2013
  4. http://www.jspaci.jp/modules/membership/index.php?page=article&storyid=63 (参照2018-03-28)
  5. [3]日本アレルギー学会監. アナフィラキシーガイドライン. 2014
  6. https://anaphylaxis-guideline.jp/pdf/anaphylaxis_guideline.PDF (参照2018-03-12)
  7. [4]東京都健康安全研究センター. アレルギー疾患に関する3歳児全都調査(平成26年度)
  8. http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/allergy/pdf/res_a06.pdf (参照2018/03/30)
  9. [5]日本小児アレルギー学会食物アレルギー委員会. “第5章 食物アレルゲン“ 食物アレルギー診療ガイドライン2012 ダイジェスト版.
  10. http://www.jspaci.jp/jpgfa2012/chap05.html (参照2018-03-12)

今すぐ読みたい