スキンケア大学 ヘルスケア大学 メンズスキンケア大学

胃下垂の治し方とは?

更新日:2018/03/29 公開日:2017/04/06

胃の病気の基礎知識

巷では、胃下垂は胃もたれや胃痛、便秘などの原因になると言われています。もし胃下垂になったら、どのような治し方があるでしょうか? 運動やストレッチなどで胃の位置を治せるものでしょうか? 胃下垂に悩んでいる人に向けてドクター監修のもと解説します。

胃下垂になると胃もたれや胃痛、便秘などの症状が起こると言われていますが、運動やストレッチなどで胃を正常な位置に戻せば、改善することができるのでしょうか? ここでは、胃下垂と言われた、もしくは自分はきっと胃下垂だろうと思っている人に向けて、胃下垂についての正しい知識と、消化器の不快な症状をどのように治せばいいのか、ドクター監修のもと解説します。

胃下垂そのものを治す必要はない

実は、胃下垂そのものは病気ではないので、治す必要はありません。

医学的に「胃下垂」とは、単に胃の形を示すだけの言葉です。具体的には、バリウムを飲んでX線を撮ったときに、胃角(胃の上側の凹んだ部分)がヤコビー線(骨盤の上をつないだ、腰とおしりの間の線)よりも下にある場合に胃下垂と呼ばれます。

胃下垂であることを確実に知るためには、バリウム検査をする必要があります。しかし、現在では胃下垂であることを調べるためにわざわざバリウムを飲ませる病院はまずありません。なぜなら、胃下垂によって胃の運動機能が低下するということはないからです[1]。つまり、胃下垂が胃もたれや胃痛などの不快な症状を起こす原因ではないので、治す必要もないと考えられているのです。

ですから、胃下垂であったとしても、胃の位置を治そうと思わなくて大丈夫です。

なぜ胃下垂が悪く言われていた?

胃下垂は治療する必要がないと聞いて、「そんなはずはない」と思った方もいらっしゃるかもしれません。

実は、かつては胃下垂に対して「胃吊り上げ術」という手術を行っていたこともあります。当時は食後の胃痛や胃もたれなどの不快な症状を引き起こす原因がよく分かっておらず、その原因の一つに胃下垂があるのではないかと考えられていました。そこで手術で胃の位置を持ち上げるという治療が行われていたわけです。その頃のことをご存知の方は、前述のような「胃下垂は病気ではない」という話に疑問を持ってしまうのも無理はありません。

現在では、これらの症状は胃下垂によるものではなく、「機能性ディスペプシア」(FD)という病気によるものであると考えられています[2]。機能性ディスペプシアについては次項で解説します。

ちなみに、かつては胃下垂を手術で治していたことを考えると、運動やストレッチだけで胃下垂を治そうとするのはやや無理がある話なのかもしれません。しかし、痩せ型の体型と胃下垂は関連がありますので、痩せを解消してインナーマッスルを鍛えることで胃下垂を解消できた人がいるかもしれません。胃下垂と痩せの関係について詳しくは『「胃下垂の人は太らない」「胃下垂になると痩せる」って本当なの?』をご覧ください。

機能性ディスペプシアとは

機能性ディスペプシアとは、胃もたれ、胃痛、早期飽満感(すぐにお腹がいっぱいになる)などの不快な症状があるにもかかわらず、胃カメラで確認しても胃には原因になりそうな異常がない場合に診断される病名です。脳や胃の知覚過敏やわずかな炎症、精神的なストレスなどが関与して、症状が現れているのではないかと考えられています。

機能性ディスペプシアの治療としては、食事や生活指導(十分な睡眠、規則的な食事時間、野菜の摂取、高カロリー脂肪食を避けるなど)に加え、胃酸の分泌を抑制するような薬や、消化管の運動機能を改善する薬が投与されます。場合によっては、抗不安薬や抗うつ薬、漢方薬などの処方や、認知行動療法や催眠療法などが行われます。一部のケースではピロリ菌の検査や除菌治療が行われることもあります[3]。

詳しくは『家庭の医学 機能性ディスペプシア』にリストアップされている記事をご覧ください。

この他にも、胸やけや呑酸(すっぱいものが上がってくる症状)が主体の「胃食道逆流症」(GERD)、便秘や下痢、腹痛などが主体の「過敏性腸症候群」(IBS)といった病気が近年提唱されてきて、それぞれに標準的な治療があります。これらについては、下記をご覧ください。

参考文献

  1. [1]“胃下垂” 医学大辞典 第19版. 南山堂 2006
  2. [2]木下芳一. “機能性ディスペプシアの診断と治療” 第113回日本内科学会講演会 結実する内科学の挑戦~今,そしてこれから~ 日内学誌 2016: 105(9): 1611
  3. [3]日本消化器病学会編. 機能性消化管疾患診療ガイドライン2014―機能性ディスペプシア(FD)
  4. https://www.jsge.or.jp/guideline/guideline/pdf/FDGL2_re.pdf (参考2018-03-09)

今すぐ読みたい