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「胃下垂の人は太らない」「胃下垂になると痩せる」って本当なの?

更新日:2018/03/29 公開日:2017/04/09

胃の病気の基礎知識

胃下垂の人は太らないといわれます。たしかに、胃下垂は痩せた体質の人に多いとされますが、太らないことと胃下垂との因果関係については定かになっていません。胃下垂と痩せとの関係性についてドクター監修の記事で解説します。

胃下垂の人は太らない? 胃下垂になると痩せる?

「胃下垂の人は太らない」「胃下垂になると痩せる」などという話を耳にしたことがあるでしょうか。これは、正しくない情報なのですが、まことしやかに言われている背景には、胃下垂と痩せていることとの間に関係性がみられるからと考えられます。

胃下垂になりやすい人とは

胃下垂は、痩せ型の人に多くみられます。細身で長身の人や、華奢な体型の女性など、ほっそりとした体型の人が、胃下垂になりやすいタイプだとされています。生まれつきの体質で痩せている人に胃下垂がみられる場合もありますが、もともとは痩せていなかったものの、なんらかのきっかけで痩せて、それにともなって胃下垂がみられるようになるというケースもあります。

痩せていると胃下垂になりやすいのはなぜ?

痩せている人が胃下垂になりやすい理由としては、確実に調べられているわけではありませんが、推論としては次の2点が考えられます。

まず、痩せている人は腹部の脂肪や筋肉の量が少ないということです。胃は、その周辺の脂肪や筋肉によって支えられています。食事をして食べ物が胃の中に入ってくると、胃は重さを増しますが、胃の周りを脂肪や筋肉で支えられているために下へさがらずに、通常は横に広がります。それは食後の上腹部の膨らみとしてみられます。しかし、胃を支える脂肪や筋肉が少ないと、胃に食べ物が入ったときに胃の重さを支えきれず、胃の下部が重みで下に垂れ下がるような形状になります。それが影響して、胃が徐々に下垂し、胃下垂の状態になるのではないかと考えられています。

そしてもうひとつは、体型です。一般的に、痩せていたり、細身で長身だったりして、胴の部分が細長い形状をしている場合、胃もそれに合わせ、その形状にうまくおさまるような形になる傾向があると考えられます。

したがって、「胃下垂の人は太らない」というのは、「胃下垂だから痩せる」という意味合いよりも、「体質的に痩せているから胃下垂である」という意味合いが強いと言えます。胃下垂になることがダイエットになる、というような意味で捉えるのはやめましょう。

そもそも胃下垂とは?

実は、胃下垂は病気とはみなされていません。医学的に「胃下垂」とは、単に胃の形を示すだけの言葉です。どういう意味かというと、バリウムを飲んでX線を撮ったときに、胃角(胃の上側の凹んだ部分)がヤコビー線(骨盤の上をつないだ、腰とおしりの間の線)よりも下にある場合に胃下垂と呼ばれます。

胃下垂の人は消化の機能が悪いと言われがちですが、実際には胃下垂だけでは胃の運動機能は低下しません。そのため、胃下垂は病気ではないと考えられているのです[1]。

胃下垂だと何が問題なの?

先程述べたように、胃下垂は病気ではないので、胃下垂であることを理由に何か健康の問題があるのではないかと心配する必要はありません。胃がうまく動かず消化が悪いために太れない、ということもありません。

しかし、胃下垂が見られる人の一部は、食後の胃もたれ感や胃痛などを訴える場合があります。これらの不快な症状を引き起こす原因がよく分かっていなかったので、かつては胃下垂、すなわち胃の位置が原因ではないかと考えられていた時期がありました。現在では、これらの症状は胃下垂によるものではなく、「機能性ディスペプシア」という病気によるものであると考えられています[2]。詳しくは『家庭の医学 機能性ディスペプシア』にリストアップされている記事をご覧ください。

参考文献

  1. [1]“胃下垂” 医学大辞典 第19版. 南山堂 2006
  2. [2]木下芳一. “機能性ディスペプシアの診断と治療” 第113回日本内科学会講演会 結実する内科学の挑戦~今,そしてこれから~ 日内学誌 2016: 105(9): 1611

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