坐骨神経痛とは

更新日:2017/03/22

坐骨神経痛の基礎知識

腰から下の痛みの多くは坐骨神経痛と呼ばれるものです。坐骨神経痛が多いのは、いくつもの原因によって生じる痛みやしびれの総称だからだと言えます。坐骨神経痛についてドクター監修の記事で解説します。

腰から尻のあたりが痛むと、原因を考える前に坐骨神経痛だろうと言う人がいるくらい、坐骨神経痛は一般的な言葉になっています。しかし、下半身の痛みがすべて坐骨神経痛というわけではありません。また、ひとくちに坐骨神経痛と言っても、その中身は人によってさまざまです。

坐骨神経痛とは

坐骨神経痛とは、下半身を通っている坐骨神経が圧迫されるなどして痛みが生じる現象を総称したものです。つまり、痛みが出る部位も広範囲であり、痛みの程度も軽いものから重いものまであります。重要なことは、坐骨神経痛が症状を現す名称であり、病気や疾患の名称ではないことです。症状としての坐骨神経痛が起きる場合は、その原因となる病気や疾患が存在することになります。

坐骨神経痛の症状

坐骨神経痛は原因となる病気や疾患の1つの症状として起きる痛みです。その痛みは多くの場合、電気に触れたときのようなしびれ、灼熱感、鋭い痛みの他に、つっぱった感じがするものです。また、単なる腰痛ではなくお尻から太ももにかけて症状が現れやすくなっています。さらに、坐骨神経の経路上に痛みが走るため、足の先までしびれや痛みが達することもあります。酷い痛みやしびれになると、歩行することが困難になることもあります。

坐骨神経痛の原因

坐骨神経痛を引き起こす原因となる疾患には、いくつかの代表的なものがあります。

腰椎椎間板ヘルニア

若年層の坐骨神経痛の原因として多いとされているのが腰椎椎間板ヘルニアです。椎間板が本来あるべき位置からはみだすことで、坐骨神経を圧迫・刺激するため痛みやしびれの症状がでます。

腰部脊柱管狭窄症

高齢者の坐骨神経痛の要因とされるのが腰部脊柱管狭窄症です。加齢によって、神経が通っている脊柱管内部が狭くなるなど骨を含めた変化があります。そのため、体勢によっては神経が圧迫されて痛みやしびれにつながるのです。背中を丸めた姿勢で歩く老人を目にしますが、まっすぐ立っていると神経が圧迫されるせいでもあります。また、一度に歩行可能な距離や時間が短くなることがあります。

腰椎すべり症

加齢によって、腰椎の位置がすべるようにずれる疾患です。位置がずれるため、神経を圧迫して痛みやしびれを引き起こします。若年層に多いものとしては、腰椎分離すべり症という別の疾患があります。

脊椎腫瘍

腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症、腰椎すべり症と比較した場合、ケースとしては多くはないものの脊椎にできた腫瘍が神経を圧迫することで痛みやしびれを起こすことがあります。

その他

上記の原因以外に、変形性関節症や外傷などによって起きる坐骨神経痛があります。また、ストレスによるものや、特定の原因が見つからないケースもあります。

このように、各種の疾患が原因となって起きるのが坐骨神経痛です。基本的なメカニズムとしては、骨の変形や位置ずれによって神経が圧迫されることで痛みやしびれが起きます。骨の変形などは加齢によるものもあるため、自分で防ぐことは難しいと言えるでしょう。しかし、できるだけ正しい姿勢で生活することや重いものを持たないで済むようにすることなど、マイナスの負荷をかけ続けないように注意したいものです。

坐骨神経痛の治療

坐骨神経痛の治療は、痛みやしびれなどの症状を軽くするものと、原因となっている疾患そのものを治療するものがあります。

坐骨神経痛の薬物療法

まず、痛みやしびれを緩和するために鎮痛薬の投与が行われ、抗うつ薬や抗けいれん薬が使用されるケースもあります。内服薬は外来の先生と相談しつつ薬の量を増やしたり薬を変えたりしてゆきます。内服薬で症状が緩和されない場合は、ブロック注射を使うことがあります。

リハビリテーション

坐骨神経痛の改善に、薬物療法だけでなくリハビリテーションを併用することがあります。

外科手術による治療

薬物療法やリハビリテーションでも改善が見られない重度の疾患が原因となっている場合には、患者の状態によって外科手術による治療が選択されます。

どの治療法を選択するにしても、原因となる疾患を特定することが必要です。短期で軽度のものや原因が明らかなケースは別にして、MRIによる画像診断などの検査が重要です。また、ヘルニアや脊柱管狭窄症といった脊椎の手術の前には、CTスキャンを撮影して術前計画を立てます。

坐骨神経痛の予防

坐骨神経痛の予防には、原因となる疾患を予防しなくてはなりません。加齢にともなって骨の変形などが進むとは言え、そこには個人差があります。日常的に骨の健康に気を配るなど、自分でできることはやっておきましょう。基本的には、健康を考えた生活習慣を身につけることが大切です。肥満は骨や筋肉に大きな負荷がかかるため大敵と考え、食生活を見直すことも大事です。そのうえで、腰椎や脊椎に必要以上の圧力がかからないように注意します。たとえば、同じ姿勢のまま何時間も動かないことや、前かがみの姿勢を続けることは避けましょう。また、連続して激しい動きをしないことも重要です。少しの積み重ねが、やがて坐骨神経痛を引き起こす疾患へとつながるおそれがあります。

それに加え、患部を冷やさないことも重要です。患部の冷えは神経痛の症状を悪化させる要因になります。厚着をしたり、カイロなどを利用して温めることを意識するとよいでしょう。