子供がかかりやすいおたふく風邪とは

更新日:2018/03/29 公開日:2017/04/11

おたふく風邪(流行性耳下腺炎)の基礎知識

おたふく風邪は小さな子供に多い感染症です。その理由は、1度の感染で免疫が完成するため、年齢とともに免疫を持っていない人が減るからだと考えられます。ここでは、おたふく風邪の原因、症状、合併症、治療、予防についてドクター監修のもと解説します。

おたふく風邪とは

おたふく風邪は「ムンプス」(mumps)とも呼ばれる感染症で、正式には「流行性耳下腺炎」(りゅうこうせいじかせんえん)と名づけられています。その名からわかるように、耳の下にある「耳下腺」と呼ばれる分泌腺の腫れが特徴の感染症です。

おたふく風邪は、患者の大部分を幼児が占めているため、子供の病気として知られています。実際に、発症する年齢でもっとも多いのが1歳から6歳の幼児期の子供です。なかでも4歳児がピークで、1歳から4歳までが全体の半数近くを占めるとされています。ただし、0歳児にはあまり見られません。その背景には、大多数は1度感染すれば十分な免疫を得られるため、年齢が上がるほど患者が減るという事実があります。つまり、子供の間に罹患している人が多いのです[1][2]。

おたふく風邪の原因

おたふく風邪は、ムンプスウイルスに感染することで発症する感染症です。この原因となっているムンプスウイルスはパラミクソウイルスの一種であり、飛び散った患者の唾液を吸い込むことによる飛沫感染のほか、患者の唾液などに触れることによってうつる接触感染をします。感染してから発症までの潜伏期間は2週間から3週間と長いですが、不顕性感染と呼ばれる発症しないケースが1/3近くあるともいわれています[1][2]。

おたふく風邪の症状

おたふく風邪で多く見られる症状には、あごの周辺にある唾液を出す分泌腺の腫れ(あごから首の付け根にかけて腫れる)のほか、痛み、発熱と頭痛などがあります。その他の症状として多いのが、倦怠感や食欲不振などです。おたふく風邪は軽症であることが多いものの、発熱のピークには40度近くに達することがあります。また、強い痛みをともなうことがあるのが耳下腺の腫れです。いずれの症状も1週間程度で軽快し、長くても2週間もすればよくなることが一般的です[1]。

成長してからのおたふく風邪

子供の場合は、重篤な状態になることが少ないですが、思春期を迎えてからのおたふく風邪には注意が必要です。男性の場合は、3~5人に1人の割合で精巣炎になるといわれています[1]。

おたふく風邪の合併症

おたふく風邪そのものの症状は比較的軽いですが、下記のような合併症が起こるケースがあります。

髄膜炎と脳炎

髄膜炎を合併した場合には嘔吐や頭痛などの症状が出ます。髄膜炎は、おたふく風邪の合併症の中ではいちばん多く見られるもので、多くの場合は髄膜炎としては軽症で済みます。ただし、まれではあるものの、重症化して脳炎や難聴につながるケースもあります。

精巣炎と卵巣炎

前述したように、思春期以降におたふく風邪に罹った場合、男性なら精巣炎や精巣上体炎を合併する可能性が高くなっています。女性の場合でも、15人に1人程度の割合で卵巣炎を併発する可能性があります。精巣炎になると、症状として痛みや熱感があります。このため、大人になってからおたふく風邪に罹ると子供ができなくなるなどといわれることがあります。しかし、おたふく風邪の合併症としての精巣炎では、基本的に生殖能力を失うことは考えられないことです。一方、女性の卵巣炎では症状が軽いことから気付かないこともあり、発症率が精巣炎の数分の1と小さいこともあって、男性のおたふく風邪ほど話題になりにくいのかもしれません[1]。

その他の合併症

おたふく風邪には、上記以外にも難聴や膵炎などいくつかの合併症が起きる可能性があります。確率的には低いものが多いですが、念のため注意して観察する必要はあるでしょう。

おたふく風邪の治療と予防

おたふく風邪に罹ったら、安静にすることが第一です。ムンプスウイルスの増殖を防ぐ特効薬はないので、痛みには鎮痛剤、熱には解熱剤といったような対症療法をしながら、身体の抵抗力によってウイルスを撃退するのを待ちます。そのためには、しっかりと休養をとって体力の回復に努めることが大事です。

おたふく風邪になったときはお休み?

おたふく風邪の感染力は強いとされており、耳下腺、顎下腺または舌下線の腫れが出た後5日を経過し、かつ全身状態が良好になるまで出席停止となります。また、家族に患者がいる場合や流行地を旅行した場合など、学校医などの判断で出席停止になることもあります。なお、いずれの場合も、学校医などの医師が感染の恐れがないと判断すれば出席して問題ありません[1]。

おたふく風邪はワクチンで予防できる

おたふく風邪はワクチン接種で予防することができます。しかし、任意接種であるために接種率は30~40%ほどしかなく、流行を抑制できるほどには達していません[3]。また、大人になってからの罹患は症状が重いともいわれており、子供のときにワクチン接種を受けておくことが望まれます[1]。

参考文献

  1. 1. 多屋馨子. “流行性耳下腺炎(ムンプス、おたふくかぜ)” IDWR 2003年第35号https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ra/mumps/392-encyclopedia/529-mumps.html (参照2017-11-20)
  2. 2. MedlinePlus. “Mumps” NIH. https://medlineplus.gov/mumps.html(参照2017-11-20)
  3. 3. 国立感染症研究所. 流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)LASR Vol. 37 p.185-186: 2016年10月号
  4. https://www.niid.go.jp/niid/ja/mumps-m/mumps-iasrtpc/6822-440t.html (参照2018-03-13)

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