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大人になっておたふく風邪にかかった場合の症状

更新日:2018/06/01 公開日:2017/04/08

おたふく風邪(流行性耳下腺炎)の基礎知識

おたふく風邪は4歳前後の幼少期の子どもに多く発症する病気として知られています。ですが、まれに大人になっておたふく風邪になる人もおり、その場合は重症化するケースが多いようです。ここでは、大人になっておたふく風邪になった場合の症状や注意点などについて解説します。

◎短くポイントをまとめると
大多数の大人はすでに免疫をもっているため、おたふく風邪になることはまれ
大人がおたふく風邪になると、唾液腺の腫れや発熱などの症状がひどくなりやすい
おたふく風邪の合併症には、髄膜炎・脳炎、精巣炎・卵巣炎、膵炎、難聴などがある
原因ウイルスに対する特効薬はない。予防として最も効果的なのはワクチン接種

おたふく風邪の原因

おたふく風邪の原因は「ムンプスウイルス」というウイルスの感染です。ムンプスウイルスは感染している人の唾液や咳を介してうつります(接触感染、飛沫感染)。感染力が高いので、家庭内や学校などで人から人へとうつっていきます。潜伏期間は約2~3週間です。

ただし、感染したら必ず発症するわけではありません。例えば、1歳のときに感染しても、8割の人は症状が出ない不顕性感染(ふけんせいかんせん)であり、症状が出るのは2割程度で、軽症です。しかし4歳以降に感染すると約9割が発症し、その症状は強くなり、合併症の頻度も高まります。

こう聞くと怖くなりますが、大多数の大人はすでに免疫をもっているため、おたふく風邪になることはまれです。おたふく風邪にはワクチンがあり、小さいときに接種していれば高い確率で予防できますし、ワクチンを打っていなくても幼少期にすでに感染しており、症状が出る/出ないにかかわらず免疫がついていることが多いのです。

ムンプスウイルスの感染経路について詳しくは、『おたふく風邪の潜伏期間はどれくらい?』『おたふく風邪のウイルスと潜伏期間』をご覧ください。

おたふく風邪の一般的な症状

では、もしおたふく風邪になったらどのような症状が出るのでしょうか。

おたふく風邪の正式名称は「流行性耳下腺炎」(りゅうこうせいじかせんえん)といいます。この名が示すように、耳下腺に炎症が起きて耳の下が痛くなるのが最も特徴的な症状です。

耳下腺の位置

上のイラストは、耳下腺を含む大唾液腺の位置を示しています。これを見ると、おたふく風邪で耳下腺が炎症を起こすと、耳の下が腫れあがったり痛くなったりする理由がおわかりいただけると思います。このイラストでは頭の左半分しか示していませんが、反対側にも同じように唾液腺がありますので、両方の耳の下が同時に痛くなることもあります。

また、耳下腺だけでなく舌下腺、顎下腺にも炎症が拡がり、アゴや舌まで痛むようになることもあります。ものを飲み込む(嚥下;えんげ)時に痛みを感じることもあります。

これらの痛みとともに、発熱、頭痛、全身倦怠感(だるさ)、食欲不振なども起こることがあります。

おたふく風邪に大人がかかった場合のリスク

一般的なおたふく風邪では、唾液腺の腫れのピークは発症から2日後に来ることが多く、1週間くらいで治ってきます。熱が出た場合もそれほど高熱にはならず、1~5日で平熱に戻ります。

しかし、大人でおたふく風邪になると、子供と違って重症化しやすい傾向にあります。大人は子供に比べると、免疫力が強く、ムンプスウイルスに対して強く抵抗するため、おたふく風邪に大人がかかると炎症などがひどくなると考えられます。大人になっておたふく風邪になると腫れがひどくなるとともに、熱も高くなる場合があります。症状も長引く上に、合併症も出やすいといわれています。

おたふく風邪の症状について詳しくは、『おたふく風邪の初期症状とは』『知っておくべき大人のおたふく風邪の特徴』をご覧ください。

おたふく風邪が悪化した場合の症状

では、おたふく風邪が悪化した場合はどのような症状が出るのでしょうか?

高熱や唾液腺の強い腫れ

大人になってからおたふく風邪が発症すると、熱が39度まで出る場合があります。また、耳の下が腫れあがるだけでなく、あごや頬まで炎症が広がり、食事を取るのも、話すのもままならなくなるようです。

髄膜炎や脳炎

ムンプスウイルスは脊髄や脳との親和性が高いウイルスであり、半数以上の患者では髄液にウイルスが入り込んでいるという報告もあります。約1割の患者が髄膜炎を発症し、頭痛や吐き気とともに熱がでます。また、意識障害やけいれんなどもでることがあります。まれですが、髄膜炎よりもっと重症な脳炎に発展することもあります。

精巣炎や卵巣炎

思春期以降におたふく風邪を発症した人のうち、男性の約20~30%が精巣(睾丸)炎を、女性の約7%が卵巣炎を発症するといわれています。

精巣炎になると、陰部が腫れ上がり、赤くなって、押すと痛みが強くなります。下腹部痛や吐き気、頭痛をともなうこともあります。精巣炎になると精子の数が減ることが報告されていますが、不妊にまで至るのはまれです。

また、女性の場合は卵巣炎になったとしても、それを診断するのは難しいようです。女性の場合もおたふく風邪が不妊の原因になることはめったにありません。また、乳腺炎になる人も3割ほどいるようです。

膵炎

おたふく風邪患者の10%以下とまれな合併症ですが、膵炎を起こすことがあります。その症状はかなり軽いものか、無症状です。まれに発熱、みぞおちの痛み、吐き気・嘔吐などが起きて明らかに膵炎を起こすことがありますが、1週間程度で落ち着いてきます。

難聴

非常にまれですが、おたふく風邪で難聴になる人がいます。基本的には片方だけに現れるといわれていますが、症状が重いときには両方の耳が聞こえづらくなります。難聴はおたふく風邪が治るとともに回復するケースもありますが、難聴が後遺症としてずっと残るケースもあります。

実はおたふく風邪ではない場合も

ここまで、おたふく風邪の症状を紹介してきました。自分の症状と似ているから、おたふく風邪に違いないとお思いの方もいらっしゃるかもしれません。しかし、おたふく風邪とよく似た別の病気もあります。特におたふく風邪のような症状を何度も繰り返している場合は、別の病気である可能性が高いです。

例えば、ムンプスウイルス以外のウイルス(コクサッキーウイルス、パラインフルエンザウイルスなど)による耳下腺炎や、原因が不明の反復性耳下腺炎などがあります。

これらの病気と見分けるためには、内科や耳鼻咽喉科の医師に診察してもらいましょう。

おたふく風邪の治療法

病院では、熱を下げるための薬を処方してもらったり、痛みのために食事や水分補給ができない場合は点滴をしてもらったりすることはできますが、残念ながら、おたふく風邪の原因となるムンプスウイルスに対する特効薬(抗ウイルス薬)はまだありません。身体の免疫システムがウイルスを認識し、やっつけるのを待つしかありません。しっかり水分をとって安静に過ごしましょう。

おたふく風邪の予防として最も効果的なのは、ワクチン接種です。日本ではムンプスウイルスのワクチン接種率が低いことが問題視されています。おたふく風邪にかかってしまった後で打つ必要はありませんが、もし幼少期におたふく風邪にかかっておらず、ワクチンも打っていないようなら、大人でも打つことができますので病院に相談してみてください。

参考文献

  1. ・玉置尚司. ムンプスとその合併症について. 耳展2008: 51(3); 163-168
  2. ・多屋馨子. 流行性耳下腺炎(ムンプス、おたふくかぜ). IDWR 2003: 35
  3. https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/529-mumps.html (参照2018/06/01)

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