帯状疱疹が顔にできたら要注意!顔面麻痺や目の症状の可能性

更新日:2018/04/13 公開日:2017/02/28

帯状疱疹の基礎知識

帯状疱疹は体幹部や顔などに出ます。顔に出た場合は顔面麻痺や目の症状が出るので注意が必要です。入院する必要はあるのでしょうか?予防はできるのでしょうか?顔にできる帯状疱疹についてドクター監修のもと解説します。

◎短くポイントをまとめると
帯状疱疹は「水痘・帯状疱疹ウイルス」が再活性化して起こる
再活性化した場所が顔面にある「三叉神経」だと、顔面麻痺や目の症状を起こす
なるべく早く抗ウイルス薬などによる治療を行うことが、後遺症の可能性を減らす

診察風景の写真画像

帯状疱疹(たいじょうほうしん)の痛みをともなう赤い発疹は、全身どこにでもできる可能性があります。一番多いのは体幹(特に肋骨の部分)ですが、その次に多いのは顔面です。顔面には三叉神経(さんさしんけい)という脳神経が耳のあたりから目、上あご、下あごにかけて伸びており、ここが水痘・帯状疱疹ウイルスに侵されることで、発疹のみならず顔面麻痺(ラムゼイ・ハント症候群)や目の症状を引き起こすため、危険な帯状疱疹と考えられています。ここでは、帯状疱疹が顔にできたときの症状や治療、予防について解説します。

どうして顔に帯状疱疹ができるの?

どうして顔面に帯状疱疹ができるのか、その理由をご理解いただくために、まず帯状疱疹はどうして発症するのかということを説明します。

帯状疱疹とは?

帯状疱疹になった人は、過去に水痘(水ぼうそう)にかかったことがあるはずです(症状が軽くて気が付かない場合もあるかもしれません)。なぜなら、この2つの病気の原因は同じ「水痘・帯状疱疹ウイルス」という病原体だからです。これに初めて感染したときは、赤く盛り上がった発疹(丘疹)とそこにできる水疱、そして発熱が特徴的な水痘という病気になり、普通は1週間くらいで治ります。普通の感染症なら治ったあとに原因ウイルスはいなくなりますが、水痘・帯状疱疹ウイルスの場合は身体の神経細胞(神経節)内に潜伏して隠れ住んでしまいます。

このように、いったん感染した水痘・帯状疱疹ウイルスは身体(神経)の中にずっと居続けます。ただし、免疫力が正常に働いているときは、このウイルスは特に悪さをしません。問題となるのは、下記のようなことが原因で免疫力が低下したときです。

  • 加齢
  • 疲労
  • ストレス
  • がんや感染症による身体への負担
  • 放射線や紫外線への曝露
  • 免疫抑制薬の使用 など

これらの原因で免疫力が低下すると、水痘・帯状疱疹ウイルスは「再活性化」して神経の中で暴れ出します。これが帯状疱疹を引き起こすメカニズムです。

帯状疱疹が顔にできる理由

この帯状疱疹が顔にできる理由は、水痘・帯状疱疹ウイルスが再活性化して暴れている場所が、顔面に分布している三叉神経だからです(なお、体幹にできる場合は肋間神経で暴れていることが多いです)。三叉神経は脳から出て耳を経由し、目の方向、上あご方向、下あご方向に向かって長く伸びています。この神経は左右対称に分かれており、ウイルスが暴れているのは左右どちらかだけですので、症状が出るのは顔の右側か左側に出ることが普通です。

顔に帯状疱疹が起こるとどういう症状が出る?

顔に帯状疱疹ができると、体幹にできたときに出る基本的な症状に加えて、顔の帯状疱疹ならではの症状が出ます。

帯状疱疹の基本的な症状

水疱が現れる数日前から痛みやピリピリとした刺激を感じることがあります。これを前駆痛(ぜんくつう)といい、痛みの感じ方はさまざまです。水疱の前に、虫刺されに似た赤み(紅斑)が現れます。この段階で、発熱やリンパ節の腫れ、頭痛といった風邪(かぜ)に似た症状が現れることがあります。

赤みを帯びた皮膚に透明な水疱が集まって出てきて、数日経つと黄色になります。約6~8日後には自然に破れ、びらんか潰瘍になります。発症から約2週間でかさぶたが形成されて、その約1週間後にはかさぶたが取れます。この段階で痛みが残っていなければ、完治したことになります。

かさぶたは脱落したけれども3か月以上痛みが残っている場合には、帯状疱疹後神経痛(たいじょうほうしんごしんけいつう)と診断されます。これについて詳しくは『治ったあとも痛みが続く、帯状疱疹後神経痛とは?』をご覧ください。

顔にできた帯状疱疹の症状

顔に帯状疱疹ができた場合、前述した基本的な症状に加えて、下記のような症状が起こる可能性があります。

  • 前駆痛を片頭痛のように感じる(頭の片側だけに頭痛が起こる)
  • 耳の後ろが痛む(前駆痛として)
  • 顔面神経麻痺(目を閉じることができない、顔が歪むなど)
  • まぶたの腫れ
  • 目の充血
  • 目の炎症(角膜、ぶどう膜、網膜)
  • 難聴や耳鳴り、めまい
  • 耳の中まで水疱ができる
  • 味覚障害
  • 脳炎、髄膜炎 など

このように、顔にできた帯状疱疹では、目や耳、脳などまで悪影響を及ぼすことがあります。できるだけ早く皮膚科に行き、ウイルスの増殖を抑える薬(抗ウイルス薬)の内服や点滴などを行うことが重要です。

顔面神経麻痺を起こすラムゼイ・ハント症候群とは?

顔にできる帯状疱疹のうち、顔面神経麻痺については「ラムゼイ・ハント症候群」(Ramsay Hunt症候群、ハント症候群、耳帯状疱疹ともいう)という病名が別にあります。難聴や耳鳴り、めまいなどの耳の症状や味覚障害が起こることもあります。症状の出方は人によって異なり、顔面麻痺から始まる場合もあれば、耳の痛みや難聴、めまいが先行して起きる場合もあります。

ラムゼイ・ハント症候群になると、約半数は完治できず、不全麻痺(軽い麻痺)が残ってしまうといわれています[1]。軽い麻痺といっても、顔面の麻痺のため目立ちやすく、患者本人にとっては非常につらいものです。この後遺症のリスクを減らすためにも、早期に抗ウイルス薬などによる治療を開始することが大切です。まずは皮膚科への受診でいいですが、その後に耳鼻咽喉科や脳神経外科、神経内科、眼科などへの受診(紹介)が必要になることがあります。症状が重い場合は入院して治療することもあります。

ただし、一番いいのは「帯状疱疹を発症しないこと」です。水痘にかかる前(乳幼児期)に水痘・帯状疱疹ウイルスのワクチンを打っておけば、感染して体内へ潜伏するのを防げます。また、水痘にかかったことのある成人でもワクチン接種で帯状疱疹を防げる可能性もあります[1]。

まとめ

帯状疱疹が顔に起きた場合、顔面神経麻痺や難聴、めまいなどが起こるラムゼイ・ハント症候群になってしまう可能性があります。また、目や脳も近いため、体幹で起こる帯状疱疹よりも危険な症状を引き起こす可能性の高い帯状疱疹といえるでしょう。発症したらなるべく早く治療を始めることが重要です。

参考文献

  1. [1]萩森伸一. “Ramsay Hunt ―症例を減らすには何が必要か”国立感染症研究所,病原微生物検出情報(IASR). https://www.niid.go.jp/niid/ja/iasr-sp/2256-related-articles/related-articles-404/4016-dj404a.html(参照2017-12-29)

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