高齢者がなる便秘の原因

更新日:2017/03/08 公開日:2017/02/28

便秘の原因

年齢を重ねるにつれ便秘が増えたと悩む人は少なくありません。どうして便秘が起こるのかよく理解したうえで適切な対応をとることが大切です。高齢者に多い便秘の原因や症状、効果的な対策をドクター監修の記事でくわしくお伝えします。

便秘とは「3日間排便がない状態」のことで、なんらかの原因で便が腸内にとどまりつづけることによって起こります。便が体内に長時間とどまると、悪玉菌や発がん物質などが腸の中で大量発生し、やがて血液を通して全身にまわってしまいます。それによって引き起こされる問題は頭痛、肥満、がんなど多岐にわたり、特に大腸がんは便秘による影響が大きいとして問題視されてきました。

高齢者に多い「弛緩性便秘」の原因や症状

便を押し出す力がない人に起こりやすい

便秘にはいくつかの種類や原因がありますが、特に高齢者や産後の女性に多いのが弛緩性便秘(しかんせいべんぴ)と呼ばれるものです。弛緩性便秘は、筋力や消化器官の機能が低下することで、便を押し出す力が弱くなるために起こる便秘です。腹筋の弱い高齢者や女性がなりやすく、男性でも運動不足の人に多い健康異常だといわれています。

原因は老化や過度なダイエット

弛緩性便秘は、便を外へ排出する「ぜん動運動」を十分に行うためのシステムがうまく機能しないために起こります。原因は次のとおりです。

  • 筋力の低下
  • 内臓の垂れ下がりによる腸のゆるみ
  • 運動不足

多くは加齢や老化によって筋力が低下したり、多産などにより筋肉などがゆるんだりして起こります。しかし、若い女性の中には、無理なダイエットによって筋肉が落ちてしまい、便を押し出せずに便秘になるケースもあります。さらに、便が長く腸内にとどまると便の水分はどんどん体内に吸収されていくため、弱い筋力では硬くなった便の排出はますます困難になり、悪循環におちいってしまうといった例も少なくありません。

症状は一見便秘と関係なさそうなものも

弛緩性便秘の症状は、腹部の膨満感や食欲低下といった胃腸に関係ありそうなものから、肩こり、手足の冷え、倦怠感など、おおよそ便秘が原因だと気づかなさそうなものまであります。代表的な症状は次のとおりです。

  • 有毒ガスが充満することで起きる膨満感や食欲低下
  • 水分がなくなるため、黒っぽいコロコロとした硬い便が出る
  • 悪玉菌などの毒素の影響から起きる肌荒れ

便秘は長期化・慢性化すると有害物質が血管に通って全身をめぐってしまうことから、全身に不調や悪影響が出てしまいがちです。

弛緩性便秘の対策

下剤に依存することには問題もある

便秘を手っ取り早く解消する方法として、下剤や浣腸薬を使用する人が多いようです。特に高齢者になると便秘薬に依存する割合が高く、服薬なしに排便をコントロールすることが困難になってしまいがちです。しかし、下剤を使用し続けると耐性がついてしまい効き目が落ちたり、下剤がないと排便ができないという強迫観念にかられ便秘薬を手放せなくなってしまったりと、かえって心身ともにあまり健康的とは言えない状態になるおそれがあります。また、強い便秘薬を長期間使用していると腸の働きが弱くなるので自力に便を押し出せなくなり、結果的に便秘をいっそう誘発してしまうという負のスパイラルにおちいる可能性があります。自力での排便が困難な人は、早急に肛門科や消化器内科を受診してください。

規則正しい生活が便秘解消のカギ

軽度の便秘や下剤依存であれば、食事や生活習慣の見直しで弛緩性便秘を解消できることがあります。なるべくなら便秘薬を多用せず改善させるのが望ましいので、以下を参考にして自分の生活の見直しをはかってみてください。

  • 食生活で健康な腸を取り戻す
  • 弛緩性便秘の解消に効果的といわれるのが、食生活を改善することです。弛緩性便秘の直接的な原因は筋力の低下やゆるみですが、便秘解消に効くとされている食べ物を積極的にとることも大切です。

    食物繊維は人間の消化・吸収・排便を助ける重要な栄養素ですが、日本人の摂取量は目標量を大幅に下回っているといわれています。食物繊維が多く含まれる食材は海藻やごぼう、プルーンなどです。特にプルーンは、食物繊維のほかにも排便をうながす成分が入っているとされ、ドライプルーンはお手軽につまめることもありおすすめです。

    ヨーグルトは、腸内に善玉菌を増やす役割のある乳酸菌で発酵した食べ物です。腸内環境を整える作用があるので、毎日食べ続けるとよいとされています。

  • 運動不足を解消する
  • 弛緩性便秘は、筋力の低下で引き起こされるといわれているため、適度な運動で筋力をつけることにより根本的な改善が期待できます。また、小腸や大腸は、腸間膜という組織にぶら下がっている器官なのですが、運動をすることで腸間膜があらゆる方向へ動き、腸のぜん動運動をうながしてくれます。特に便秘薬に頼ってしまっていると腸は自力で動くことが困難になっている場合があり、運動という外部からの刺激によって動きが活発になってくれる可能性があるのです。

これら生活習慣の見直しは、軽度な弛緩性便秘には効果的といわれています。しかし、重症化してしまうと医師や専門家なしでは対処が難しい場合もありますので、自分の力だけでは改善が見込めなかったときにはすみやかに病院を受診してください。