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この蕁麻疹はストレスが原因?蕁麻疹の症状と治し方

更新日:2018/05/11 公開日:2017/03/23

蕁麻疹・痒疹・皮膚掻痒症

仕事や人間関係の悩みがあるときに蕁麻疹ができると「ストレスを解消しないと治らない」と思いがちです。しかし、蕁麻疹は原因を解消しなくても治療できます。ここでは、蕁麻疹の症状、原因、治し方、ストレス対処法を解説します。

◎短くポイントをまとめると
蕁麻疹の原因にはストレスもあるが、これ以外にも色々な原因があり得るので決めつけは禁物
もし原因がはっきり分からなくても、蕁麻疹の症状を抑える治療をすることができる
蕁麻疹が出たら我慢せず、なるべく早く皮膚科にかかることで治癒までの時間が短縮できる

全身(体幹)に起こった蕁麻疹の写真画像

仕事に追われて肉体的なストレス(疲れ)が溜まったり、人間関係に悩んで精神的なストレスを感じたりしたときに、肌にかゆくて赤いブツブツができると「ストレスで蕁麻疹(じんましん)が起こった」と考える人が多いのではないでしょうか。

かゆい蕁麻疹を治すには、原因となるストレスを解消しないといけないと思うのは自然なことです。しかし、ストレスを引き起こす原因そのもの(仕事や人間関係など)をすぐに解消するのは難しいかもしれません。けれど安心してください。蕁麻疹そのものについては原因を解消しなくても治療をすることができます。また、蕁麻疹が起こる原因はストレス以外にも多数ありますので、すぐに「ストレス=蕁麻疹」と考えるのは早計です。

ここではドクター監修のもと、蕁麻疹で起こる症状、原因、治し方、ストレスへの対処法について詳しく解説します。

蕁麻疹ではどのような症状が起こる?

蕁麻疹の症状として最初に自覚しやすいのは「かゆみ」です。急に身体の一部がかゆくなり、その場所を見てみると紅いブツブツ状の発疹(紅斑)や扁平に膨らんだ形状の発疹(膨疹)があることに気づきます。膨疹の形はさまざまで、丸かったり、線状(ミミズ腫れ)であったり、花びらや地図のような複雑な形になることもあります。下の写真は腕にできた蕁麻疹です(地図状の膨疹ができています)。

腕に起こった蕁麻疹の写真画像

蕁麻疹は顔、全身、体幹、足、腕、首など、身体のどこにでも現れます。人によって決まった場所に起こるということもなく、初めに症状が現れたところと別のところに現れることもありますし、次々に皮疹が現れて症状の出ている範囲が広がることもあります。また、多くの蕁麻疹は夕方~夜にかけて悪化しやすいという傾向があります。

子供の足に起こった蕁麻疹の写真画像

皮膚が赤くてかゆいという点では、蕁麻疹と湿疹(皮膚炎)は似たところがあるのですが、蕁麻疹は「30分~1日以内にあとかたもなく消えてしまう」という大きな特徴があります(湿疹は何日も続きます)。

ただし、蕁麻疹とメカニズムが非常によく似た病気に「血管性浮腫」というものがあり、この場合は腫れが3日間ほど持続します。血管性浮腫は顔、特に唇や目の周りによく起こります(下記の写真は唇に血管性浮腫が起きたものです)。血管性浮腫の場合は蕁麻疹と異なり、必ずしもかゆみが出るとは限りません。

顔(口唇)に起こった血管性浮腫の写真画像

こんな症状があったらすぐ病院へ!

もし、蕁麻疹に加えて吐き気や嘔吐、下痢、腹痛、頭痛、動悸、呼吸困難、けいれん、意識消失などが起こった場合は、アナフィラキシーという命の危険が迫った状態である可能性があります。すぐに救急車(119番)を呼びましょう。あらかじめ医師からアドレナリンの自己注射薬(エピペン)や気管支拡張薬が処方されているようなら躊躇せず使ってください。

蕁麻疹の原因はストレス?

では、蕁麻疹はどうして起こるのでしょうか。確かにストレスも原因の一つなのですが、これ以外にも色々な原因がありますし、一つだけでなく複数が絡んで発症するとも考えられています。下記に代表的な蕁麻疹の原因(関与する因子)を列挙します[1]。

  • アレルゲン(アレルギーを引き起こす食品や物質など)
  • 物理的刺激(圧迫、寒冷、日光、温熱、振動、水との接触など)
  • 発汗(入浴、運動、精神的緊張など)
  • 食物(ヒスタミン、食品添加物など)
  • 薬剤(造影剤、NSAIDs、防腐剤など)
  • 運動
  • 感染
  • 疲労
  • ストレス
  • 持病(膠原病、血液の病気など)

このように蕁麻疹の原因は多岐にわたりますが、一番多いのは何でしょうか。実は、原因がこれといって判明しない「特発性」の蕁麻疹が最も多く、全体の7~8割を占めます。次の多いのが物理的刺激による蕁麻疹(1割)で、汗やアレルゲンによる蕁麻疹は全体の1割に満たないような状況です。また、約4割の患者は複数の原因によって蕁麻疹が起こっていたと報告されています[2]。

ストレスというのは人それぞれ感じ方が違いますので、一般的な検査で明確な数値にできるものではありません。そのため、上記の報告ではストレスによる蕁麻疹は特発性(原因不明)の枠に入っていると考えられます。蕁麻疹の原因としてストレスは多そうですが、「原因不明=ストレス」と単純に捉えることはできません。

ストレスなどが原因で起こる特発性蕁麻疹の治療

先ほど、蕁麻疹の7~8割は原因が不明と解説しました。原因が分からなければ蕁麻疹を治すことができないのではないかと心配になってしまう方がいらっしゃるかもしれませんが、そんなことはないので安心してください。原因が分からなくても、蕁麻疹の症状を抑える治療ができます。皮膚科を受診しましょう。

蕁麻疹の治療は「原因の除去&薬物治療」

蕁麻疹の治療は基本的に「原因・悪化因子の除去・回避」と「抗ヒスタミン薬を中心とした薬物療法」を組み合わせて行います[1]。

蕁麻疹の原因が分かっている場合は、それをしないことで症状が出ることを防げます。例えば、特定の食品で蕁麻疹が出るなら、その食品を避けるという方法があります。ストレスが蕁麻疹の原因になっている可能性がある場合は、できる範囲でストレスの元から離れたり、ストレスをうまく解消したりすることが症状の改善に役立つかもしれません(この記事の後半でストレス解消法をご紹介しています)。

一方、明確な原因が分かっていない場合は除去や回避ができないので、薬を飲んで症状が出るのを抑えることになります。よく使われるのが抗ヒスタミン薬という薬剤です。この薬がなぜ効くかというと、蕁麻疹の症状が出るメカニズムに「ヒスタミン」という物質が大きく関わっているからです。

少し専門的な話になりますが、蕁麻疹の症状が出る理由は、何らかの原因で皮膚の下にいる肥満細胞が刺激を受け、ヒスタミンなどを放出するからです。ヒスタミンには毛細血管の壁をゆるめて、血管内から必要な細胞を呼び寄せるという働きがあります。血管の壁がゆるむと、細胞とともに血漿(体液の一種)が染み出てきて、皮膚の内側に溜まっていき、盛り上がってきて蕁麻疹になります。抗ヒスタミン薬は肥満細胞からヒスタミンが放出されても、その作用を弱めることができます。

なお、蕁麻疹の治療に漢方薬は使えるのか、という疑問があるようです。日本皮膚科学会の治療ガイドラインでは、漢方は「抗ヒスタミン薬のみでは効果不十分な慢性蕁麻疹について、他に適当な治療法がないときに抗ヒスタミン薬と併用して試みてもよい」と位置づけられています。蕁麻疹で最初から漢方にチャレンジするのはあまり一般的ではない治療法といえそうです。

蕁麻疹はどのくらいで治る?

蕁麻疹の治療を始めて、治るまでにはどのくらいかかるでしょうか。ある研究によると、特発性(原因不明)の蕁麻疹患者が発症してから1週間以内に皮膚科で治療を始めた場合、1週間以内に治る人は約7割、1か月以内に治る人は約8割、1年以内に治る人は9割以上という結果でした[3]。早く治療を開始すれば、すぐに効果が実感できる人が多いので、蕁麻疹が出たら我慢せず、なるべく早く皮膚科にかかることをおすすめします。

ストレスへの対処法

最後に、ストレスへの対処法についてご紹介します。慢性的なストレス状態に慣れてしまうと、自身にストレスの反応が生じていることにも気づきにくくなります。普段からストレス管理を心がけ、自身のストレスに気づくとともに、それを解消したり緩和したりするための具体的な行動を起こしていくことが重要です。ストレスの解消をはかる方法の例として、以下のようなものがあります。

リラックスをはかる

心や体の緊張をゆるめてリラックスをはかります。方法としては、ヨガや瞑想などのほか、手軽にできるものとして呼吸法(腹式呼吸)があります。

適度に身体を動かす

無理なく楽しめる程度の強度で運動をすることや、ストレッチをして筋肉をゆっくりと伸ばすことも、リラックスやストレス解消につながるといわれています。

十分で質のよい睡眠

睡眠もまた、ストレス解消につながるひとつとされます。気持ちよく目覚められ、日中に眠くなることがない、自身にとっての快適につながる睡眠をとることが大切です。また、日中に15分程度の昼寝をするのも一案です。

趣味を持ち楽しむ

生活の中に自分が好きで打ち込めることをする時間を持つようにすることも大切です。趣味を通じた出会いによって人間関係が広がったり、視野が広がったりするという利点もあります。また、楽しむことで生じる笑いも、ストレス解消に大きく役立つとされています。

話をしたり相談をしたりする

話をするだけで心が軽くなり気持ちが前向きになることがあるように、人と話すこと、特に悩みや不安などを相談することは心の健康においても有用です。話すことで頭の中が整理されて問題点や解決策がみえてきたり、話した相手に助言をもらえたりすることもあるほか、ひとりで溜め込まないことはストレスの増悪を防ぐことにもつながるといわれています。

心療内科を受診する/カウンセリングを受ける

自分でストレスがなかなか解消できない場合もあります。そんなときは1人で抱え込まずに、心療内科を受診したり、臨床心理士などによるカウンセリングを受けたりして、専門家にサポートしてもらいましょう。

まとめ

蕁麻疹はストレスで起こると思われがちですが、蕁麻疹を起こす原因は数多くあります。原因から解決していきたくなる気持ちは分かりますが、蕁麻疹の原因ははっきり分からないことも多く、またストレスもすぐにスッキリ解消することは現実的に難しいものです。蕁麻疹の不快な症状については抗ヒスタミン薬などで改善することができますので、1人で悩まずに、まずはクリニックや病院の皮膚科を受診するようにしてください。

参考文献

  1. [1]秀道広ほか. 蕁麻疹診療ガイドライン. 日皮会誌 2011; 121(7): 1339-1388
  2. [2]田中稔彦ほか. 広島大学皮膚科外来での蕁麻疹の病型別患者数. アレルギー 2006; 55(2): 134-139
  3. [3]田中稔彦ほか. 特発性の蕁麻疹の初期治療と病悩期間に関する解析. アレルギー 2015; 64(9): 1261-1268

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