お尻からの出血は痔?ほかの病気?

更新日:2017/07/18 公開日:2017/07/18

痔の基礎知識

出血や痛みというのは、痔の代表的な症状です。しかし、痔でなくても、腸や消化器系の疾患でこういった症状が出てくることもあるため、自己判断は禁物です。ドクター監修の記事で、痔と出血の関係について解説していきます。

お尻から出血があると、自分が痔にかかってしまったのではないかと心配になる人は多いでしょう。しかし、もしかすると大腸や消化器系の疾患の可能性もあるのです。お尻からの出血が見られる疾患について、詳しく見ていきましょう。

お尻からの出血と痔

痔は大きく分けて「いぼ痔(痔核:じかく)」、「切れ痔(裂肛:れっこう)」、「あな痔(痔瘻:じろう)」の3つがあります。

このうち、出血が見られるのがいぼ痔と切れ痔です。いぼ痔は発生する場所で分類が異なり、肛門と直腸を結ぶ部分(肛門管)にある「歯状線(しじょうせん)」の内側にできるものを「内痔核(ないじかく)」、外側にできるものを「外痔核(がいじかく)」と呼びます。出血が目立つのは、特に内痔核の方です。

内痔核とは

内痔核の症状

内痔核は、症状の程度によってI度~IV度までの4段階に分けられます。I度では排便の際にトイレットペーパーに血がつくなど、少量の出血が見られるようになります。しかし、痛みはそれほどなく、肛門に違和感を覚えることも少ないです。II度になると、いぼが肛門から出てくるようになりますが、自然とまた肛門へ戻っていくため、通常はいぼが出てくるという自覚はありません。III度になると、指で押さなければ戻らなくなってしまいます。Ⅲ度になるといぼ痔ができたと自覚するようになり、徐々に出血も増えていきます。そしてIV度になってしまうと、指で押しても戻らなくなってしまいます。

内痔核の原因

内痔核の原因は、肛門周辺の血流の悪化です。なんらかの原因で肛門周辺がうっ血すると徐々に膨らみを作るようになり、イボ痔になってしまうのです。特にデスクワークが中心の方は、長時間座っていることが多く、かつ常におしりへの負担がかかっている状態にあります。そのため、血流が悪くなりやすい状態にあり注意が必要です。普段からこまめにストレッチなどを取り入れて、少しでも血流をよくするような工夫を入れていきましょう。

切れ痔とは

切れ痔の症状

切れ痔でも出血が見られます。切れ痔はイボ痔と違って血流の悪化ではなく、硬い便が通過するときなどに、肛門出口付近にある皮膚(肛門上皮)が裂けてしまうことで起こる痔です。やはりトイレットペーパーなどに血がついてしまうことが多く、排便時に激しい痛みに襲われるといった特徴もあります。また、切れ痔は便秘傾向の方やいきむ癖がある人では慢性化しやすく、1度治ったと思ってもしばらくするとまた肛門上皮が切れて、出血と痛みが現れてきてしまうという点もやっかいです。

切れ痔の原因

切れ痔が発生する主な原因として、硬い便を無理に出そうとしてしまうことがあげられます。切れ痔患者の6割以上は慢性便秘であるというデータもあり、切れ痔と便秘は深い関わりがあるようです[1]。便秘による硬い便は、多くは腸の働きの低下が原因となっており、ダイエットによる偏った食事で生活習慣が乱れることや、ストレスなどによって引き起こされることもあります。便秘も切れ痔も、男性より女性に多く見られます[1][2]。

お尻からの出血と考えられる病気

お尻から出血があったからといって、必ずしも痔であるとは限りません。大腸やその他の消化器系の疾患による出血の可能性もあるからです。中には命に危険のおよぶ疾患もあるため、自己判断をするのは非常に危険と言えるでしょう。

大腸ポリープ・大腸癌

大腸にできる良性の腫瘍を、大腸ポリープと呼びます。ポリープというのは、胃腸や鼻にできるイボ状に盛り上がった組織のことで、粘膜上にできるのが特徴です。大腸ポリープの多くは体に対して悪さをすることはないのですが、何年も放っておくと大腸癌に進行してしまうことがあります。特に大腸のポリープは、初めのうちは症状が出なくても、大きくなってくると、ポリープと便が触れることにより、出血が見られるようになってきます。その場合、必ず医療機関で診察を受けるようにしましょう。

潰瘍性大腸炎

大腸の粘膜に炎症が起きてしまい、組織の欠損(潰瘍:かいよう)を起こしてしまう疾患です。この潰瘍性大腸炎でも、便に血液が混ざったり、さらにドロっとした血と便が一緒に出てくる「粘血便」なども見られたりするようになります。原因はハッキリと分かっておらず、厚生労働省から難病に指定されています。比較的軽度の症状なら薬での治療が行われますが、場合によっては手術も必要となる場合もあります。

クローン病

クローン病は、消化器系に潰瘍ができてしまったり、粘膜に炎症が起きてしまったりする疾患です。こちらも原因不明の難病であり、完治させることが難しいといわれています。腹痛や下痢などの他、出血なども代表的な症状です。肛門付近に潰瘍や炎症ができてしまった場合は、やはり痔のような出血となります。

痔の検査方法

お尻からの出血が痔かそれ以外の疾患かどうかというのは、肛門や大腸を検査することで判断していきます。痔の検査では問診や触診が行われますが、触診の際にはゴム手袋をはめて、滑りやすいようにゼリーを塗ったうえで、肛門を指に挿入して大腸の粘膜の様子まで検査します。さらに、必要があれば肛門鏡で肛門の内部を検査したり、内視鏡で大腸の内部を検査したりします。このように、肛門周辺だけでなく大腸内までしっかりと検査を行ったうえで、痔やそれ以外の疾患などを判断していきます。お尻から出血が見られた場合は自己判断で解決せずに、病院で診断してもらうようにしましょう。

参考文献

  1. [1]日本大腸肛門病学会. “肛門疾患(痔核・痔瘻・裂肛)診療ガイドライン 2014年版” Minds(マインズ)ガイドラインセンター. http://www.coloproctology.gr.jp/files/uploads/%E8%82%9B%E9%96%80%E7%96%BE%E6%82%A3%E8%A8%BA%E7%99%82%E3%82%AC%E3%82%A4%E3%83%89%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%B32014-2%E5%88%B7.pdf (参照2017-06-29)
  2. [2]厚生労働省. “平成 25 年 国民生活基礎調査の概況” 厚生労働省. http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa13/dl/16.pdf (参照2017-06-29)

この病気・症状の初診に向いている科 肛門外科

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