妊婦がなりやすい痔とは?

更新日:2017/07/18 公開日:2017/07/18

痔の基礎知識

女性は妊娠すると痔になりやすくなってしまうといわれています。妊婦生活中に痔にならないためにも、しっかりと対策をしておきたいところです。ドクター監修の記事で、妊婦生活と痔の関係について解説していきます。

妊婦になると、痔になりやすくなるといわれています。痔とは無縁の妊婦生活を送るためにも、その原因やメカニズムなどをきちんと理解して、しっかりと対策をしていきたいところです。

妊娠による痔の特徴やそのメカニズム

痔の症状は大きく分けて3種類ありますが、その中でも妊娠中になりやすいのは「いぼ痔(痔核:じかく)」と「切れ痔(裂肛:れっこう)」の2つといわれています。

妊娠中にかかりやすい痔1:いぼ痔

痔の中でも、もっとも悩まされている人が多いといわれているのが「いぼ痔」です[1]。妊娠中、とくに妊娠後期は子宮が大きくなり、直腸や肛門周辺の血流が悪くなってしまいます。そこがうっ血することによって腫れが生じ、いぼ痔が形成されやすくなります。

いぼ痔はできる場所によって、「内痔核(ないじかく)」と「外痔核(がいじかく)」の2種類に分かれます。肛門と直腸の境目にある「歯状線(しじょうせん)」という部分の内側(口側)にできると内痔核、外側(肛門側)にできると外痔核となります。

内痔核は、症状の程度によってI度~IV度までの4段階に分けられます。I度では排便の際にトイレットペーパーに血がつくなど、少量の出血が見られるようになります。しかし、痛みはそれほどなく、肛門に違和感を覚えることも少ないです。II度になると、いぼが肛門から出てくるようになりますが、自然とまた肛門へ戻っていくため、通常はいぼが出てくるという自覚はありません。III度になると、指で押さなければ戻らなくなってしまいます。Ⅲ度になるといぼ痔ができた自覚するようになり、徐々に出血も増えていきます。そしてIV度になってしまうと、指で押しても戻らなくなってしまいます。

外痔核は、肛門の周りが腫れることで異物感や痛みをともなうことがあります。外痔核の血流が悪化して血まめ(血栓)ができた状態(血栓性外痔核:けっせんせいがいじかく)では、痛みが激しくなり、血栓を摘除する緊急の手術を必要とする場合があります。

妊娠中にかかりやすい痔2:切れ痔

切れ痔も妊娠中になりやすい痔の1つです。切れ痔が発生する原因の一つに、硬い便を無理矢理出そうとしてしまう際、肛門の内側にある「肛門管上皮」が裂けてしまうことがあげられます。特に妊娠中は、子宮が大きくなることにより腸が圧迫され便秘を引き起こし、切れ痔にかかりやすくなってしまいます。また、妊娠中の食生活の変化や、運動不足も便秘の原因となります[2]。

切れ痔になると、血はそれほど出ない場合が多いようですが、痛みはいぼ痔より強いものとなります。その理由は、切れ痔が発生する肛門管上皮には、知覚神経が密集しており、そのため裂傷が発生すると激しく痛むのです。

妊娠による痔の治療

妊娠中でも、医療機関へ行けば痔の治療を行うことは可能です。軟膏や座薬など、薬での治療がメインになるでしょう。

ただし、市販の薬を自己判断で使用するのはやめましょう。市販されている痔の薬には「ステロイド」が含まれていることがあるため、過剰に使用すると胎児に影響を与えてしまう可能性があるからです。また、出産後も授乳期間であれば、市販の薬を使用するのは控えましょう。

妊娠による痔の予防

妊娠中の痔の予防するためには、血流を促進すること、便が硬くならないように食物繊維をしっかりととるなど、根本的な原因から解決していくことが大事になります。以下のポイントに気をつけましょう。

血流の促進

肛門周辺の血流を促進することは、痔の対策として重要となります。特にお風呂に入ると、血流を促進することができるうえに、おしりを清潔に保てたり、ストレスの解消になったりもするので、おすすめです。自分の体調と相談しつつ、こまめに入浴をするとよいでしょう。

便秘の予防

妊娠による痔を予防するためには、まず便秘や下痢をしないような生活を心がけることが大切となります。1日3食をしっかりととり、食物繊維を多めにとるようにしましょう。それ以外の生活習慣もきちんと整えることが大切です。睡眠は十分にとり、なるべくストレスのたまらない生活を心がけてください。

トイレで強くいきまない

なるべくおなかに力をかけないことも大切です。排便の際、なかなか出ないとついつい力を入れてしまいますが、そうすると肛門がうっ血して、痔が引き起こされてしまうことがあるのです。便意を感じたときにすぐにトイレへ行くことも大切です。

参考文献

  1. [1]日本大腸肛門病学会. “肛門疾患(痔核・痔瘻・裂肛)診療ガイドライン 2014年版” Minds(マインズ)ガイドラインセンター. http://www.coloproctology.gr.jp/files/uploads/%E8%82%9B%E9%96%80%E7%96%BE%E6%82%A3%E8%A8%BA%E7%99%82%E3%82%AC%E3%82%A4%E3%83%89%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%B32014-2%E5%88%B7.pdf (参照2017-06-29)
  2. [2]高野正博. V妊娠・分娩と痔疾患, 日本大腸肛門病会誌 1990; 43: 1077-1082

この病気・症状の初診に向いている科 肛門外科

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