「血が出るけど痛くない痔」の正体は?病院に行くべき?

更新日:2018/03/28 公開日:2017/04/24

痔の種類

トイレに行ったら紙に血がついているのに痛みはない。こういう場合は痔のケースが多いですが、「血が出るけど痛くない痔」の正体は何なのでしょうか? 別の病気の可能性も気になるところです。病院に行くべきか、どう対応すべきかなど、ドクター監修のもと解説します。

◎短くポイントをまとめると
血が出るけど痛くない痔は「いぼ痔」(特に内痔核の初期)がほとんど
初期のいぼ痔であれば、排便・生活習慣の改善や市販薬で治療できる
出血が暗赤色だったり、症状が悪化したりするような場合は病院(肛門科や消化器科)へ

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痛みはないのに、トイレでお尻を拭いて血がついていたり、肛門付近に違和感があったりしたら、その原因は一体何なのか心配になってしまいますよね。こういう場合の多くは痔です。デリケートな部分なので誰にも知られずに治したいものの、この出血や違和感は本当に痔によるものかどうかも気になるところですよね。

この記事では、ドクター監修のもと、「血が出るけど痛くない痔」の正体は何なのか、別の病気の可能性はあるのか、また病院に行くべきなのか、どう対応すればいいのかなどについて、詳しく解説します。

「血が出るけど痛くない痔」の正体は?

痛みを伴わないお尻の違和感や出血は、多くの場合「痔核(じかく)」が原因です。痔核は「いぼ痔」とも呼ばれるので、聞き覚えがある方も多いでしょう。いぼ痔とは、その名の通りお尻にいぼができる病気で、その正体は肛門周辺にある静脈がふくれてできた瘤(こぶ)です。

いぼ痔は痛くない?

いぼ痔は、直腸側にできる「内痔核」(ないじかく)と、肛門側にできる「外痔核」(がいじかく)の2つに分けられますが、特に内痔核の初期では痛みがほとんどないといわれています。その理由は、内痔核ができる場所には知覚神経がほとんど通っていないからです。しかし、内痔核が進行すると痛みを感じるようになってきます。

内痔核の症状は?

内痔核の初期には下記のような症状が出ることが多いといわれています[1]。

  • 真っ赤な血が出る(主に排便時で、運動時や歩行時に出血する場合も)
  • 出血は排便時だけで、排便後まで持続しない
  • 出血量は紙に少し付くくらいから、便器にほとばしる程度までさまざま
  • 肛門付近の不快感

内痔核が進行するとどうなる?

内痔核が治らないまま進行すると、いぼが肛門の外に飛び出す状態になるようになります。

具体的には、進行度順に下記のような自覚症状が出ます[1]。

  • 排便時にいぼが肛門の外に飛び出すが、排便後に自然に戻る
  • 飛び出したいぼは、手で押し込まないと戻らない
  • 常にいぼが飛び出しており、手で押し込んでも戻らない

初期では痛みを感じることが少ない内痔核ですが、このように痔核が脱出したときには痛みを感じるようになります。また、排便時だけでなく、運動時や歩行時、重いものを持ったり、しゃがんだりして腹圧がかかった拍子に起こることもあります。

いぼ痔になる原因は何?

いぼ痔になる原因は、便やおならが漏れないようにガードする「肛門クッション」とそれを支える組織が弱くなってしまったことだと考えられています。また、肛門にかかる圧力が高いと、血流が悪くなってうっ血してしまい、いぼができやすくなります。このような状態に陥るのは、下記のような排便・生活習慣が関連しているといわれています[1]。

  • 排便時にいきむ
  • トイレに長時間座っている
  • 便秘などで排便回数が少ない
  • 重いものを扱う仕事に従事している
  • 長時間にわたり座り続ける(デスクワークなど)
  • 野菜の摂取量が少ない
  • 妊娠している

「血が出るけど痛くない痔」は自分で治せる?

「血が出るけど痛くない痔」、すなわち内痔核の初期であれば、前述したような排便・生活習慣を改めることで症状の改善が期待できます。具体的には下記のようなことです[1]。

内痔核を治すための排便・生活習慣

  • 排便時にいきまない
  • 便器に座り続けない
  • 便意は我慢しない
  • トイレは短時間ですませる
  • 長時間の座りっぱなしを避ける
  • 身体を冷やさない
  • 入浴などで肛門付近を温める
  • 十分な水分と食物繊維の摂取
  • 節酒・禁酒
  • 疲れたら無理せず休む
  • 精神的ストレスの発散

市販薬を使ったほうがいい?

ドラッグストアに行くと、たくさんの種類の痔の薬が売られています。坐薬やお尻に塗る軟膏、内服薬などがあります(内痔核は直腸側にあるので、軟膏よりも坐薬の方がよいとされています[1])。いずれも出血、痛み、かゆみなどの症状を緩和するものであり、いぼ痔そのものを治す効果がある薬ではありません。詳しくは『痔の市販薬の使い分けと効果について』をご覧ください。

気になる症状が続くときは早めに病院へ

排便・生活習慣の改善に取り組み、市販薬を10日間くらい使っても症状が改善しない場合は、肛門科や消化器科などの病院を受診しましょう。

一番問題になるのは、痔だと思っていても、実は別の病気である場合です。痔核は赤い鮮血が出るのが特徴なので、暗赤色の出血(下血)や便に混ざった出血(血便)である場合は痔核ではなく、別の病気によって直腸や結腸から出血している可能性があります。また、痔核の脱出だと思っていても、本当は直腸・肛門ポリープや直腸脱などである場合もあります。そのため、病院では必要に応じて直腸内の指診や大腸の内視鏡検査などを行います。

もし、「血が出るけど痛くない痔」が痔核だったとしても、排便・生活習慣や市販薬で改善できなかった場合は、病状が進行してしまいます。そうなると、症状が重くなり、痛みや生活上の不便を伴うようになります。病院では重症度などに応じて、注射や外科手術などによる治療を行います。詳しくは『内痔核の治療法は?内痔核の症状や手術』をご覧ください。

まとめ

ここまで、「血が出るけど痛くない痔」の正体とその症状、原因、対応法などについて述べてきました。内痔核の初期である場合が多いですが、まれながら大腸や直腸のがんだった、ということもあり得ます。特に毎年の職場や自治体での健診で便の検査をしていない方は要注意です。排便・生活習慣の改善や市販薬で少し様子を見るのはいいですが、出血などの症状が続かない/悪化する場合は早めに病院(肛門科、消化器科)を受診してください。

参考文献

  1. [1]日本大腸肛門病学会. “肛門疾患(痔核・痔瘻・裂肛)診療ガイドライン 2014年版

この病気・症状の初診に向いている科 肛門外科

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