「アレルギー検査」とは

更新日:2017/08/18 公開日:2016/04/13

血や尿などの検体を調べる「検体検査」

アレルギー検査は、どんな物質(アレルゲン)がアレルギー症状の原因になっているのかを知るための一つの方法です。アレルギーの主な原因や検査の手法、何の数値を調べるのか、何科に行けばいいのかなど、医師監修のもとでご紹介します。

ヘルスケア大学参画ドクター

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人間には、体の外から入ってきた細菌やウイルスを防いだり、体の中にできたがん細胞を排除したりするために免疫システムが備わっています。しかし、この免疫システムが本来は起こらないはずの花粉、ダニ、ほこり、食べ物などに対して過剰に働いてしまうことがあり、これをアレルギー反応と言います。このアレルギー反応を引き起こす物質をアレルゲンと呼びます。

主なアレルギーの原因(アレルゲン)となるもの

アレルゲンには多くの種類がありますが、代表的なものをご紹介します。

・ダニ

掃除機で部屋の床を掃除すると、その塵(ハウスダスト)の1gあたりに数百匹のダニがいるといわれています。そのダニの7~9割は「ヒョウヒダニ」(コナヒョウダニ、ヤケヒョウダニ)という種類のダニです。ダニそのもの、もしくは死骸、糞などがアレルゲンとなって、気管支喘息や鼻炎、結膜炎などが引き起こされます[1]。

・黒カビ

ホコリの中は黒カビが増えやすいといわれています。黒カビは繁殖力が強く、空気中に胞子をばらまきます。湿気の多い梅雨や冬の結露などは黒カビを発生させる原因になります。

・細菌

ハウスダストには細菌も含まれています。小さいため、目で確認することはできませんが、知らない間に吸い込んでいる可能性があります。また、細菌はダニのエサにもなり、ダニを増やす原因にもなります。

・花粉

花粉は衣類やかばん、靴などについたものが部屋に入ったり、風に運ばれたりして窓から入ってくることがあります。春のスギ、初夏のブタクサなど季節によって花粉の種類が異なります。

・食べ物

日本において、食物アレルギーの原因(アレルゲン)として一番多いのは「鶏卵」です。次いで、牛乳・乳製品、小麦、ピーナッツなどが多いとされています。

主なアレルギー検査

アレルギー検査は、どんな物質(アレルゲン)がアレルギー症状の原因になっているのかを知るための一つの方法です。よく行われるアレルギー検査として、血液検査、皮膚検査、負荷試験、食物除去試験の4つがあります。

血液検査

アレルギーがあると、血中に特定のアレルゲンに反応する物質(IgE抗体)が増えます。この抗体の量が多いかどうかを調べる検査が「血中抗原特異的IgE抗体検査」です。ただし、陽性であっても実際には症状が出ないこともあり、この検査だけではアレルギーがあるかどうか確実に判定することはできません。

IgE抗体以外にも、好酸球という免疫細胞の一種の数を調べたり、皮膚のアレルギー反応による炎症の度合いを測るために乳酸脱水素酵素(LDH、LD)やTARCといったタンパク質を調べたりすることもあります。

皮膚検査

・プリックテスト

皮膚に針で小さな傷をつけ、原因と思われるアレルゲンを傷に少量垂らしてアレルギー反応が出るか見ます。15分後に赤くなったり、湿疹ができたりしていれば、垂らした物質がアレルゲンと考えられます。

・パッチテスト

パッチテストでは、原因と思われるアレルゲンを専用のパッチに垂らし、皮膚に貼りつけます。その状態で2日間あるいは3日間過ごし、皮膚が赤くなるかを見て診断する検査です。

・皮内テスト

原因と思われるアレルゲンを皮膚内に直接注入する検査です。しかし、ショックの危険などがあるため、あまり行われません。

負荷試験

原因と思われるアレルゲンを一定期間だけ完全に避け、その後に避けていたアレルゲンを摂取してアレルギー反応が出るかを見る検査です。どの程度まで安心して摂取できる(症状が出ない)のかを確認します。症状が強く出る場合がありますので、安全のために入院して検査を行うこともあります。

食物除去試験

アトピー性皮膚炎の原因として食物の可能性が高い場合に行います。疑わしい食物を除去した食事を数週間続けて湿疹の経過を観察します。母乳育児の場合には、母親が食べる食事から原因物質を取り除いて様子を見ることもあります。

その他の試験

他にも、喘息の可能性がある場合は、肺機能検査(肺のふくらみを見て、肺活量や気管支の狭さなどを測定する検査)や、気道過敏性試験(アレルゲンを吸入し、呼吸機能を見る検査)、花粉症の可能性がある場合のアレルギー検査には、目の検査(専用のブラシを作成し、眼脂や結膜を採取し、顕微鏡で観察)や鼻の検査(アレルギー物質を鼻に入れ、粘膜の様子を観察)があります。

アレルギー検査をするには何科にいけばいいの?

アレルギー検査を受けるには、アレルギー科がお勧めです。しかし、アレルギー科が近所にない場合は、目立つ症状によって受診する科を決めるとよいでしょう。発疹や蕁麻疹などの皮膚の症状が強いなら皮膚科、鼻づまりや口の中のかゆみがあるなら耳鼻咽喉科、息苦しさ(呼吸しづらさ)があれば呼吸器科になります。総合的に症状を見てくれる内科でも対応してくれます。

お子さんのアレルギーについては、まずは小児科で相談してみましょう。疑わしい症状が現れた場合は、勝手な自己判断はせず、きちんと検査を受けるようにしましょう。

アレルギーの症状によっては専門の科を改めて受診することを勧められることもあります。医師の指示に従って適切な機関でアレルギー検査を受けましょう。

アレルギー検査を受けるのはいつ?

アレルギー診療の原則は「症状から診断する」ことです。血液検査で陽性でも症状が出ないことはよくありますし、逆に陰性でも症状が出ないこともあります。一般的な医療機関では、症状がないのに検査をすることはありません。医師の診察の上で、症状に対応して必要な検査を行います。

なかには離乳食前にアレルギー検査を希望される保護者の方がいらっしゃいますが、食品のアレルゲンは数が多く、そのすべてを検査することはできません。繰り返しになりますが、血液検査で陽性であっても実際には症状が出ないのはよくあることで、症状が出ていない段階で検査をするのはお子さんにいらぬ負担をかけるだけです。

アレルギー検査では何か症状があり、アレルゲンである可能性が高いものに絞ってピンポイントで検査をするものです。アレルゲンの候補を見つけ出すためには、症状が出始めた時期や具体的な症状、症状が現れたきっかけ、その後の経過などの情報があると診断の参考になります。

重篤なアレルギー「アナフィラキシー」

最後に、アレルギー症状のなかでも命にかかわる「アナフィラキシー」についてご紹介しておきます。

アナフィラキシーとは、アレルゲンなどの侵入により、全身の複数の臓器にアレルギー症状が起きて、命の危険がある状態のことをいいます。さらに血圧の低下や意識障害を伴う場合は「アナフィラキシーショック」と呼ばれます。数分で呼吸停止や心停止に至ることもありますので、一刻も早い対処が必要です。

・皮膚・粘膜症状

アナフィラキシー患者の80~90%に見られ、アレルギーの症状としても、もっとも一般的でよく知られた症状です。皮膚の赤み・かゆみやじんましん、むくみがもっともよく知られています。目のかゆみや結膜の充血、涙が出る、まぶたや唇・舌が腫れるなど、粘膜の症状が出ることもよくあります。

・呼吸器症状

気道(空気の通り道)がむくみを起こすことによって起こる症状で、アナフィラキシー患者のうち最大で70%に見られます。主な症状としては、鼻水・鼻づまり、のどが詰まった感じ、喘鳴(呼吸の音がゼイゼイまたはヒューヒューする)、咳、息切れ、息が苦しい感じなどがあります。ひどい場合には、顔色や全身の色が悪く、特に唇や指先が紫色になる「チアノーゼ」を起こし、窒息して呼吸が止まることがあります。

・消化器症状

アナフィラキシー患者のうち最大で45%に見られる症状で、腹痛、吐き気・嘔吐、下痢、物が飲み込めない感じなどがあります。特に食物がアレルゲンの場合に多いといわれていますが、蜂刺されなど、その他のアレルゲンでも起こる症状です。

・中枢神経系の症状

アナフィラキシーを起こしたときに、不安、不穏、脈を打つ感じの頭痛、フワフワするめまい、視野が狭くなる感じなどをともなうことがあります。アナフィラキシー患者のうちで最大15%に見られる症状です。症状が似ていることから、過換気症候群やパニック発作との見分けがつかないことがあります。

・心血管系の症状

アナフィラキシー患者の最大45%に見られるもので、胸が痛み、脈が速くなり、血圧の低下などが起こります。血圧が下がると、気の遠くなる感じや、身体のだるさを感じます。ひどい場合は気を失ったり、失禁したりすることもあります。もっとも重い場合は心臓が止まることもあります。

アナフィラキシーの可能性があるようなら、一刻も早く病院を受診してください。今までにアナフィラキシーを起こしたことがある人にはアドレナリン自己注射薬(エピペン)が処方されることがあります。アナフィラキシーの消化器症状(繰り返し吐く、強い腹痛)、呼吸器症状(強い咳込み、息のしにくさなど)、全身症状(唇や爪が青白い、意識が朦朧としている、失禁など)があれば躊躇せずにエピペンを使用し、病院に行ってください。

参考文献

  1. [1]医学大辞典 第19版. 南山堂 2006
  2. [2]厚生労働科学研究班.食物アレルギーの診療の手引き2014._http://www.foodallergy.jp/manual2014.pdf_ (参照2017-08-17)
  3. [3]日本アレルギー学会. "アナフィラキシーガイドライン" 日本アレルギー学会. http://www.jsaweb.jp/modules/journal/index.php?content_id=4(参照2017-08-17)