切れ痔の原因とは

更新日:2017/04/09 公開日:2017/04/09

痔核の治療・手術法

日本人の3人に1人は痔の症状に悩まされているといわれています。中でも女性における「切れ痔」の発症率は高い数値を示しています。「切れ痔」の原因と発生メカニズムについて、ドクター監修の記事を参考にお届けします。

女性の方に多いといわれる「切れ痔」、その原因のほとんどは便秘であるともいわれています。女性の方が便秘になりやすい原因の1つに、ダイエットなどにより食生活が変動することがあげられます。家庭の医学として、切れ痔の基礎知識を蓄えておくことも大切です。切れ痔の原因と、その発生メカニズム、肛門の構造についてご案内します。

切れ痔とは

切れ痔とは、肛門部分の裂傷のことを言います。肛門の歯状線の外側にある肛門上皮と呼ばれる部分が、なんらかの理由により裂けたり、切れたりした場合に発症します。

肛門上皮は痛覚が多いため、排便のたびに激しい痛みを感じることになります。また、出血をともなうことも多く、下着やトイレットペーパーににじむ程度から、便器が真っ赤になるほどのおびただしい出血をすることもあります。裂け痔、裂肛(れっこう)とも呼ばれ、比較的女性の方に起こりやすい疾患のひとつです。

切れ痔の原因とは

切れ痔になる原因はさまざまですが、多くの場合、排便の状態と腹圧が影響します。便秘や出産時に、お腹に力を入れ過ぎることによって発症することがあります。出産時の腹圧は、女性が切れ痔になりやすい理由のひとつです。

便秘による切れ痔

切れ痔になる肛門上皮という部位は、人体の皮膚の中でも弾力性がなく、比較的血流も乏しいところです。そのため、ささいな刺激によって切れたり、炎症を起こしたりする傾向にあります。

便秘になると、排便が滞り、便が硬くなります。硬くなった便を無理に押し出すためには、強い腹圧をかけなければなりません。強い腹圧に押し出された硬い便は、無理に肛門を押し広げて通過していきます。弾力性のない肛門上皮は、無理やり押し広げられることで裂けてしまうのです。

慢性の下痢による切れ痔

下痢症状になると軟便、あるいは水便が排泄されることがあります。これらの水分を大量に含んだ便は、肛門部分の皮膚粘膜に浸透しやすい傾向にあります。くりかえされることで炎症を起こし、皮膚粘膜が弱くなります。弱くなった肛門上皮の皮膚粘膜は、より切れ痔を発症しやすい状態となります。

内肛門括約筋(ないこうもんかつやくきん)の緊張による切れ痔

切れ痔になる患者の方の肛門の内圧は、そうではない方の肛門内圧より高い傾向にあります。これは内肛門括約筋(ないこうもんかつやくきん)が緊張しているためです。

肛門上皮へとつながる血管は、内肛門括約筋(ないこうもんかつやくきん)の中を通過します。この内肛門括約筋(ないこうもんかつやくきん)が緊張すると、その内部を通過する血管は圧迫され、肛門上皮への血流が滞ることになります。虚血状態となった肛門上皮の粘膜は、ますます切れ痔になりやすいと言えます。

いぼ痔(内痔核)による出血

肛門内に収まっていたいぼ痔(内痔核)が、排便の際などに便と一緒に肛門外へ出てしまうことがあります。このときの刺激で肛門上皮が切れてしまうこともあります。

いぼ痔(内痔核)と切れ痔を合併して発症している方は少なくありません。

切れ痔の発生メカニズムとは

切れ痔の発生メカニズムは、人間が立ったり座ったりして生活することが大きく影響しています。人間という動物が、四足歩行から二足歩行になることによって得たものは、腰痛と痔とさえいわれるほどです。

人間が立って生活することによって、上半身の重さがそのまま腰や肛門に荷重されるようになりました。負担を強いられた腰や肛門周辺の筋肉と血管は収縮し、血流を鈍らせてしまいます。そのため、うっ血がすすみ、炎症を起こしやすい状態を招いてしまうのです。

また、切れ痔になるのは肛門上皮においても背中側であることがほとんどです。その理由として、背中側の血流が少ないこと、そして直腸から下りてきた便が背中側にぶつかる傾向にあるため、傷つきやすいことがあげられます。さまざまな負荷を強いられている肛門が、ささいな刺激によって裂けたり炎症を起こしたりしてしまうのは、そう難しいことではないといえます。

肛門のメカニズム

肛門は、内肛門括約筋(ないこうもんかつやくきん)と外肛門括約筋(がいこうもんかつやくきん)という筋肉と粘膜によって、排便の際に開いたり閉じたりします。実はこの閉じた状態というのは、完全ではなく1mmほどのすき間があるのです。そのすき間を埋め合わせるために、肛門の粘膜の下にクッションのようなものがあります。クッションを構成するのは、静脈叢(じょうみゃくそう)と呼ばれる毛細血管や静脈と平滑筋、弾性線維です。これらの結合組織は加齢とともに劣化する傾向にあります。肛門周辺が切れやすく出血しやすい理由のひとつと言えます。

ただし、出血しても周辺に静脈叢(じょうみゃくそう)があるため、白血球による殺菌効果により、化膿を防ぐことができます。

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