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熱中症の対策は春から!意外と多い春の熱中症

更新日:2018/04/17 公開日:2018/04/17

熱中症(熱射病・日射病)の予防・対策・応急処置

近年では夏になると熱中症の情報がマスコミ等で周知され、多くの国民が対策をするようになってきました。しかし、実は「春」から熱中症への警戒が必要であるのをご存知ですか? ここでは春の熱中症についてドクター監修のもと解説します。

◎短くポイントをまとめると
9月の残暑の頃と同じかそれ以上に、春(5月)は熱中症への警戒が必要
天気予報で「夏日」「蒸し暑い日」と言っていたら、春の熱中症リスクが高いと思って対策する
熱中症対策では、水分およびミネラルの補給と、環境の調整(エアコンや服装など)が大事

春の熱中症のイメージ写真

春の熱中症で死亡者も!

冬の寒さが緩み、温暖な春はスポーツやレジャーなどに最適な季節。ゴールデンウィークにお出かけの予定を立てている方も多いのではないでしょうか。ここで気をつけていただきたいのが、春の熱中症です。

「春に熱中症?」と不思議に思う方も多いかもしれません。熱中症のピークは梅雨明けの7月下旬から8月上旬なので、猛暑日に起きるものというイメージがありますが、実は春にも熱中症で救急搬送されている人が少なくないのです。

5月に約3000人が熱中症で救急搬送

消防庁の統計によると、春(5月)に熱中症で救急搬送された人数(全国)は下記の通りです[1]。

  • 2015年:搬送人員2904人、死亡者3人
  • 2016年:搬送人員2788人、死亡者1人
  • 2017年:搬送人員3401人、死亡者2人

7月や8月では月に約2万人が救急搬送されるので、これに比べると5月は少ないです。しかし、2017年と2015年では9月の搬送人数よりも5月の方が約1500人多くなっていました。つまり、9月の残暑の頃と同じか、それ以上に、春は熱中症への警戒が必要なのです。

ちなみに、消防庁は2014年以前においては5月のデータを調査していませんでした[1]。このことから、春の熱中症はここ数年のうちに認識されてきたものであると考えられます。まだ多くの人に知られていないので、この記事をお読みの方はぜひ周りの人に教えてあげてください。

残暑より春に熱中症が多い理由

9月より5月に熱中症が多い理由のひとつに、「暑熱馴化」(しょねつじゅんか)があります。これは数日から数週間にわたり暑いところにいると、その環境に適応して身体を調節するようになるという人体の仕組みです。

暑熱馴化すると、発汗しやすくし、皮膚表面の血管を広げて熱を放散しやすくします。また、体液量を増やし、汗に含まれるミネラルを減らすことで脱水症状を起こしにくくします。さらに、体内で熱を発生させるような作用のあるホルモンの分泌が低下します。このようにして、高温・高湿度でも生きていけるようにしているのです。

5月はまだ暑熱馴化ができていない時期ですので、例年より高温・高湿度になる日があると、身体がその気候の変化に対応できず、熱中症を起こしやすくなるのです。逆に9月は暑熱馴化ができている時期ですので、5月の暑い日と同じような気候であっても熱中症にかかりにくいと考えられます。

ちなみに、年中暑い南の国のような地域では、人間は長期の暑熱馴化をして、ずっと暑いところでも暮らせるようになります。一方、日本のように四季のある地域では、暑熱馴化をしたままだと秋・冬を迎えるのに都合が悪いので、暑くなくなると暑熱馴化を解いて通常モードになるように調節されています(寒さに対応するための寒冷馴化というシステムもあります)。

春の熱中症はどういうときが危ない?

それでは、春のどのような気候が熱中症の発症リスクを上げるのでしょうか。

熱中症は、人間にとって適切な体温がキープできずに、異常に上がってしまったときに起こります。つまり、身体に入ってくる熱が高く、その熱を逃がすことができないときに熱中症になりやすくなります。具体的には下記のような条件のときです[2]。

  • 気温が高いとき(春は25℃以上から注意が必要)
  • 湿度が高いとき(汗が蒸発しにくく、熱がこもりやすい)
  • 風がない~弱いとき(汗が蒸発しにくい)
  • 日差しが強いとき
  • 道路や建物からの放射熱が強いとき

これらの条件を組み合わせた指標として「WBGT」(暑さ指数)というものがあります。このWBGTが21℃以上の場合は熱中症に注意が必要になります。WBGTは環境省の『熱中症予防情報サイト』にて、4月下旬から確認することができます。また、WBGTについて詳しくは『WBGT(暑さ指数)とはなに?』をご覧ください。

もっとも簡単な方法は、毎日の天気予報を確認することです。「今日は夏日です」「蒸し暑い日です」と言っていたら、春の熱中症リスクが高いと思って対策することをおすすめします。

春の熱中症はどう予防すればいい?

春に限らず、熱中症対策は屋外にいるときはもちろん、屋内にいるときも注意が必要です。屋外ではスポーツや労働をしている人に多く、屋内では独居の高齢者や病気をお持ちの方に多いと言われています。熱中症対策では、水分およびミネラルの補給と、環境の調整が大事です。

水分およびミネラルの補給

体温を調節するのに重要なのが「発汗」です。身体に水分が足りないと十分に発汗できず、熱がこもってしまうので、熱中症対策ではこまめに水分補給を行うことが大切です。ただし、汗には水だけでなくミネラルも含まれているため、水分だけでなく失われたミネラルも一緒に摂取しましょう。

「経口補水液」は、水分が体内に素早く吸収されるよう、ナトリウムとブドウ糖の濃度が調節された飲み物です。市販されている経口補水液はカリウムも含み、脱水時の水分補給に適したものとなっています。

また、スポーツドリンクでの水分補給もおすすめです。ただし、ミネラルが少なく糖分が多いので、飲みすぎには注意が必要です。スポーツドリンクを水で薄めて、塩を少し足して飲むと、より経口補水液に近い組成になります。また、梅昆布茶やみそ汁なども塩分や電解質が含まれているので、脱水時の水分補給として使えます。

水だけしかない場合は、塩飴などの塩分・糖分が補給できるものと一緒に飲むようにしましょう。水だけだと、体内のナトリウム濃度を薄めてしまい、けいれんを起こしやすくなります。また、水分だけ補給しても、浸透圧の関係で体外に排出されてしまい、あまり水分を補給したことになりません。

環境の調整

春のうちからエアコンを付けるのにはためらいがあるかもしれませんが、前述した通り、春は暑熱馴化ができていない、暑さに弱い身体の状態なので、我慢せずにエアコンを付けましょう。服装も、気温に合わせて脱ぎやすいものを選びましょう。

春で気候が良いからといって、ずっと屋外を歩き続けるような無茶な外出の計画を立てるのも考えものです。数時間に一度ゆっくり休憩を取れるような、余裕のある計画にしましょう。スポーツについても同様です。

春の熱中症になってしまったら?

最後に、熱中症になってしまった場合の対処法について解説します。

軽症なら自分で処置が可能

めまいや大量の汗が出る、こむら返りを起こすなどの状態であれば、すぐに涼しい場所へ移動させて、服の締め付けを緩めて安静にさせたのち、体温を下げる工夫(下着の上に霧吹きで水を吹きかけたり、保冷剤でわきの下、後頭部、左右の太ももの付け根を冷やしたりする)を行います。自分で水分を飲むことができ、10~20分で症状が改善できればそのまま様子を見ていても大丈夫です。しかし、回復しない場合や、意識がもうろうとしている場合は重症化の可能性がありますので、すみやかに病院を受診しましょう。特に熱中症の場合は、病状が変わりやすく、わずかな間に重症化してしまうことがあります。ひとりにせず、家族など誰かが必ずそばで回復を見守ることが大切です。

中等症以上は躊躇せずに病院へ搬送

頭痛、嘔吐、集中力や判断力の低下、身体の力が抜ける感じ(倦怠感、虚脱感)がある場合は、中等症(熱疲労)であり、医療機関への受診が必要です。救急車を呼んでかまいません。揺すらないと反応しないくらい意識障害がある場合は重症の可能性が高いので、一刻も早く病院に搬送しましょう。

参考文献

  1. [1]総務省消防庁. 平成29年(5月から9月)の熱中症による救急搬送状況. 報道資料(平成29年10月18日)
  2. http://www.fdma.go.jp/neuter/topics/houdou/h29/10/291018_houdou_3.pdf (参照2018-04-17)
  3. [2]日本救急医学会. "熱中症診療ガイドライン2015" 日本救急医学会.

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