スキンケア講座

世間に知られているスキンケアには意外に間違っていることが多いのをご存知ですか?スキンケア大学では、医師が本当のスキンケアの知識をレクチャーします。

妊娠線のスキンケア

片山聖子

麻布ビューティークリニック 片山聖子

麻布ビューティークリニック医師。都内大学病院にて一般皮膚科を中心として麻酔科、救命救急医療などを習得。2003年には日本初の総合病院内に設立された美容外科である北里研究所美容医学センターにて美容皮膚科を担当。

妊娠線のスキンケア

妊婦
図 1 以前は「しょうがないこと」とあきらめてられていた妊娠線ですが、最近はスキンケアで予防する人が増えています

妊娠と同時に気になってくるのが妊娠線についてではないでしょうか。妊娠線は妊娠6〜7ヶ月の妊婦さんのうち、およそ半数程度に現われてくるという報告もあります。個人差がりますが、お腹が大きくなりはじめる妊娠5〜7ヶ月頃にできることが多いようです。しかし最近はケアにより悩まれる方も少なくなっています。まずはメカニズムから見てみましょう。

妊娠線ができるメカニズム

妊娠線のできる原因は大きく分けると二つあります。まずは皮膚の急激な伸び。妊娠中は体重も増加し、ヒップやバスト、そしてお腹も大きくなります。皮膚の表面は一緒に伸びることができますが、その下にある真皮や皮下組織の一部であるコラーゲン、弾性線維は急激な伸びにはついていけません。そのためコラーゲンや弾性線維に断裂が起こり、赤紫色の線状斑が現われるのです。

表皮
図 2 急激に皮膚がのびて真皮内のコラーゲンが切れてしまいます

もう一つの原因はステロイドホルモンの影響です。妊娠中はコルチコステロイドというホルモンの分泌が増加しますが、このホルモンには肌の弾力を失わせる働きがあります。皮膚は通常、ターンオーバーという新陳代謝を通して日々生まれ変わっています。しかしこのホルモンが活性化する影響で、ターンオーバーの働きが抑制され、コラーゲンの生成も抑えられてしまいます。つまり肌が元気に生まれ変わることが難しくなってしまうのです。

ターンオーバーの働きが抑制された肌は次第に弾力を失い、肌そのものが弱くなってしまうため、妊娠中は、いつも以上に皮膚組織の断裂が起こりやすくなってしまっているのです。

お手入れ方法

近年は妊娠線についての情報も多くなり、多くの妊婦さんが積極的にお手入れをするようになったため、妊娠線が現われなかったという妊婦さんも少なくありません。

効果的な予防方法としては、まずは体重のコントロールが挙げられます。あまり急激に体重を増やしてしまうと、当然真皮の伸びは追いつきにくくなるので、お医者様からの体重指導に従うことが妊娠線の予防につながります。

そして肌の弾力を保つにはやはり保湿ケアが重要です。専用のクリームやオイル、美容液などで保湿をしながら潤いを与えやさしくケアすることで、妊娠中でも肌をハリのある柔らかい状態にしておくことが可能となります。
妊娠線のケアはお腹が大きくなり始めるころからスタートさせたほうが良いですが、臨月に入っても忘れずにケアを続けることが大切です。出産前の一週間は妊娠線が最も出来やすく、特に自分では見えないお腹の下側に出来てしまう人が多いようです。しっかりケアしていてなかったはずの妊娠線が、出産後に現われた!ということがないように、最後までケアを怠らず、下側などの見えにくいところのお手入れもしっかり行ないましょう。

いずれにせよ、あまり神経質にならず、マタニティライフを楽しみながらケアをするのがよいのではないでしょうか。


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