高木誠 先生

東京都済生会中央病院 院長

【特集:東京都済生会中央病院】2017年5月8日新主棟オープン

高木誠

100周年事業の中心となる「新主棟」の完成への想い

計画から10年の歳月をかけ、地域の様々な方とともに進めてきた建て替え計画も、2017年5月のオープンに向け、粛々と進んでおります。

現在の病棟(主棟)は50周年記念で建てられたもので、さまざまな時代を乗り越えてきた歴史と伝統に包まれた建物ではありますが、やはり老朽化が目立ち、いろいろと支障が出ています。次世代の新しい医療に対応するためにも、建て替え計画は、私たち職員の悲願と言っても過言ではありません。

実は、現在の建て替え計画の前に、地域整備計画の一環として建て替えの計画もあったのですが、経済の動向なども影響して白紙になっていました。

しかし、次世代の医療と地域のニーズに対応するために建て替えを行うことはとても大切であるとの想いから、院長として、改めて建て替え計画を再始動するとともに、職員とともに、また、地域の方々のご協力のもと、オープン目前まで進めてくることができました。

当院は健全経営を続けているとはいえ、病院経営を取り巻く環境は、年々厳しさを増しております。そういった中で、職員が一丸となり、また地域の方々に支えられ、新主棟の完成とともに、地域医療の強化と次世代の医療へますます貢献できることは、すべての職員が待ち望んでいたことです。

建て替え計画では、建物=ハードは新しくなり近代的な設備が揃いますが、職員=ソフトがそれに追いついていかなければなりません。計画に基づき、5か年計画では職員へ改善を促し、地域の方々にもご協力を頂き、ようやくオープンするということは、院長として非常にうれしく、また、気が引き締まる気持ちです。

私は慶應大学を卒業してからずっと、東京都済生会中央病院とともに成長してまいりました。その昔、私の祖父母が当院を受診していたので、現在の病棟の前の病棟に幼少期にお見舞いに来ていました。そういった幼少期の思い出も相まって、済生会への思いが、私自身の中に強くあります。

また、当院は慶應義塾大学の関連病院ということもあり、大学とも非常に近い病院でもあります。加えて「慶應義塾大学関連病院会」の会長として、恥ずかしくない病院にしたいという思いもあります。

関連病院の中で500床以上の大きな病院は23区内では当院を含めて2つだけで、今回の新主棟完成を機に、なお一層、関連病院をけん引できるよう、医師の教育や研究、診療のレベルアップに貢献していきたいと思っています。

新主棟オープンの情報はこちらを確認ください。

新主棟の完成で強化される東京都済生会中央病院の機能とは

私が院長になった10数年前は、糖尿病の合併症、例えば、循環器の疾患や私の専門である脳卒中など、糖尿病とそれに関連する疾患、というのが、歴史的な伝統として当院の得意な領域で、どちらかというと、内科的な領域が強いと言えました。その一方で、外科系の領域が若干弱いということが課題でもありました。

また、救急は地域の中核病院として2次救急領域を中心に行っていましたが、内科系の救急の比率が多く、外科系の救急とバランスのとれた本格的な救急医療は地域にとって大切であり、港区には3次救急を担う病院がないことからも、当院の役割は重要であると思っていました。

加えて、高齢化に伴う「がん」の診療の強化も重要な領域です。当院は内科系疾患に比重を置きがちでしたが、今後増える「がん」に対する診療機能の強化も重要なポイントでした。

当院が高次機能病院として役割を果たしていくには、外科系領域の強化と、救急医療の強化、そして、がん診療の強化、この3点の強化や改善が重要であり、私は院長として様々な施策を行ってきました。

そして新病棟の完成によって、課題であった3つのポイントが大きく改善されます。その要因のひとつとして、手術室の環境が整うことが挙げられます。

今までは手術室は7室と、規模や医療ニーズと照らし合わせても数が少なく、しかも1室は小手術室というハード面の課題があって、アクティビティが上がらなかったことも要因でした。しかし、新病棟の完成で手術室は12室となり数も改善されるので、外科系の先生方が、手術に集中できる環境が整います。

救急医療については3次救急をすでに担っていますが、ハード面で無理をしているところがありました。救急外来はスペースも狭く、救命救急病棟も急遽設置したような状況なので、重症患者さんに十分に対応できる設備や機能がない中で、スタッフは本当によくやってきたと思います。

新病棟では、手術室と救急外来、そして重症患者用の救命救急病棟のスペースを拡大し機能も強化しているので、先ほどお話した3つの事項はハード面の改善で、より強化されていくと思っています。

このような外科系の強化に加えて、地域の要望に応じて強化する診療科として、産科の再開も行います。

新病棟は患者さん中心での設計である一方で、職員のスペースを確保することも課題でした。古い建物では診療スペースのために、バックオフィスのスペースや休憩スペースが削られていく状況でしたので、アメニティの充実も重要なポイントでした。

「いい病院」にするためには、職員が満足できる環境もとても大切ですので、建て替え計画の中で、職員の要望や意見もできる限り盛り込んでいます。

100年という歴史と伝統を踏まえて、新しい時代の病院づくりが一番の抱負なので、建物がただ新しくなったというだけで「いい病院」になれるわけではありません。中身をさらに高めていくことが大切です。

「これからの医療」というものを見据えると、さまざまな議論があるなかで、当院の長所を伸ばし、今後ますます成長させていきたいと考えているのは、総合病院としての『総合力』『チーム力』『機動力』です。

当院は、大学病院のような巨大病院ではなく、500床クラスの中規模病院ですが、いろいろな機能を持ち、いろいろな診療科があって、様々な専門家と職種が居て、しかもそれがチーム力よく動き、機動力を持って、当院の力を最大限生かして、患者さんの持っている様々な問題を解決していきたい、と思っています。

工事中は、患者さんや地域の皆様にご迷惑をおかけしました。2017年5月、新しくなる東京都済生会中央病院にご期待ください。

新主棟オープンの情報はこちらを確認ください。