三角隆彦 先生

済生会横浜市東部病院 院長

済生会横浜市東部病院 三角隆彦 院長先生

三角隆彦

横浜市の「地域中核病院」の体制と地域医療構想

人口約370万人の横浜市には、市民病院、みなと赤十字病院、脳血管医療センターの3つの市立病院と、横浜市立大学附属病院と市大センター病院があります。これと別に、昭和40年代からの郊外地域の人口増加に合わせて、市の中心部を除く市内6つの地域にそれぞれ民間の力を活用した「地域中核病院」を計画的に整備してきた経緯があります。

昭和58年の「済生会横浜市南部病院」を皮切りに、「聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院」「横浜労災病院」「昭和大学横浜市北部病院」、そして10年前に「済生会横浜市東部病院」が開院し、5年前に「国立病院機構横浜医療センター」が改築に合わせて横浜市の地域中核病院として参画しました。実に30数年の年月をかけて整備をしてきました。

この整備計画で「地域中核病院」に求められていることは大きく2つ、高度医療と救急医療施設の充実です。また、日本全国の地域で現在進められている地域医療構想は、「高度急性期」「急性期」「回復期」「慢性期」と、病院の機能を4つに分ける方向性で進んでいます。

済生会横浜市東部病院は、鶴見区を中心に50万人の人口に対応する病院として、こういった要件や構想に沿いながら、命に関わる最重症の救急患者さんを受け入れる「3次救急」の病院として、また、4つの病院機能のうち「高度急性期」「急性期」を中心に運営しています。2014年には、救命救急センターに加えて「横浜市重症外傷センター」を開設し、外傷救急医療体制を構築して救命率の向上を図っています。

病院完結型医療から地域完結型医療へ

近年の医療は、「病院完結型」から「地域完結型」の方向へ進んでいます。以前は、例えば救急で入院治療の場合、治療が終わり退院するまで、ひとつの病院で完結していました。しかし近年は、より効率的に医療を提供するために、急性期の治療が終わると、回復のためのリハビリや治療に特化した病院へ転院する「病病連携(病院と病院の連携)」が当たり前になりました。

患者さんやご家族に転院をお願いすることは、とても心苦しいのですが、緊急事態はいつ発生するかわからないので、当院のような「3次救急」の病院では、常に空きベッドを確保しておかなければなりません。

病院の機能分化が進む中で、よりスムーズに転院ができるよう、当院は鶴見区の6病院(汐田総合病院、佐々木病院、徳田病院、生麦病院、ふれあい鶴見ホスピタル、平和病院)と連携し、救急治療後の転院がスムーズにおこなえる体制を整えております。

地域完結型医療でもうひとつ大切なのは、地域の診療所(かかりつけ医)との「病診連携(病院と診療所の連携)」です。

地域の診療所の先生方は、地域の皆さんに最も身近なかかりつけ医です。日常的によくある病気は、かかりつけの先生を受診すると思います。その中で、より精密な検査や、手術や高度な医療が必要な場合は当院へ紹介されます。診療所での治療歴や検査結果を記した紹介状とともに、当院を受診いただきます。

当院は、700を越える地域の診療所やクリニックに登録医として登録いただいており、「パートナー」として、より質の高い医療を提供するために、きめ細かく連携しています。

このように、地域全体を大きな総合病院のように見立て、病院の機能と患者さんの治療に合わせて、地域全体で患者さんを支える医療が進んでいます。ぜひ、ご理解いただきご協力いただきたく思います。

地域で完結できる医療を目指して。高度医療の提供体制を構築

住み慣れた地域で多くの病気を治療でき、住み慣れた場所で退院後の生活ができる。こんな当たり前の安心できる暮らしを実現するために、遠くの大学病院にいかなくても、横浜市東部病院で治療ができるように、高度医療の提供を構築しています。

例えば、脳腫瘍の治療などに使う「サイバーナイフ」という高度な治療機器の導入や、最先端の手術ロボットの「ダヴィンチ」を活用した、がん治療の治療実績を重ねたり、心臓弁膜症では最新治療法「TAVI」の実践、一刻を争う脳卒中治療では、血栓を溶かす「t-PA療法」や、脳動脈瘤の破裂を防ぐ「コイル塞栓術」など、最先端の脳卒中治療を行っており、この地域で高度な医療も完結できるよう、治療環境を整えております。

「地域医療支援病院」として、地域で完結する「地域完結型医療」を推進するため、大学病院に負けないトップレベルの医療を継続して提供していくということと、地域の病院や診療所と連携をしながら、地域医療に貢献していきたいと思っています。