美白成分とは?
山手皮膚科クリニック 豊福一朋
山手皮膚科クリニック院長。カナダ、米国で5年間にわたりメラニンの研究と皮膚科のトレーニングに携わってきました。シミ治療の知識や経験が豊富で、雑誌の取材をよく受けています。
昨今様々な研究が進められている美白成分。その中で厚生労働省が認可している美白成分は9種類です(2011年2月22日現在)。しかし認可はされていないけれど非常に効果的な成分もありますので、成分の作用の仕方などを知って医薬部外品や化粧品を選ぶ時の参考にしてみてください。

図 1 美しい白い肌はいつの時代も人気
最初に美白成分を含んだ「美白剤」における医薬品、医薬部外品、化粧品の違いをみてみましょう。
■医薬品
主に病気の治療を目的とし、医師の診断のもと処方される薬。
■医薬部外品
厚生労働省の認可を受ける必要があります。予防や皮膚を清潔に保つことを目的にしているため、効果は穏やかですが、化粧品にはない有用性が認められ、「人体に何らかの改善効果をもたらすもの」として認められているということになります。
■化粧品
人の身体に清潔、美化、魅力を増し、容貌を変え、又は皮膚若しくは毛髪をすこやかに保つために、身体に使うものを指します。医薬部外品よりもさらに人に対する効果・作用が穏やかなものです。
今回は、厚生労働省が認可し、「医薬部外品」の中に含まれる美白成分についてご説明します。厚生労働省が認めた美白成分を使用した美白化粧品は「メラニン色素生成を抑えることにより日焼けによるしみ・そばかすを防ぐ」という目的のもとに作られています。
■厚生労働省が認可している美白美白成分は9種類だけ
世の中で美白とうたわれる成分はたくさんありますが、厚生労働省の認可を受けた成分は9種類しかありません。また認可を受けた製品は、承認を受けたの決められた分量を配合する必要があります。下記の成分のうち、1つでも含まれていれば美白の効能をうたえ、美白化粧品として医薬部外品の認可を受けることができます。以下にその9つの美白成分をご紹介いたします。

ビタミンC誘導体
ビタミンC誘導体は、メラニンが生成されるプロセスを阻害し、紫外線で増える活性酸素を消去します。ビタミンCは、化粧品に配合すると壊れやすい性質を持っていることから、ビタミンCを誘導体にして安定化させることで化粧品に配合しています。抗酸化作用もあり、アンチエイジングやニキビの炎症を抑えるにも役立ちます。
アルブチン
アルブチンには、α-アルブチンとβ- アルブチンがあり、どちらもハイドロキノン誘導体です。古くから化粧品に配合されていたのはβ- アルブチンで、通常「アルブチン」というと、β-アルブチンのことを指します。αアルブチンのほうはチロシナーゼに直接作用し、β- アルブチン に比べて10倍以上強力にメラニンの合成を阻害する働きがあり、その上にハイドロキノンに比べ皮膚への刺激はほとんどなく安定した成分です。
・α-アルブチン
メラニン色素を合成するチロシナーゼという酵素の活性メラニン合成酵素を抑える作用に優れています。ハイドロキノンは即効性がある半面、肌に刺激がでやすい成分ですが、α-アルブチンは、即効性はないものの肌にトラブルが出ません。日焼けによるシミ・ソバカスを防ぐ美白化粧品に使われます。
・β-アルブチン
コケモモやウワウルシ、ナシなどから抽出された成分で、体の中に吸収されてハイドロキノンと同じ働きをします。β-アルブチンはメラノサイト内で酵素チロシ ナーゼに直接作用してメラニン色素の生産を抑制することにより美白効果を出します。
コウジ酸
コウジ酸は、みそやしょうゆなど麹菌由来の成分です。メラニン色素合成に必要な酵素であるチロシナーゼの働きを抑え、シミ・色素沈着の治療に効果的です。酒などの醸造所でコウジ菌を扱う人の手が白く美しいことから発見されました。
エラグ酸
エラグ酸は、イチゴから抽出された成分。チロシナーゼの働きを抑える働きがあり、高い美白効果が得られます。ハイドロキノンとほぼ同等の美白効果があります。
ルシノール
北欧のもみの木に含まれる成分をヒントにして作られた成分。ハイドロキノンと似た構造を持ち、肌への浸透性がよく安定性が高いのが特徴で、チロシナーゼ生成を阻害する効果は、コウジ酸の約5倍、アルブチンの約400倍ともいわれています。
リノール酸・リノール酸S
紅花油から抽出された成分。浸透性が高く、そのまま配合すると表皮を通り越して、真皮にまで浸透してしまうので、高い美白効果が得られないとされてきました。メラノサイトに有効成分を留まるように作られたのがリノール酸Sで、チロシナーゼ酵素を分解して、余分なメラニンを生成させないように働きます。リノール酸Sは、肝斑に大変効果的です。
カモミラET
薬草のカモミールに含まれる成分。美白効果の他に、保湿・消炎・血行促進作用など美肌成分があります。シミを作るようにメラノサイトに指令を出す情報伝達物質エンドセリンを抑制し、メラニン色素を作るメラノサイトが増殖・活性化するのを防ぎます。
t-AMCHA(トラネキサム酸)
医薬品の抗炎症剤として知られています。シミ以外の周囲の皮膚には影響を与えずに、炎症を抑制し、美白効果を高めます。シミだけでなく、にきび跡の色素沈着などに非常に効果的です。
4MSK(4-メトキシサリチル酸カリウム塩)
ターンオーバーを正常に働かせることで、メラニンが正常に排出される働きがあり、また、メラノサイトに直接働きかけて、メラニンの生成を抑制する効果もあります。
マグノリグナン
植物に含まれる天然化合物を元に作られた成分。チロシナーゼの働きを阻害し、メラニンの生成を阻害します。肝斑にも効果的で、ほかの美白成分との相乗効果もあるとされています。
プラセンタエキス
豚の胎盤から抽出された成分。肌の新陳代謝を高めてメラニン色素の排出を促す働きがあります。
■その他の美白成分
上記の他にも医薬部外品の有効成分リストには含まれていませんが、多くの美白に効果的な成分があります。これらは一般化粧品としての美白化粧品に配合されています。
油溶性甘草エキス(グラブリジン)
甘草という漢方薬から抽出した成分。チロシナーゼが生成されるのを阻害する働きがあります。消炎作用・抗酸化作用にも優れています。肝斑にも効果的。
ハイドロキノン(新安定型ハイドロキノン)
従来のハイドロキノンは、酸素や光に対して不安定であったのに比べて、それを安定させる物質を合成したものが新・安定型ハイドロキノンです。肌への浸透性がよく、刺激が少ない成分で、高い美白効果が得られます。
アスタキサンチン
海洋中に生息するヘマトコッカスという藻類にしか含まれていない希少な色素成分で、強い抗酸化力を持ちます。光老化の抑制、つまり、紫外線によって起こる皮膚の老化を積極的に抑制する効果です。
「美白」というと、今あるものを白くするような印象を受けるかもしれませんが、メラニンの生成を抑えるのがその役目ですから、どちらかというと「予防」の役目の方が大きいでしょう。もちろんハイドロキノンなどのようにすでにあるシミを漂白する効果があるものもありますし、基本的には予防のために使うと覚えておいてください。








