「アルツハイマー型認知症」対策

アルツハイマー型認知症対策に欠かせない正しい理解

院長 西條朋行

監修:西條クリニック院長 西條朋行先生

アルツハイマー型認知症対策のカギの一つは、早期発見です。加齢によるもの忘れとの違いなど判断に迷うこともありますので、疑わしい症状があれば早めに病院で検査を受けることをおすすめします。ご本人だけでなくご家族にも大きなショックを与える病気ではありますが、正しい知識を身につけて立ち向かっていきましょう。

アルツハイマー型認知症が起こる原因と症状

アルツハイマー型認知症の症状と経過

アルツハイマー型認知症は老化によるもの忘れと異なり、次のように記憶障害がじわじわと進行していく病気であることを忘れてはなりません。

発症前期:もの忘れが目立つ。忘れていることすら認識できない。
初期:日時・場所・人の見当がつかない。直前のことを思い出せない。
中期:適切な言葉が出てこない。服の着方など一連の動作を忘れる。位置関係を把握できない。
末期:自発的な動きや反応がなくなる。

通常は高齢者にみられますが、65歳未満で発症する若年性アルツハイマー病も増加しています。 しかし、その実態は未だ解明されていません。遺伝的要素の他にも生活習慣や環境など複数の要因が絡み合って発症する、との考えもあります。

そのなかで、「アミロイドβ」というタンパク質が注目されています。脳の老廃物とも言えるアミロイドβが脳内に沈着することで神経細胞が損傷し、複雑な脳の働きを担うシナプス(神経の活動)に障害が起きているのではないか、といわれているのです。

早めのケアで症状の進行を抑える

知的障害の度合いと時間の関係

現在の医学では脳の機能を発症前の状態に戻すことは不可能なので、生活上の障害を軽減し、その後のトラブルを減らす目的で治療が行われます。

アルツハイマー型認知症の場合、本人が自覚できないため、家族や周りの方々が単なるもの忘れとの違いを理解して早めに気づくことも大切です。例えば、加齢によるもの忘れでは食事のメニューを忘れることはありますが、認知症のように食事をした行為自体を忘れることはないなどの特徴があります。

アルツハイマー型認知症の対策には、早めの治療やケアが効果的です。ただし、根本的な治療はなく、経過にも大きな個人差があります。大事なことは、早期に正しい見立てで、起きている症状の原因を推定し、支援・治療方針を、できるだけ本人や家族を交えて決定していくことにあります。

アルツハイマー型認知症を悪化させないための心がけ

ご本人とご家族でアルツハイマー型認知症のケア

ご本人の場合:意欲的に生活を楽しみましょう

脳の機能は使わないと衰えていきますので、意識的に脳に刺激を与えていきましょう。

●趣味を楽しむ
絵を描いたり、歌ったり、野菜を育てたり……何でも構いません。少しでも楽しむ気持ちが大切です。
●適度な運動
有酸素運動により、記憶をつかさどる前頭前野という脳の一部の機能に改善がみられたとの報告もあります。ウォーキングなどを日課にするとよいでしょう。
●家庭でのリハビリ
料理や掃除、洗濯などの家事も、無理をしない範囲で積極的に取り組みましょう。これも立派なリハビリになります。
●思い出を振り返る
昔の写真や手紙を眺めて過去を思い返すことも、脳にはとてもよい刺激になります。思い出話に花を咲かせる時間を持つのもよいでしょう。

ご家族の場合:そっと寄り添ってあげる気持ちが大切

認知症になると、不安や焦りから家族にあたることも増えますし、徘徊や言動の混乱への日常的対応など家族には相当な負担となります。つい叱ったり否定したりしてしまいがちですが、このような刺激は認知症を悪化させる可能性があります。とはいえ、介護する側も無理は禁物です。次の点を心がけながら、専門家の手を借りるなどして上手に付き合っていきましょう。

●間違いを正さない
つじつまの合わない話は認知症の大きな特徴です。黙って耳を傾けてあげる気持ちの余裕を持ちましょう。
●規則正しい生活
栄養バランスのとれた食事や睡眠をしっかりとることも大切です。家に閉じこもらないように、声をかけてあげてもよいでしょう。
●急激な環境の変化を避ける
環境の変化は症状を悪化させるといわれています。慣れ親しんだ環境は、安心感を得ることができます。
●リアリティ・オリエンテーション
「今日は何日か」「ここはどこか」といった問いかけにより、認知能力の低下を防ぎます。正しい答えを強要するのではなく、話題のひとつとして取り入れてください。
●活動をサポートする
趣味などを一緒に楽しむとさらによいでしょう。思い出を語り合う時間を設けるのも有効です。

適切な治療を受けつつ、家庭内でのケアを行いながらやさしく寄り添ってあげてください。

毎日の食事でアルツハイマー型認知症の予防とケアを

家族写真

食事でとり入れたい!効果が期待できる成分

アルツハイマー型認知症の対策として期待できる栄養素があります。

■亜鉛
亜鉛欠乏により細胞分裂の異常をきたし、記憶障害が起こるといわれています。
■ビタミンD
不足すると認知症の発症リスクが高まるとの報告があります。
■ビタミンB6・B12
脳萎縮を遅らせる働きがあるとされています。

■n-3不飽和脂肪酸
魚に多く含まれる脂肪酸を摂り、トランス脂肪酸(マーガリンなど)や飽和脂肪酸(肉類・乳製品)の摂取は控えましょう。
■レスベラトロール
ブドウの果皮に含まれるポリフェノールの一種。記憶を担う海馬の働きを改善するとされています。
■イチョウ葉エキス
血行促進作用による大脳機能の向上が期待されます。
■ジオスゲニン
ヤマイモに含まれる成分。記憶力を高める効果があると発表され、アルツハイマー型認知症の改善に期待されている注目の成分です。

期待が高まるヤマイモ成分「ジオスゲニン」

アルツハイマー型認知症のケアとして期待

漢方でも「山薬(さんやく)」という滋養強壮剤として用いられるヤマイモ成分「ジオスゲニン」は、若返りホルモンといわれる「DHEA」と似た働きをするといわれています。

日本産のヤマイモには、ジオスゲニンが1%程しか含まれていませんが、中国産では多いもので約8%も含んでいるなど、産地によりジオスゲニンの含有量が異なります。また、最近の研究では、15%以上もジオスゲニンを含むヤマイモの原料開発に成功しています。

認知症に希望をもたらすジオスゲニンの働きを発見したのは、富山大学の研究でした。機能不全になった脳内の神経を改善して記憶能力の回復を図ろうと研究が進められました。その研究過程でジオスゲニンがアミロイドβを減少させる働きがあるかもしれない、ということが分かったのです。このジオスゲニンの作用によって、記憶や情報伝達をつかさどる神経が正常に近い状態に戻る可能性があります。

しかし、この効果を狙えるジオスゲニンを摂取するためには積極的にヤマイモを食べなければなりません。しかも、継続的な摂取も必要となりますので、食生活を見直し栄養素を含んだサプリメントを摂取するのも良いでしょう。

提供元:有限会社リバティ掲載日:2014/11/28