面ぽう圧出(めんぽうあっしゅつ)は、皮膚科で行われる、ニキビをグッと押して中身を出す圧出治療です。「ニキビはつぶしてはいけないのでは」と思う方もいるのではないでしょうか。ニキビを自分でつぶすのとは、何がどのように違うのか見てみましょう。
面ぽう圧出とは
ニキビの中につまっている膿や皮脂、古い角質、産毛などを出す治療を「面ぽう圧出(めんぽうあっしゅつ)」と言います。皮膚科では一般的に広く行われている治療法です。
面ぽう圧出を行うタイミングと適したニキビ
基本的には、どのようなタイプのニキビにも適した治療方法ですが、炎症が起こる前の白ニキビの段階で処理をすると、炎症を防ぐことができます。
ニキビには、大きく分けて以下の3つの段階があります。
- 白ニキビや黒ニキビ
- 赤ニキビ
- 黄ニキビや紫ニキビ
白ニキビと黒ニキビは、毛穴の入口が狭くなって中に皮脂や汚れがつまっていますが、ニキビの中で炎症は起こしていません。ちなみに、黒ニキビの黒い色は、毛穴につまった皮脂の表面が酸化して黒く見える状態です。
赤ニキビは、白ニキビや黒ニキビの中でアクネ菌が繁殖し、炎症が起きて赤く腫れている状態です。黄ニキビや紫ニキビの場合、赤ニキビよりもさらに炎症が進み、膿が溜まったり毛穴の周囲まで炎症が広がった状態となります。面ぽう圧出が適しているのは、炎症が起こる前。つまり、白ニキビや黒ニキビの段階です。
面ぽう圧出でニキビを治療する方法
面ぽう圧出は、大まかには以下の手順で行われます。
- 皮膚の消毒をする
- ニキビの先端に針またはレーザーで穴を開ける
- 面ぽう圧出器という専用の器具を使い、毛穴の中身を押し出す
毛穴の中につまった皮脂や汚れなどを物理的に押し出すことから、治療効果がすぐに現れます。また、治癒も早まるとされています。
ニキビに穴をあける理由
ニキビ先端の穴は、消毒した針またはレーザーで開けますが、いずれの方法にしろ、ニキビに穴を開けるという前処置を施すことで、ごく小さな傷だけで済みます。そのため、自分でつぶすよりもニキビ跡が残りにくいのです。なお、針であってもレーザーであっても、特に治療効果に変わりはないとされています。
穴を開けずに圧出をすると、圧力をかけたときに皮膚が破れ、大きな穴が開き、跡が残ってしまうことがあります。「指で無理やり絞り出す」など、自己流にニキビをつぶすようなことはしないようにしてください。
面ぽう圧出のメリット
面ぽう圧出を皮膚科で行ってもらうメリットとして、以下のものがあげられます。
- ニキビの治りが早くなる
- 再発しにくい
- ニキビ跡が残りにくい
それぞれについて、解説します。
- ニキビの治りが早くなる
- 圧出により膿や皮脂、産毛などを外に出すと、ニキビの治りは早くなります。それは膿を取り除いたことで、炎症が治まるからです。白ニキビや黒ニキビのように、中につまっているのが膿ではなく皮脂だとしても、面ぽう圧出を行うことで、より早くニキビを治せます。皮脂はアクネ杆菌のエサになるからです。
- 再発しづらい
- 圧出前にレーザーを使ってニキビに穴を開けると、その部分が熱の作用で殺菌されます。また、皮脂腺も熱によってダメージを受けるため、同じ箇所にはニキビができにくくなります。
- ニキビ跡が残りにくい
- 自分で無理やりニキビをつぶすと、跡が残りやすいといわれています。ニキビをつぶすこと自体は、面ぽう圧出も同じですが、面ぽう圧出は跡が残りにくい治療といわれています。自身で指や毛抜きを介して、ニキビを無理やり押しつぶした場合、まわりの皮膚などの組織もダメージを受け、ニキビ跡が残りやすくなります。しかし、面ぽう圧出をクリニックで行う場合は、ごく微細な穴をニキビ表面に空け、そこから中身を出すため周囲の組織にダメージを与えにくく、面ぽう圧出はニキビ跡が残りにくいと考えられています。
面ぽう圧出のリスク
上述の通り、面ぽう圧出によって中身を出すと、ニキビの治りが早くなります。クリニックで行われる面ぽう圧出はしっかりと衛生管理されており、無理やりニキビをつぶす治療でもないため、リスクはほぼないと考えてよいでしょう。
しかし、「ニキビをつぶすと跡になる」といわれる通り、素人が自分でニキビをつぶすと、雑菌が入ったり、必要以上に皮膚を傷つけ、悪化させてしまうことがあります。
化膿すると簡単には治りにくくなり、またニキビ跡が残るリスクが高まります。自分でニキビをつぶすのは避けましょう。
ニキビができていると、無意識のうちにニキビをいじっている人も少なくありません。やがて、ニキビに触れるのがクセになり、つぶしてしまいがちですが、ニキビができたら、「絶対に触らない」と強く意識することが大事です。
保険が適用されるニキビ治療
面ぽう圧出は、主にニキビの治療として皮膚科で行われますが、ニキビの治療に健康保険は適用されるのでしょうか。
保険が適用されるのは、ニキビの治療の中でも一部の治療のみとなっています。保険が適用されるニキビ治療は、以下のものです。
- 面ぽう圧出
- ディフェリンゲルの外用薬による治療
- 抗生物質の外用薬による治療
- 抗生物質の内服薬による治療
- ビタミン剤による治療
- 注射治療
- ステロイド注射治療(成分によっては保険適用外となることもあります)
今回、解説している面ぽう圧出は、保険適用の治療方法です。
一方、自由診療となる治療の一例として、以下のものがあります。
- レーザー治療
- ホルモン治療
- ケミカルピーリング
- イオン導入
保険が適用されるかどうかは、負担する費用に大きく関わってきます。保険適用される治療かどうかを頭に入れつつ、医師と治療方法について話し合うようにしましょう。
まとめ
クリニックで行われる治療とはいえ、ニキビをつぶしてはいけないという知識を持っている方からすると、面ぽう圧出は跡が残ってしまうのではと考えられるかもしれません。しかし、今回説明したように面ぽう圧出をすることでニキビ跡が残ることは少なく、それ以上に、以下のようなメリットがあります。
- すぐに治療効果が現れる
- 治癒が早くなる
- 再発しにくくなる
面ぽう圧出が、特に力を発揮する白ニキビや黒ニキビでは、皮膚科を受診するほどではないと考える方も多いかもしれません。しかし、ニキビは初期段階で適切な治療を行うことで、跡を残さずきれいに治すことができる場合がほとんどです。面ぽう圧出は保険適用の治療なので、ニキビに気づいたら皮膚科で相談してみることをおすすめします。
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