外陰部とは、外性器とも呼ばれる、陰核(クリトリス)、大陰唇、小陰唇、膣口などを含む部分を指します。複雑な形になっており、角質層が薄く、蒸れやすいため、様々なトラブルが起こりやすいパーツです。
誰でも経験するような「かゆみ」のような症状から、「がん」のような病気まで、程度もさまざまです。今回は、そんな外陰部のトラブルについて解説します。
外陰部のトラブルで多いのが「かゆみ」
外陰部のトラブルで最も多いのが「かゆみ」です。主なかゆみの原因や症状には以下のようなものがあります。
(1)ナプキンや下着によるかぶれ
ナプキンやパンティーライナー、ムレやすい下着などをつけることによって起こるかぶれです。ナプキンやパンティーライナーはこまめに換えて雑菌の繁殖を防ぎ、コットンやシルクなどの通気性のよい下着を選んで着用してください。
(2)膣炎
膣内が細菌やかびなどに感染し、炎症を起こした状態を言います。菌の種類には大腸菌、トリコモナス、カンジダなどがあります。カンジタは健康な女性であれば誰もがある常在菌ですが、疲れやストレスで免疫力が落ちると増殖し、炎症を引き起こします。また、ホルモンバランスのくずれによって起こる「萎縮性腟炎」もあります。
治療は、座薬(膣錠)、内服薬、外用薬など。ホルモンが原因の場合はホルモン補充療法を行うことがあります。
(3)ヘルペス
性感染が多いヘルペスは、外陰部に水泡や潰瘍ができる病気です。外陰部の水泡がつぶれると、強い痛みを感じます。治療は抗ウィルス剤で、内服薬、外用薬、点滴などを使います。
(4)外陰掻痒症(がいいんそうようしょう)
原因が特定できない外陰部のかゆみを総称して外陰掻痒症(がいいんそうようしょう)と呼びます。主には、抗ヒスタミン配合や副腎皮質配合のクリームを使ってケアします。
外科的治療が必要な外陰部のトラブルも
以下のような外陰部のトラブルは、外科的な治療が必要となります。
(1)バルトリン腺のう胞・バルトリン腺炎
バルトリン腺とは膣口部にある分泌腺で、ここに細菌が入って炎症を起こすものをバルトリン腺炎、バルトリン腺の粘液が排出される部分が詰まって粘液がたまったものをバルトリン腺のう胞と呼びます。
炎症などの症状がないバルトリン腺のう胞はとくに治療を必要としませんが、炎症が繰り返し起こる場合などは手術します。
また、バルトリン腺炎は膿がたまることが多いため、この場合も抗生物質で治療したり、切開して膿を取り除く処置を行います。
(2)外陰がん
外陰部にできるがんの総称です。症状によっては、慢性湿疹に間違われることもあります。
約80%が扁平上皮がんという外陰部の皮膚の上層にできるものです。次に多いのがパジェット病というがんで、比較的進行が遅く、完治しやすいと言われています。
約5~10%と少ないものの、皮膚がんの中でも悪性度が高い悪性黒色種(メラノーマ)という皮膚がんの可能性もあります。治療は手術による切除が基本ですが、放射線治療、化学療法を行うこともあります。
(3)尖圭コンジローマ
ヒトパピローマ・ウィルスが原因でイボができる病気です。子宮頚部・大・小陰唇や腟前庭、会陰、尿道口、肛門のまわりや肛門内、腟などのさまざまな部位にできます。
大きさも数ミリから数センチと幅が広く、レーザーなどで切除したり、塗り薬で治療します。再発を繰り返しやすいので、根気良く治療を続けることが大切です。
日常生活に気を付けることで外陰部のトラブルを回避
色々な病気について説明しましたが、多くのケースはナプキンやおりものシートの長時間の使用や下着などの締め付け、洗いすぎ、寝不足や過労などの抵抗力を弱める生活習慣が原因です。
これらは生活習慣を見直すことで回避できますので、正しい陰部のケアを行い、トラブルを未然に防ぎましょう。
※外陰部のかゆみの適切なケア方法については、『誰にも聞けない!陰部のかゆみの原因と対処法』をご参照ください。
正しい外陰部のケアを行い、それでもトラブルが発生したり、改善しないようであれば、早めにクリニックを受診するようにしましょう。
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