スキンケア大学 ヘルスケア大学 メンズスキンケア大学

掌蹠角化症は完治する?症状を軽くする治療薬は?

更新日:2018/08/17 公開日:2014/05/03

角化症

掌蹠角化症(しょうせきかくかしょう)は、手のひら(掌)や足の裏(蹠)の角層がとても分厚くなる(角化症)という病気です。多くは乳幼児の頃から症状が出ます。遺伝子の多様性により起こる生まれつきの病気なので、完治させるのは難しいですが、分厚くなった皮膚を柔らかくして目立たなくさせる治療薬を使って、症状を軽減することができます。ここでは、掌蹠角化症についてドクター監修のもと詳しく解説します。

◎短くポイントをまとめると
掌蹠角化症は手のひらや足の裏の角層がとても分厚くなる病気
生まれつきの病気で、乳幼児の頃から発症することが多い
いくつかのタイプがあり、病院で詳しく診察・検査をしないと診断できない
完治させる根本的な治療はないが、症状を抑える治療薬はある

手のひらの写真

掌蹠角化症とは?

掌蹠角化症の読み方は「しょうせきかくかしょう」です。掌は手のひら、蹠は足の裏のことを指し、これらの部位の皮膚の角層がとても分厚くなる(角化症)という病気です。

どんな症状が出るの?

角層は皮膚の最も外側にあり、肌の水分を保ち、細菌などの侵入を防ぐバリアーとして重要な役割を果たしています。しかし掌蹠角化症では、この角層が異常に分厚くなってしまい、ガサガサして黄色っぽくなったり、デコボコしたりします。

※掌蹠角化症の症例画像は下記で見ることができます。
『DermNet NZ』

どのくらい患者がいるの?

日本には約4000人の患者がいると言われています。難病、つまり稀で、原因がよく分かっておらず、治療方法も確立しておらず、長期間にわたって生活面で差し障りのある病気のひとつであり、大学病院などで研究が進められています。

原因は?

掌蹠角化症といえば通常は「先天性」(生まれつき)のものを指します。先天性なので、そこには遺伝子が大きく関係していると考えられますが、原因となっている遺伝子がはっきり分かっていないタイプもあります。遺伝の形式もタイプによって異なり、親が患者で子供も発症したというケースもあれば、家族内に患者がいないのに発症したというケースもあります。

掌蹠角化症は完治する?

掌蹠角化症は生まれつきの病気で、遺伝子そのものを正常化する治療法がまだ開発されてないので、現状では完治は難しいと言わざるを得ません。しかし、分厚くなった角層を柔らかくしたり、目立たなくしたりする治療法はあります。うまく症状をコントロールして付き合っていく病気です。

掌蹠角化症の主なタイプ

一言で掌蹠角化症といっても、その見た目(臨床症状)はさまざまで、いくつかのタイプ(病型)に分けられています(後述)。医師でも見た目で判断することは難しく、皮膚の一部を切り取って顕微鏡で見たり(皮膚生検)、家族の中で同じような症状が出た人がいたかどうかを確認したり、遺伝子検査を行ったりして判断します。

長島型

日本に多いタイプです。乳幼児期から発症します。角層が分厚くなるのは手のひらや足の裏だけでなく、手の甲や足の甲にまで及びますが、他の部分へ波及することはなく、程度も比較的軽いです。

ウンナ・トスト型

手の平や足の裏の角層が分厚くなり、その周りが軽く赤らむのが特徴です。その部分から汗がたくさん出る(多汗症)をともなう場合もあります。生後数週間で発症することが多いです。ケラチン1遺伝子の変異による患者が報告されています。

フェルナー型

見た目はウンナ・トスト型と見分けが付きませんが、皮膚生検をすると違いがわかります。ケラチンK9遺伝子の変異と関係があるようです。

メレダ型

血のつながった同士の結婚により起こりやすいタイプで、日本にはほとんどいません。生まれてすぐに赤みを帯びた角層の肥厚が見られ、年を取るにつれて手足の甲、肘や膝へと拡大していきます。精神発達の遅れをともなうことがあります。ARS B(SLURP-1)という遺伝子の変異と関係があるようです。

パピヨン・ルフェーブル症候群

皮膚の見た目はメレダ病と似ていますが、歯周病を併発するのが特徴です。乳歯の時点で歯周病になり、4~5歳頃までに歯が抜けてしまいます。その後に永久歯が生えてきますが、やはり歯周病が起こり、永久歯も抜けてしまいます。カテプシンC遺伝子に変異があるといわれています。

ここまで、代表的なタイプをあげてきました。この他にもいくつか種類がありますが、基本的には生まれつき、乳幼児期に発症する病気です。患者数も非常に少ない病気なので、その診断や治療は大学病院などの皮膚科専門医が担当することになることが一般的です。心配であれば、まずお近くの皮膚科や小児科の医師に診てもらいましょう。詳しい検査が必要なら大学病院などの専門医を紹介してくれます。

掌蹠角化症の治療は?

前述したように、掌蹠角化症は根本的に完治させる治療法は残念ながら開発されていません。その代わり、症状を抑えて日常生活を送れるような治療薬を使います。

よく使われているのは、角層を柔らかくする作用をもつ「サリチル酸ワセリン」の外用です。また、異常に固くなった角化部分をはがしやすくする「レチノイド」を服用することもあります。場合によっては、分厚くなった角層を削り取る処置や、外科的に皮膚を移植することも検討されることがあります。

なかなか治らない病気なので、人によっては漢方薬やビタミン投与などを試してみたくなることがあるかもしれません。周りの人から色々なものを勧められることもあるでしょう。試してみるのは個人の自由ですが、それで症状が抑えられないのであれば、我慢して使い続けても良いことはありません。何かやってみたいことがあれば、まずは主治医に相談してからにしましょう。

※掌蹠が分厚くなるのではなく、白~黄色の膿が入った水ぶくれ(膿疱)が多発する「掌蹠膿疱症」という病気もあります。詳しくは『教えてドクター!掌蹠膿疱症お悩みホットライン』をご覧ください。

参考文献

  1. ・難病情報センター. 皮膚疾患分野 掌蹠角化症(平成24年度)
  2. http://www.nanbyou.or.jp/entry/3268 (参照2018-07-24)
  3. ・清水宏著. あたらしい皮膚科学. 第2版. 中山書店. 2011; 260-263
  4. ・飯塚一. 標準皮膚科学 第10版. 医学書院 2013; 259-260

この病気・症状の初診に向いている科 皮膚科

ヘルスケア本