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パントテン酸の肌への効果と副作用

更新日:2017.11.29
公開日:2014.05.15
ドクター画像
この記事の監修者
広尾プライム皮膚科 医師 谷口由紀

パントテン酸は、ビタミンB群の1つで、体中の細胞や組織を維持するための成分です。また、ビタミンCの働きを助け、美しく健康な肌の実現に役立ちます。パントテン酸のニキビ・肌荒れへの効果について、ドクター監修のもと解説します。

ビタミンB群の一種であるパントテン酸は、エネルギーや脂質の代謝に関わるとともに、美肌ビタミンであるビタミンCの働きを助け、ニキビや肌荒れを防ぐ効果もあります。このパントテン酸の働きや摂取方法、注意点について、詳しく見てみましょう。

パントテン酸とは

パントテン酸は、多くの食品に含まれる水溶性のビタミンで、ビタミンB5というビタミンB群の1つに数えられます。体内では主に、以下のような働きを担っています。

  • エネルギーの代謝
  • 糖質やタンパク質の代謝
  • コレステロールやホルモン、免疫抗体の合成
  • 肌や粘膜の健康維持

パントテン酸は、エネルギーの代謝と密接な関係にあり、健康な身体を維持するためには必要不可欠な成分です。代謝に役立つ酵素のうち、実に100種類以上がパントテン酸なしには作られないものとなっています。

また、神経細胞の合成や神経伝達とも関わりがあるため、心身ともに欠かせないビタミンです。さらに、免疫機能を高めてストレスに対抗するホルモン(コルチゾール)の産生を助けるため、「抗ストレス」ビタミンと呼ばれることがあります。

パントテン酸という名前は、ギリシャ語で「あらゆるところ」を意味する「Pantothen」が由来です。その名のとおり、非常に多くの食品に含まれていることに加え、腸内でも作られているので、通常の生活ではパントテン酸の欠乏はめったに起こりません。

しかし、抗生物質を服用していたり、腸内細菌の働きが十分に行われていなかったりする場合には、ごくまれに不足することもあります。ストレスによって減少したり、アルコールやカフェインの摂取により吸収が阻害されることもあります。

パントテン酸不足による影響

先に見てきたとおり、パントテン酸の欠乏はめったにないと考えられますが、万が一、不足すると、

  • 疲れやすくなる
  • 便秘になる
  • 手足の知覚異常が起きる
  • めまいや頭痛
  • 動悸

などの症状が出る場合があります。さらに進むと、手足の麻痺や、臓器の機能不全が起こるおそれもあります。また、妊娠中や授乳中の女性は、パントテン酸を多く消費しているため、意識して摂るようにしましょう。

パントテン酸の肌への効果・効能

パントテン酸は、あらゆる細胞や組織の正常な働きを助けており、とくに肌に関しての役割は重要です。

ビタミンCの働きを助けて、健康で丈夫な肌を作る

肌トラブルに効果的な成分の1つにビタミンCがありますが、パントテン酸にはビタミンCの働きを助ける役割があります。

ビタミンCがしっかり働くと真皮層でコラーゲンが生成され、ハリと弾力のある、毛穴の目立たない肌を実現することができます。活性酸素による肌ダメージを防いだり、皮脂の分泌を抑制してニキビを予防したりする効果もあります。

一方、コラーゲンが満足に作られないと、肌を外部の刺激から保護することが難しくなります。皮膚細胞がダメージを受けるとニキビや肌荒れのもととなるので、十分にパントテン酸を摂る必要があるというわけです。

ストレスを和らげる

ストレスは肌の大敵です。ストレスが溜まっていると活性酸素が増加して、皮膚細胞を傷つけることに繋がります。あらゆる肌トラブルの背後にはストレスがあるといってよいでしょう。

パントテン酸は、ストレスへの抵抗力を高めるコルチゾール(副腎皮質ホルモン)の働きを促進させます。副腎皮質ホルモンが分泌されると血糖値が上がり、ストレスに対抗することができるようになります。

肌の生まれ変わりやバリア機能にも関与

パントテン酸をはじめとするビタミンB群は、肌細胞の生まれ変わりを助けるターンオーバーを促す働きを持っています。

肌のバリア機能を高めるセラミドや細胞間脂質を増やす働きもあり、外的刺激に強い、うるおいに満ちた肌を作るためにも欠かせません。ニキビや肌荒れだけでなく、乾燥肌やアトピー肌などにもうれしい成分といえるでしょう。

パントテン酸の副作用について

ニキビや肌荒れに嬉しい効果の多いパントテン酸ですが、だからといって大量に摂取するのは控えたほうがよいでしょう。なぜなら、パントテン酸は下剤にも使用されている成分であり、摂り過ぎると下痢をしたり、腹部の膨満感に悩まされることがあるからです。

とはいえ、パントテン酸は水溶性ビタミンなので、すぐに尿として排出され、身体に蓄積されることはありません。副作用といえるほどの心配はありませんが、サプリメントなどで服用するときは過剰摂取に気をつけましょう。1日あたりの摂取の目安は5~6mgとされています。

また、パントテン酸カルシウムとニコチンアミドを3か月間一緒に投与した実験では、吐き気や食欲不振を訴える人がいたとの報告があります。

パントテン酸を多く含んでいる食品

パントテン酸は非常に多くの食品に含まれているので、日常の食生活の中で摂取していることもあります。特に、含有量が多いのは、以下の食品です。

魚類

ウナギ、イクラ、たらこ、子持ちカレイなど

肉類

レバー、鶏肉など

野菜類

アボカド、カリフラワー、モロヘイヤなど

その他

納豆、卵など

パントテン酸の効果的な摂取方法

調理法に工夫

パントテン酸は、調理によって失われやすい成分です。熱や酸に弱いだけでなく水にも溶けやすいため、茹でてしまうと半分近い成分が失われてしまいます。フルーツやアボカド、刺身、納豆など、生で食べられるものはそのまま食べるようにすると、より効率的に摂ることができます。

カフェインやアルコールの摂取に気をつける

体内のパントテン酸は、カフェインやアルコールをとることによって消費されてしまいます。コーヒーやお酒を飲むが好きな人は、その分パントテン酸をたくさん摂るように心がけることも大切です。

サプリメントで摂るときは

パントテン酸は、サプリメントも市販されています。上で見てきたとおり、さまざまな食品をバランスよく食べていれば十分に摂取が可能な成分ですが、

  • 加工食品ばかり食べている
  • カフェインやアルコールの摂取量が多い
  • 抗生物質を服用している
  • 妊娠中などで不足が心配

などのときはサプリメントを活用するのもよいでしょう。

サプリメントを選ぶときは、なるべく天然由来の原料を使用したもの添加物を極力抑えて製造されているものを選び、用法・用量を守って飲みましょう。日本健康食品規格協会などが定めたGMP基準を満たす製造工場で生産されたものを選ぶと安心です。

肌や肌荒れに効果的なその他の有効成分

パントテン酸のほかにも、ニキビや肌荒れ対策に効果・効能が期待できる有効成分として下記のようなものがあります。合わせて上手に活用しましょう。

まとめ

ニキビや肌荒れへの効果・効能を中心に、パントテン酸の働きを詳しくご紹介しました。パントテン酸は体内の細胞や組織が正常に働くためには欠かせない成分であり、ビタミンCの働きを助ける、ストレスを緩和する、肌のターンオーバーを促すなど、肌にとってもうれしい働きを担っています。

皮脂の過剰分泌を抑えたり、肌のターンオーバーを促すなど肌に嬉しいビタミンというとビタミンCやビタミンA、ビタミンE、ビタミンB2・B6などがあげられますが、パントテン酸も合わせて摂取し、すこやかな肌づくりに役立てましょう。

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