透き通るようなツヤのある肌は、世の女性の憧れです。しかし、それが角質層を削りとってしまってつくられた不自然なツヤであれば、健康な肌とはとても言えません。限度を超えたお手入れによって「ビニール肌」になってしまったら、どのような治療やセルフケアをするべきなのでしょうか。詳しく見ていきます。
ビニール肌とは
過度な摩擦により、表皮の角質がはがれてキメがなくなってしまった状態の肌を、「ビニール肌」と言います。見ためにはツヤツヤなのに、常に乾燥や赤み、ヒリヒリ感などがあることが多いようです。鼻など肌の一部だけがテカテカしているケースもあります。
具体的には、以下のような状態になっているとビニール肌の疑いがあると言えます。
- 肌のキメが見当たらない(ビニールのようになっている)
- 洗顔直後に顔がつっぱる
- 洗顔後、タオルで顔を拭いたすぐ後でもツヤツヤ、テカテカしている
このような肌は感覚が敏感になっていますので、少しの刺激で赤くなったりかゆくなったり、ピリピリとした痛みを感じたりし、やがては赤みやかゆみ、ピリピリが引かなくなってしまいます。また、肌の乾燥が進み、皮脂の過剰分泌や炎症を起こしやすくなっているため、そのままでいると吹き出物や小ジワなどの肌トラブルが起こりやすくなってしまいます。
ビニール肌の原因
ビニール肌は、間違ったスキンケアによって引き起こされます。間違ったスキンケアとは洗顔時に顔を強くこすってしまったり、濃いメイクを長時間落とさなかったり、クレンジングで必要以上に油分を取ってしまったりすることです。
またニキビや肌荒れの原因が古い角質のせいだと考え、ピーリングをしすぎることでビニール肌になってしまうことも多いようです。
実は、ニキビや肌荒れの原因の多くは肌のターンオーバー(新陳代謝)サイクルが早すぎることにあり、古い角質がはがれないことではないのです。
ターンオーバーが早過ぎると角質細胞がしっかり育ちきらず、未熟なままで角層を形成します。同様に角質を落とす分解酵素も十分に分泌されないため、未熟な角質細胞が重なってしまうことになります。
このような状態の角層は、角層自体は薄くても未熟な細胞が重なっているため、ニキビや炎症を起こしてしまうのです。
ビニール肌の皮膚科での治療法
ビニール肌の治療としては、主に「保湿剤」といわれる塗り薬が処方されます。保湿剤は皮膚に水分を与えたり、その水分が逃げないよう肌の表面をコーティングする役割を持っています。
- クリーム製剤(ヒルドイドなどのヘパリン類似物質含有製剤、尿素含有製剤)
- 乳剤性ローション
- 白色ワセリン
保湿剤には以上のような製剤がありますが、それぞれテクスチャ―や使用感が異なるので、症状や季節によって最適なものを選びます。
角質培養でビニール肌を改善する
スキンケアのしすぎにより表皮が薄くなり、肌のバリア機能が低下してしまった肌を回復させる方法として、いわば「角質培養」という考え方があります。角質培養とは、薄くなった角質細胞が成熟するまで余計な刺激を与えず、最低限のケアにとどめるということです。いくつかポイントをご紹介します。
- メイクをしない、もしくは最低限のメイクにとどめる
- 洗顔は刺激の少ない固形石けんを泡立て、やさしく洗う。あるいは、ぬるま湯のみで洗う。
- クレンジングは基本的に使わず、どうしても油汚れが気になる部分にのみ使用
- 紫外線対策は必ず行う。UV効果の高い日焼け止めは肌への負担となるので、なるべく日傘や帽子を活用する。紫外線で発生する活性酸素を抑える、いわゆる飲む日焼け止めといわれるサプリメントを使用する。
"角質培養"はすぐに効果が現れるものではなく、途中で角質や角栓が気になることもありますが、あせらず肌の状態を見守ることが大切です。ですが、途中で肌に不調を感じた場合は皮膚科を受診するようにしましょう。詳しくは、『「角質培養」で丈夫なお肌を作る方法』をご覧ください。
ビニール肌の改善を目指すスキンケア
上記のように、肌のためを思って色々とお手入れをしている人ほどなりやすいのがビニール肌です。よって、これを改善するためにもっとも大切なことは、肌にそれ以上の刺激を与えないことです。
ビニール肌の洗顔方法
まず洗顔やスキンケア、顔を拭く時などは、ゴシゴシとこすらないように注意しましょう。具体的な洗顔方法は以下の通りです。
- 手を清潔にしてから、まずはぬるま湯で顔をすすぐ
- 洗顔料をよく泡立てる。泡立てネットを使ってもよい
- 泡を顔に乗せ、指の腹でクルクルと円を描くようにやさしく洗う
- ぬるま湯で丁寧にすすぐ。すすぎ残しがないよう注意
- 清潔なタオルを顔にあて、水分を吸収させる
目元や口元、頬など、乾燥しやすい部分は泡を乗せる程度に軽く洗顔しましょう。肌に極度の乾燥を感じたり、肌がつっぱるようであれば、ぬるま湯だけの洗顔でも構いません。洗顔後はすみやかに保湿ケアを行いましょう。
ビニール肌の方が気をつけたいスキンケア
石けんや化粧水、クリームなどの肌に塗るものは、防腐剤などの刺激物や添加物が含まれていないものを使うことが大切です。
化粧は薄くとどめましょう。クレンジングオイルは使わず、洗顔後も多少ベトベト感が残るくらいに油分を残すようにしましょう。クレンジング剤が必要ない高品質のミネラルパウダーや、洗顔料だけで落とすことのできるファンデーションを選びましょう。下地クリームはクレンジングが必要なことが多いので落ち着くまでは避けましょう。また、肌が回復するまでは、ピーリングやスクラブ、毛穴ケアなどは一切NGです。
これらを行うだけでもビニール肌は改善していきますし、時間をかければ健康な角層が育ち、水分がありふっくらとしたトラブルの少ない健康な肌に戻すことが可能です。
ビニール肌におすすめの化粧水や乳液
ビニール肌にとって大切なのは「保湿」です。肌のターンオーバーのサイクルが早すぎると、新しい角質が十分に育つ前に先の角質がはがれ落ちてしまい、肌のバリア機能が低下してしまいます。正常なターンオーバーを取り戻すためにも、化粧水や乳液など毎日使うスキンケア化粧品では、配合されている保湿成分に注目してみましょう。
- セラミド…角層の水分保持に大きくかかわる細胞間脂質の主成分。ヒト型セラミド(セラミド2、セラミドAp)がおすすめ
- ヒアルロン酸…保水力が高く、肌の弾力をキープする役割を持つ。ヒアルロン酸Na、加水分解ヒアルロン酸、アセチルヒアルロン酸などと表示されている
配合成分がシンプルな化粧品を選ぶ
また、ビニール肌になっている状態は、通常よりも刺激を受けやすくなっています。そのため、いつも使っていた化粧品でピリピリと刺激を感じてしまう場合があります。その際は、使用をすぐに止め、配合されている成分が少ないシンプルな化粧品に切り替え、肌に刺激を与えないようにしましょう。また、炎症を起こしている肌には、防腐剤や添加剤が負担になる場合も考えられるので、避けるようすることも大切です。
ケアするときもなるべくやさしく触れる
ビニール肌はデリケートな状態なので、化粧水や乳液をつけるときはコットンよりも手で行うことをおすすめします。肌をこすらないよう、やさしくハンドプレスで保湿成分を肌に届けましょう。最後に、保湿クリームなどの油分で肌にフタをするのも忘れないようにしてください。
※ビニール肌のほかにも、肌の赤み・肌荒れが気になるときは『顔の皮膚がヒリヒリ・ピリピリ痛い時の正しいケア方法』をご覧ください。また、赤みが気になるときのスキンケア成分については、『赤ら顔・肌の赤みに効果的な化粧品の選び方』をご参照ください。
まとめ
ビニール肌は、角質をこすり落とすような洗顔や過剰なクレンジング、ピーリングなどのやり過ぎによって引き起こされます。肌に乾燥を感じたり、ヒリヒリするような「敏感肌」はビニール肌の一歩手前の状態ですので、これ以上悪化させないためにも以下のようなことに気をつけましょう。
- 肌の負担となるような洗顔やスキンケアを控える
- セラミドやヒアルロン酸配合の化粧水や乳液で保湿を行う
- 化粧をなるべく控え、クレンジングも最低限にする
なお、ビニール肌の原因は40代中盤くらいまでは間違ったスキンケアによるものがほとんどですが、それ以降の年代になると、真皮層の老化によるダメージも加わってきます。この場合も保湿ケアを行うことが大切ですので、早いうちから対策を行いましょう。詳しくは、『肌老化の原因(3)「皮膚の菲薄化」』をご覧ください。
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