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「角質培養」の効果と成功させる方法

更新日:2017.11.17
公開日:2014.07.01
ドクター画像
この記事の監修者
神谷町皮フ科形成外科 院長 尾山修一

顔に赤みやピリピリ感、ニキビなどのトラブルが現れたら、それは肌が薄くなっているせいかもしれません。肌が薄くなり、角質層のバリア機能が低下した肌を健全に戻す「角質培養」という考え方について、ドクター監修のもとご紹介します。

顔に赤みが出る、かゆい、ピリピリと痛む、ニキビができるなどのトラブルが現れてきたら、それは皮膚が薄くなっているのかもしれません。

実は肌が薄くなってしまう原因は、「スキンケアのしすぎ」が多いのです。肌トラブルを防ごうと頻繁に洗顔し、ピーリングや毛穴パックを多用する方がいますが、これが角質層を薄くする原因になり、逆に肌トラブルを招くことになるのです。

お手入れのしすぎで皮膚が薄くなり、バリア機能が低下してしまった肌の角質層を健全に育てるためには「角質培養」という考え方が重要になります。

角質培養とは

角質培養とは、薄くなった角質細胞が成熟するまで育つように見守り、正常な角質層の厚みを取り戻させることで、肌のバリア機能を正常にすることを言います。

とはいえ、角質培養はネットやブログ、口コミで広がっていった考え方であり、皮膚科学に基づいた方法論が確立されているわけではありません。いままで行っていたスキンケアをほとんどやめ、正常な角質細胞が育つまで皮膚表面に角質をとどまらせることから、「垢ため」とも呼ばれています。

似たような美容法として、角質を削ってしまうクレンジングや洗顔、ピーリングはもちろん、保湿剤も一切やめてしまう「肌断食」があります。いずれも「やりすぎない・与えすぎない」ことを重視して提唱されたスキンケア方法のようです。

角質培養の効果

毎日、ゴシゴシと力を入れて洗顔したり、洗浄力の強いクレンジングで肌の油分を取り過ぎていたり、ニキビや肌荒れの原因を古い角質と考え、ピーリングをしすぎていると、肌のターンオーバー(新陳代謝)サイクルが急かされてしまい、角質細胞がしっかり育ちきらないまま、未熟な角質層を形成してしまいます。これにより、肌のバリア機能が低下して、赤みやかゆみ、ピリピリとした痛みの原因になるのです。

未熟な角質層は、スキンケアでは成熟させることができません。角質培養は毎日のお手入れで肌にかかっていた負担を減らし、肌を休ませることで、内側から正常な角質細胞を育てるとともに、肌が自ら適切な量の皮脂を分泌するなど、自然な保湿力を高めるために効果的とされています。

角質培養のやり方

角質細胞が成熟するまで育てるためには、今まで与えていた刺激を与えないこと、つまり最低限のケアにとどめ、できるだけ肌になにもしないことが大切です。具体的には、化粧、洗顔(クレンジング)、保湿(スキンケア)、環境(紫外線や外気温など)で生じる刺激をできるだけ少なくし、角質が正常に育つまで見守るのです。

化粧、洗顔(クレンジング)

化粧はしないのが理想ですが、そうもいきませんので、目元などにポイントを置いた薄めの化粧にしてください。

洗顔は、手やスポンジなどでゴシゴシこすらないことはもちろんですが、使用する石けん類も刺激物の入っていないものを選ぶようにしましょう。できれば合成界面活性剤を使っていないシンプルに作られた固形石けんで顔を洗うことをおすすめします。まちがってもスクラブ剤の入った洗顔料や、角質をこそぎ落とすピーリングは使用しないようにしましょう。

洗顔料は値段の高い物である必要はなく、自分の肌に合うものを使いましょう。泡立てる時は洗顔ネットなどを使い、キメの細かい泡を立てます。手で皮膚を摩擦しないように注意しますが、泡を皮膚に乗せて流すだけでは不要な皮脂は落とせません。皮膚の上で泡を転がすように動かし、また指の腹を使ってやさしく洗い上げてください。強くこすってしまうとシミの原因になるので注意しましょう。

クレンジングも基本的にはNGです。石けんで落ちる程度の化粧にし、どうしても油が気になる場合だけ部分的に使用するようにしましょう。

角質培養で成熟した角質細胞が揃うと、ターンオーバー(新陳代謝)が正常になり油分や古い角質が肌に留まらなくなるため、ニキビなどの肌トラブルが減ります。

保湿(スキンケア)

肌のために唯一していいことで、しかも必ずしてほしいことがあります。それが、保湿ケアです。

保湿ケアには、保湿能力の高い成分が配合された化粧水や乳液を選ぶとよいでしょう。保湿成分はいろいろとありますが、その中でもセラミドは角質層で水分を保持する機能とバリア機能を担っている保湿成分です。角質培養には欠かせないものですのでおすすめです。

保湿は大切ですが、与えすぎないこともまた重要です。肌が自らうるおう力を育てるためにも、化粧水や乳液は必要最低限にとどめましょう。

環境(紫外線や外気温など)

紫外線対策は必ず行ってください。化粧をするのであれば、SPF(紫外線防御指数)やPA(UV-A防御指数)表示のあるものを選んでみるのもいいでしょう。ただし日焼け止めやその機能のある化粧品であっても、厚塗りは肌への刺激が強いのでNGです。

効果の高い日焼け止めは、それだけ落とすための洗顔やクレンジングが必要になります。できるだけ日傘を差したり帽子を被ったりすることで、対策するようにしてください。

また冬場は外気温と室内の温度の差が激しいので、衣服の着脱をマメにするなどして、できるだけ寒暖差を和らげる努力をしましょう。

規則正しい生活・食生活

スキンケアに手をかけない分、身体の内側からのケアを充実させることも大切です。角質培養中は質のよい睡眠やストレス解消を中心に、規則正しい生活を心がけましょう。また、すこやかな肌づくりの材料となるタンパク質や、新陳代謝を活性化するビタミンA、B群、C、Eやセラミド、α-リノレン酸、亜鉛などを積極的にとり入れるのもおすすめです。

角質培養を続ける期間

角質層培養は1~2か月で完成するものではありません。そのため、この間に肌が気になることも多々あると思います。たとえば、洗顔しても油分をある程度残しますので、角栓ができて気になるというものです。

角質培養を続けてしばらく経過すると、古い角質が溜まったり、角栓が過剰に成長して「モサ」と呼ばれる白っぽいものが肌表面に付着することがあります。単純に見ためが汚いですし、会う人に不快な印象を与えることもありますし、古い皮脂をエサに常在菌が繁殖し、脂漏性湿疹などの肌トラブルに見舞われることもありますので、適度に汚れを落とすことも大切です。

しかし、手洗いや殺菌をし過ぎると手の肌が荒れるように、角栓やいらない角質を取り切ろうとすると必要なものまではがしてしまい、肌にダメージを与えてしまいます。ケアで迷うことがあれば「できるだけなにもしない」という基本を思い出し、しばらく様子を見る習慣をつけてしまいましょう。

もちろん、明らかにおかしいと感じる症状でしたら皮膚科を受診し、医師の指示に従ってください。

まとめ

肌が薄くなったことによる顔の赤みやかゆみ、ピリピリ感を改善する「角質培養」についてご紹介しました。角質培養の基本は「できる限り肌になにもしないこと」です。肌の負担となるメイクや洗顔・クレンジングを見直し、すこやかな肌の再生を促しましょう。

  • 肌の角質を奪うような洗顔・クレンジング・ピーリングを控える
  • セラミドなど保湿成分入りの化粧品で最低限の保湿ケアを行う
  • 紫外線など環境対策にも気をつかう
  • 美肌をつくる生活習慣や食生活を心がける

角質培養の最中は理想の肌にはなれないかもしれませんが、健康な肌を手に入れるための大切な期間です。理想の肌を手に入れるためにも、根気よく取り組みましょう。

なお、皮膚が痛いときにすぐできるケア方法については、『顔の皮膚がヒリヒリ・ピリピリ痛い時の正しいケア方法』をご覧ください。

また、その赤みや肌荒れの原因について詳しく知りたい方は、「菲薄化(ひはくか)」「ビニール肌」の記事をご参照ください。

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