地中海沿岸の国では庭園や墓地などでサイプレスの木がよく見られます。森林の中にいるような透明感のある香りで、アロマテラピーでもよく使用されます。そのすっきりした香りや収れん作用から、男性用化粧品にもよく配合されています。
ヒノキ科のサイプレスの精油
サイプレスはヒノキ科の針葉樹で、学名を「Cupressus sempervirens」と言います。日本では西洋ヒノキやイトスギとも呼ばれます。
サイプレスの精油は、葉と樹果から水蒸気蒸留法で抽出されます。主に、フランスとモロッコ産の精油が流通しています。サイプレスの学名「sempervirens」は「永久に生きる」という意味を持つほど腐朽しにくいため、地中海沿岸の国々では家や船、棺、彫刻、寺院の扉など、さまざまな物に使われてきました。
また、地中海に浮かぶキプロス島では、古来よりサイプレスの木を崇めており、島の名前の由来となっています。
サイプレスの精油の香りは
「サイプレス」という名はあまり聞きなれないと思いますが、その香りはヒノキを思わせ、どことなくなじみ深いものです。香りの立ち上がりが早いのですが、後々まで長持ちし、トップ~ベースノートをカバーしています。
代表的な成分はα-ピネンとδ-3カレン。α-ピネンは森の木々が大気中に発散する「森林揮発性物質(フィトンチッド)」のひとつであり、森林浴の香りともいわれています。δ-3カレンは甘く刺激性のある香りで、鎮咳作用でも知られています。
これらの成分により、ウッディー調のなかにも、すっきりとリフレッシュさせてくれる香りがもたらされます。ややスパイシーな甘さを持ちながら、爽やかさのある香りなので、香水や石けんにもよく利用されます。
サイプレス精油に期待される効果
心身を落ち着かせる効果
サイプレスは心を落ち着かせて浄化する鎮静効果がよく知られています。ホルモンバランスや月経前症候群(PMS)、過多月経、月経不順などを整える効果もあります。高まった心を鎮めたいとき、イライラしているときにおすすめです。鎮咳作用があるので、咳が気になるときにも役立ちます。
収れん作用
また、サイプレスは収れん作用に優れており、血管収縮作用、殺菌消毒作用、体液バランスを整える働きをします。このため、サイプレスの精油を0.5%以下に希釈したオイルやローションを使ってスキンケアをすると毛穴のたるみや皮脂分泌過多、赤ら顔に効果が期待できます。
脂性肌に適しており、すっきりとした使い心地で肌が引き締まる感じがします。ただし、刺激が強めなので濃度には気をつけましょう。
サイプレス精油に期待されるそのほかの効果
サイプレス精油はデオドラント効果も高いため、足のにおいが気になる場合にはサイプレスの精油を垂らして足浴をするとよいでしょう。また、リンパの滞りを改善する作用や利尿作用があると考えられていることから、むくみにも効果を期待できます。
サイプレス精油のおすすめの使い方
むくみ解消のアロマバスやアロマフットバス
サイプレス精油には、前述したようにリンパの滞りを改善し、むくみを解消する効果が期待できます。そのため、入浴時に湯船に5滴ほど入れたり、バケツなどにはったお湯にサイプレス精油を2、3滴たらして足湯をすることで、むくみ解消の効果が期待できます。
なお、アロマバスやアロマフットバスの楽しみ方については『お風呂でアロマ!アロマバスに適したアロマオイルとは?』でくわしく解説しているので、あわせてご覧ください。
芳香浴で風邪による咳を鎮める効果を
芳香浴とは、アロマポットやアロマランプなどを使い、部屋などで香りを楽しむ方法です。お湯を張ったマグカップに精油を加えるといった手軽な方法で香りを楽しむことができます。また、肌に精油が触れないことからブレンドも自由に楽しみやすい方法です。
サイプレスの芳香を吸うことで、咳の症状を抑える効果が期待できます。なお、風邪の感染予防や回復を期待するのであれば、部屋の加湿をできる方法で芳香浴を楽しむのがおすすめです。
サイプレス精油とのブレンドでおすすめの精油
ブレンドして使いたいときに相性がよいのは、フローラル系のラベンダー、柑橘系のグレープフルーツ、レモン、ベルガモット、すっきりと爽やかなローズマリーなどです。同じヒノキ科のジュニパーベリーとのブレンドは、足のむくみやセルライト改善におすすめです。
ただし、肌に合わない場合は使用を中止し、医療機関を受診してください。
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