[目次]
金の糸(ゴールデンリフト)とは?
金の糸(ゴールデンリフト)は、髪の毛ほどの細さの純度の高い純金の糸を、顔や首、手など、たるみや年齢が出やすい部位に埋め込む施術です。
埋め込むのは表皮の下にある真皮層で、糸は格子状に埋め込みます。金の糸と同時に、溶ける糸を補助糸として同時に埋め込むクリニックが多いようです。
金の糸を使った美容法は、古代エジプトのミイラの体内から金の糸が見つかったことがきっかけとなり、1969年フランスで始まったと言われています。
一般的に謳われている金の糸の効果
金の糸(ゴールデンリフト)には、以下のような効果があると言われています。
- 肌にハリが出る
- たるみやシワが改善する
- シミやニキビ跡などが改善する(美白効果)
- たるみによる毛穴の開きが改善する
- 肌全体が若返る
上記のような効果は、金の糸美容法の金の糸周辺の組織が金の糸を埋め込まれたことで傷がつき、お肌が傷を治そうとする「創傷治癒」(そうしょうちゆ)と、異物である金の糸を体外に出そうする「免疫反応」によって実現すると言われています。
皮膚が傷を治そうとしたり、異物を排除しようとする際、免疫細胞の一種であるマクロファージが金の糸周辺に集まります。それによって、真皮層のコラーゲンやエラスチンを生成する「線維芽細胞」が刺激され、コラーゲンやエラスチンが多く作られるようになることで、お肌のハリが増し、たるみなどが改善される、というのが金の糸のメカニズムです。
金の糸(ゴールデンリフト)の料金・費用・価格
クリニックによって価格はまちまちです。基本的に、埋め込む金の糸の量(長さ)によっても金額が異なるので、金の糸を受けようか検討している場合は、使用する糸の量(長さ)や施術内容などを確認するようにしましょう。
金の糸(ゴールデンリフト)の手術時間・ダウンタイム
金の糸の施術時間は、金の糸を入れる量や範囲にもよりますが、消毒や麻酔などを合わせると、顔と首の場合は大体1時間程度が標準的なようです。ただし、術後は腫れを抑えるために冷やしたり、麻酔の影響を考えて休憩を2~3時間取る場合が多いようです。ダウンタイムは、個人差がありますが、軽い内出血は2~3日、目立つ内出血は10~14日ほどで消滅することが多いようです。
金の糸(ゴールデンリフト)は実際のところ、効果はあるのか?
このような金の糸(ゴールデンリフト)による治療ですが、本当に効果があるのでしょうか。また、どのようなメリットやデメリット、注意点があるのでしょうか。
金の糸治療について、「六本木境クリニック 」院長、境隆博先生にお話を伺いました。
境先生は、形成外科医および美容外科医として豊富な経験を持ち、刺青除去手術などにおいて日本で屈指の技術力をお持ちのドクターです。
たるみ治療についても豊富なご経験がおありなので、そのご実績から、金の糸治療をどのように見ているのか、ご意見をお伺いします。
ドクターに聞く!金の糸の効果
Q:金の糸(ゴールデンリフト)は、金の糸を皮膚に埋め込む治療で、たるんだ皮膚を引き上げる治療ではありませんが、たるみへの効果はあるのでしょうか? また、金の糸を埋め込むことで本当に肌が若返るのでしょうか。
境先生:金の糸は、お肌の若返り治療目的で、24金 直径0.1mmの糸を関節以外の皮下に格子状に埋め込む方法です。これによって、金の糸周囲に真皮の線維芽細胞活性化によるコラーゲン線維産生促進が起こると考えられています。
お肌のハリが増したり、小じわが改善したりと言った肌質の効果が主ですが、そういう意味では若返り効果は実感できるのではないでしょうか。
ただし、たるんだ組織を引き上げるリフトアップ効果はほとんどないと思いますので、たるみや、たるみが原因となって発症するほうれい線、ゴルゴライン、マリオネットラインなどが改善されることはないと思います。
同様の治療に、韓国式美容鍼から派生したショッピングスレッドやリードファインリフト、ウルトラVリフトがありますが、効果はこれらの治療に近いと思います。
金の糸のメリット・デメリット・注意点・失敗症例
Q:金の糸の施術が失敗することや、デメリットはないのでしょうか?また、もし副作用や後遺症の危険性など、施術を受ける上での注意点があれば教えてください。
境先生:報告されている後遺症や術後のデメリットとして、まずは金の糸による術後合併症があります。誰でも起こるという訳ではありませんが、ある症例では、金の糸による金属アレルギーで、顔面や頸部が赤くなる、腫れる、金の糸の先が出てきてしまう、というのを、3年弱も繰り返しているとのことです。
この他、アレルギーや異物反応、そして「異物性肉芽腫」などの症例がいくつか報告があるようです。異物肉芽腫とは、体内に長時間存在する異物によって慢性炎症が起こり、その炎症によって生じる腫瘤です。
今まで、金は難溶性で不活性物質であり、金に対するアレルギーはまれであるといった認識から、金に対するパッチテスト(アレルギーテスト)はあまり行われてきませんでした。
しかし、金の装飾品では金表面から汗によって溶け出る金イオンの量が極少量であり、感作成立に必要な抗原量が皮膚から吸収されにくいからです。しかし、金が体内に埋め込まれている状況では常に組織液に浸っており、感作成立に必要な金イオンが溶けだしてしまいます。イオン化した金属はタンパク質と結合して抗原決定基が形成されアレルゲンとなります。
金に対するパッチテストはアジア・ヨーロッパ・北米ともに10%前後と高率という報告があり、金のアレルギーはこれまで考えられてきたよりもずっと高率に起こると最近では言われてきています。金の糸施術前にパッチテストで金アレルギーを認めていなくても、アレルギーは時間とともに起こる可能性があり将来の安全性を保障するものではありません。
しかも、金属イオンと接する機会が多い人ほど金属アレルギーになりやすいとも言われていますので、あるいは金の糸自体を避けた方が良いのかもしれません。
また、金の糸をわざわざ入れるほど美容やアンチエイジングに対する意識の高い方は、金の糸施術後に他の施術を受ける可能性がありますが、受けられる施術が制限されてしまいます。例えば、金の糸が高周波で発熱し、やけどすることを示唆した高周波治療器サーマクールを用いた動物実験の報告があります。
一旦、アレルギーが疑われた時には、その治療として原因物質除去が必要となります。
「何かあったら金の糸を抜けばいい・取り出せばいい」と思うかもしれませんが、金の糸は次第に断片化していくので、摘出は時間の経過と共にどんどん難しくなります。その上、金は体内埋め込まれると、組織液に溶けだして金イオンを拡散し周囲組織の細胞に取り込まれるそうです。
金イオンの毒性についての報告もあり、金の糸施術後の長期経過で人体に対する影響は他にもありそうに思えます。一概には比較できませんが、リウマチの金製剤の治療ではかゆみや蛋白尿・肝障害・口腔内潰瘍などが生じることがあります。幸いリウマチ治療には金製剤にとって替わるような他の良い治療法がありますので、金製剤の使用される頻度・割合は減っています。
そして、幸い「たるみ治療」「リフトアップ治療」にも、この治療にとって替わるような、いやむしろ上回るような良い治療法があります。このようなことを考えると、個人的にはリスクの少ない、他の治療の方をおすすめします。
同様の効果でおすすめの治療法は?
Q:他の治療でおすすめのものがあれば教えてください。
境先生:若返り、という意味でいうと、私の一番おすすめの治療は「スプリングスレッド」です。これは、「糸によるリフトアップ」の一種で、たるんだ組織を糸によって元の位置に移動させます。
物理的に顔のたるみを引き上げると同時に、糸の強力な引き上げ力・引っ張り力による刺激によって、金の糸と同様にコラーゲン産生が増え、ツルッとした若々しい肌質になることも特徴です。
スプリングスレッドの糸は、安全性の高いバイオ素材でできています。50年以上にわたって医療現場で使用されている、生体適合性のある安全性の高い素材を使用しており、これまで有害作用や拒絶反応の報告はありません。
せっかく高いお金を出して糸を入れるのであれば、肌質改善効果がありつつ、物理的な引き上げ効果で治療直後から効果を実感でき、さらに術後の合併症のリスクが低い方を選んだほうがよいと思います。
※糸によるリフトアップ治療について詳しくは『糸を使った切らないリフトアップの種類と効果』、スプリングスレッドについては『スプリングスレッドの効果とデメリット等について』の記事をご覧ください。
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