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病院での頻尿の検査と治療

更新日:2017/06/09 公開日:2014/10/01

頻尿の症状と対処法

頻尿は、軽度の場合はセルフケアで改善できることもありますが、症状が悪化していたり病気に伴う頻尿であったりする場合は泌尿器科での治療を受けることになります。その際、どのような検査や治療が行われるのかをドクター監修のもと解説します。

病院での頻尿の検査と治療

こちらでは、頻尿の症状を訴えて医療機関を受診した場合に行われる検査、治療内容についてまとめています。現在、頻尿に悩んでおり、泌尿器科の受診を検討されている方は参考にしてください。

病院で行われる検査

頻尿、尿意切迫感、尿失禁など、排尿に関する症状をまとめて「下部尿路症状」といいます。病院では、下部尿路症状の疑いがある患者に対して、症状と病歴の聞き取り(問診)、全身的な診察、尿検査(検尿)を実施します。中高齢の男性の場合は、血液検査でPSA(血清前立腺特異抗原)値の測定も行います。また、必要に応じて、排尿記録、残尿測定、尿流検査、質問票による評価、血液検査、尿の顕微鏡検査などを追加していきます[1][2]。

下部尿路症状に対して行われる基本的な検査

・問診

尿の悩みはデリケートな問題であるため、他人に相談しにくく感じることもありますが、いつから、どのような問題が起こっているかをしっかり医師に話すようにしてください。原因を特定するための手掛かりとなる重要なステップです。

・全身的な診察

全身状態や腹部、そけい部や外陰部を見たり体の外から触ったりすることで異常の有無を判断するものです。男性の場合は前立腺を詳しく調べることもあります。女性では婦人科と連携して膣の状況を調べることもあります。

・尿検査

尿検査(検尿)は、尿路の感染症やがん、結石などがあるかどうかを調べるのに有用な検査です。テステープと呼ばれる試験紙を使うと、尿に血や膿が混じっているかどうかを簡単に調べることができます。血が混じっているときは尿路結石や膀胱がんなどを、膿が混じっているときは尿路感染症などを疑います[1]。

必要に応じて行うより詳しい検査

・排尿記録

人によっては、排尿の記録をつけるよう指示されるかもしれません。尿の出方(尿がいつ出たか、どれくらい出たか、失禁をしたか、残尿感はあったか、水をどれくらい飲んだか など)について1~数日間記録します。この記録によって、実際にどのような問題が起きているかを知ることができます。

・残尿検査

残尿検査は、排尿後の膀胱内にどれくらいの尿が残っているかを調べる検査です。超音波(エコー)で痛みなく確認することができます。抗コリン薬を処方してよいかどうかの判断や、神経因性膀胱などの有無、前立腺肥大症の重症度の判定などに用いられます。

・尿流検査

尿流検査は、測定装置に向かって排尿することで、単位時間当たりの排尿量を測定する検査です。膀胱の機能や尿路の閉塞について知ることができ、診断や治療の参考になります。

・血液検査

中高年男性の場合は、採血してPSAの値を測ることがあります。PSA値が正常範囲を超えていた場合には前立腺がんの疑いが出てきます。また、男女ともに、血清クレアチニン値を測ることで腎機能障害の有無を確認することがあります。

頻尿と過活動膀胱の関係

尿が出そうな状態にすぐなる、尿が頻繁に出るという問題がある場合を、「過活動膀胱」と呼びます。過活動膀胱では、尿が溜まる前に膀胱が収縮してしまうため、昼間や夜間の頻尿、急に尿をしたくなる尿意切迫感、尿失禁という「蓄尿症状」が起こってしまうのです。

過活動膀胱の原因は、まだよくわかっていません。加齢やストレスのほか、溜まった尿の量を感知する膀胱のセンサーが過敏になっている可能性や、排尿を司る部分の脳や自律神経の乱れなどが関係していると考えられています[3]。

過活動膀胱と同様の症状が見られる別の病気は、膀胱がんや膀胱結石、間質性膀胱炎、尿路感染症などがあります[4]。多尿による夜間頻尿の原因としては、糖尿病、腎不全、尿崩症(にょうほうしょう)なども考えられます。

頻尿の治療

過活動膀胱の治療

過活動膀胱の治療は、「行動療法」と「薬物療法」が中心となります[4]。

行動療法は、生活指導や膀胱訓練、理学療法などがあります。例えば、生活指導では、水分やカフェインをある程度控えるようにうながしたり、膀胱訓練では、尿をする間隔を少しずつ長くしたりすることで、尿の問題を解決していきます。理学療法では、骨盤底筋群のトレーニングなどを行います。

性別による薬物療法の違い

女性の場合、まず抗コリン薬やβ3受容体作動薬と呼ばれる薬を単独で使うことが多いです。副作用の有無を確認しながら、症状にあわせて増量や変更を検討します。

一方で、男性(特に中高年)では前立腺肥大症が背景にある場合が多く、その治療薬としては「α1アドレナリン受容体遮断薬(α1ブロッカー)」という薬が主に使われています。タムスロシン、ナフトピジル、シロドシンなどが代表的です。これに抗コリン薬もしくはβ3受容体作動薬を併用することが一般的です。前立腺肥大症がない場合は、神経の病気や前立腺炎など、他に原因がある場合があるので、専門医に診てもらうことをお勧めします。

薬物療法で一般的な「抗コリン薬」

過活動膀胱の薬としては、抗コリン薬(抗ムスカリン薬)と呼ばれる薬が最も一般的です[1][2]。 イミダフェナシン、ソリフェナシン、トルテロジンなど、いくつかの種類があります。これらは「ムスカリン受容体」に働きかけて、膀胱を含む多くの臓器の筋肉を収縮させる作用のほか、汗や唾液、胃液などの分泌を抑える作用、心拍数を増やす作用など、幅広い作用を示す薬です。

尿がたまっているとき、通常では膀胱の周りの筋肉(排尿筋)はゆるんでいます。しかし、筋肉が緊張した状態になると、尿がためられなくなり、尿意を感じやすくなってしまいます。抗コリン薬はこの排尿筋をゆるめる働きをするため、蓄尿症状を改善することができます。

ただし、抗コリン薬は幅広い作用を示すがゆえに、副作用が起こる可能性があります。口の中が乾く、便秘などがよく知られています。高齢の方では、めまいや眠気、記憶障害、認知障害、縮瞳(しゅくどう:瞳孔が縮小すること)などにも注意が必要となります。これらが心配な場合は、医師や薬剤師に相談しましょう。

蓄尿機能を高める「β3受容体作動薬」

抗コリン薬に加えて、最近ではβ3受容体作動薬(ミラベグロン)が用いられるようになってきました。β3受容体作動薬は、膀胱にある「β3アドレナリン受容体」を刺激することで排尿筋を緩める働きを示します。抗コリン薬で問題となる副作用が少ない点が注目されていますが、神経因性膀胱への効果が確立されていないなど、臨床データが十分に集まっていないことへの認識が必要です[5]。

男性でよく用いられる「α1ブロッカー」

男性では前立腺肥大症の治療薬としてα1ブロッカーがよく使われます。通常は、尿道の内側にある括約筋(内尿道括約筋)を調節する「α1アドレナリン受容体」のはたらきにより膀胱の出口(尿道の内側)が締められ、尿が膀胱にためられています。しかし、この受容体のはたらきが強すぎると、尿道が閉塞し、尿が出ない原因になってしまいます。αブロッカーには、このはたらきを弱める作用も持ち合わせています。

このほかにも前立腺肥大症の薬の選択肢としては、5α還元酵素阻害薬、PDE5阻害薬、抗アンドロゲン薬などが挙げられます。

参考文献

  1. [1]日本排尿機能学会. "男性下部尿路症状診療ガイドライン" Minds(マインズ)ガイドラインセンター. http://minds.jcqhc.or.jp/n/med/4/med0128/G0000425/0001(参照2017-06-07)
  2. [2]日本排尿機能学会. "女性下部尿路症状診療ガイドライン" Minds(マインズ)ガイドラインセンター. http://minds.jcqhc.or.jp/n/med/4/med0179/G0000653/0001(参照2017-06-07)
  3. [3]日本臨床内科医会. "わかりやすい病気のはなしシリーズ39 過活動膀胱" 日本臨床内科医会. http://www.japha.jp/doc/byoki/039.pdf(参照2017-06-07)
  4. [4]日本排尿機能学会. 過活動膀胱診療ガイドライン 第2版. リッチヒルメディカル 2015
  5. [5]山西友典ほか. 神経因性下部尿路機能障害(神経因性膀胱)の機序と治療の最新知識, 脊髄外科 2013; 27(1): 4-12