スキンケア大学 ヘルスケア大学 メンズスキンケア大学

更年期障害の症状(12)関節痛

更新日:2018/01/17 公開日:2014/12/26

更年期障害の症状

40~50歳代に入ってから、手や足の関節がこわばったり痛みを感じたりしていませんか?もしかしたら更年期障害によるものかもしれません。ここでは、更年期の関節痛について、その原因と対策をご紹介します。

現代の40~50歳代女性は見た目も若々しく、仕事や家庭、趣味などを楽しくこなしている方が多いのではないでしょうか。しかし、なかには体の関節の動きが悪くなり、手や手首、足首などの関節がこわばった感じになったり、痛みが出たりする方もいらっしゃいます。アクティブに生活したいのに、思ったように動けなくなるのは困りものです。「歳をとれば身体の節々が痛くなってくる」とよく言いますし、これは仕方のないことなのでしょうか。それとも何かの病気なのでしょうか。ここでは、ドクター監修のもと、更年期の関節痛について詳しく解説します。

更年期障害の症状に関節痛ってある?

更年期障害とは

更年期は「閉経の前後5年間」と定義されています。閉経年齢は人により異なるので、更年期も人によってまちまちなのですが、日本人の閉経年齢の中央値は50.5歳ですので、多くの人ではだいたい45歳から55歳の間が更年期に相当すると考えられます。

更年期では卵巣の機能が低下することによる女性ホルモン(特にエストロゲン)の減少に加え、加齢にともなう身体の変化、精神的な要因や社会的な要因などが組み合わさって、日常生活に差し障りが出るような不快な症状が起こる場合があります。これを更年期障害と呼んでいます。

更年期障害で起こる症状

更年期障害では、人によってさまざまな症状が起こります。日本産婦人科学会が更年期障害を評価するために作成した表では、実に21種類もの症状がリストアップされています[1]。なかでも多く見られる症状として、顔や上半身がほてって熱くなる(ホットフラッシュ)、腰や手足の冷え、肩や首のこり、疲れやすさ、背中や腰の痛み、イライラ、不安感などが挙げられます。この表の中に「手足の節々(関節)の痛みがある」という項目があり、実際に更年期に関節の痛みが生じることはよくあることです。報告によりまちまちですが、更年期障害の患者の1~2割ほどに関節痛が起きているようです[2][3]。

どうして更年期に関節痛が起こるの?

更年期障害による関節痛は、痛む部位が日によって変わり、特定の関節だけが痛むことはあまり多くないようです。関節痛が起こる理由の一つに、更年期におけるエストロゲン分泌の低下があります。エストロゲンには炎症を抑える作用があり、これが足りなくなることで関節に炎症が起きやすくなり、関節炎を引き起こしてしまうと考えられています[4]。

また、更年期ではむくみやすくなるため、手指のむくみを関節の腫れぼったさのように感じる人もいます。さらに、エストロゲンには保湿作用があるため、更年期にエストロゲンが減少すると皮膚が乾燥しやすくなります。関節部分の皮膚が乾燥することにより、曲げ伸ばしをする際に関節のこわばり感を感じるケースもあります[4]。

更年期障害の関節痛はどうやって治療するの?

ホルモン療法(HRT)のメリット

前述した通り、更年期障害の関節痛はエストロゲンの不足により起こっているので、エストロゲンを補充する「ホルモン療法(HRT)」が治療の一つです。HRTは関節痛のみならず、ホットフラッシュや不眠、膣の乾燥感、記憶力低下、頻尿、イライラなどの精神的な症状などにも効果があるといわれています[5]。さらに、加齢にともなって起こりやすい脂質異常症や骨粗鬆症などにも有効とされており、アンチエイジングとしても期待がもてます[6]。

HRTで使われる薬は飲み薬だけでなく皮膚に貼るタイプや塗るタイプもあり、使い方は閉経や子宮の有無などにより異なります。生活スタイルに合わせて医師と相談して決めましょう。

HRTのデメリット

ただし、HRTにはリスクもあります。子宮がある人の場合、エストロゲンだけを補給すると子宮内膜増殖症や子宮がんのリスクが高まるために、エストロゲンと黄体ホルモンを併用することが必須です。しかし、この黄体ホルモンが乳がんのリスクを高めることが分かっています(エストロゲンが乳がんリスクを高めるかどうかは議論があります)。現在のところ、子宮がある人へのエストロゲン+黄体ホルモン併用療法を5年未満にとどめれば乳がんのリスクは上昇しないという考え方が一般的です。また、5年以上続ける場合も、飲酒や肥満などの他の因子と同程度のリスクか、それより低いと考えられています。

とはいえ、乳がんなどの病気にかかりやすくなってくる年代なので、HRTを始める前には乳がんをはじめとした各種検査を行い、HRTを始めた後も年に1~2回のペースで検査を行うことが求められます[1]。

HRTができない人、慎重に検討する必要がある人

乳がんや子宮がんにかかったことがある人や原因不明の不正性器出血がある人、血管や心臓、脳の病気をしたことがある人などではHRTは行うことができません[1]。漢方薬や自律神経調整剤など別の治療法を検討することになります[5]。また、子宮内膜症や卵巣がんになったことがある人、肥満、糖尿病、高血圧、片頭痛などの病気がある人などでは、HRTをやるかどうか慎重に検討する必要があります。

更年期に関節や骨を守るためのセルフケア

骨や関節によい栄養素

バランスのよい食生活を心がけることが大切ですが、骨や関節の健康を保つためにはカルシウムを積極的に摂取するのがおすすめです。カルシウムが多く含まれる食材には、牛乳、チーズ、小松菜、小魚などがあります。また、ビタミンB群、ビタミンC、ビタミンEを豊富に含む食材を食べると、血行が促進され骨や関節の健康維持に役立ちます。

関節を温める

腰や手足の冷えは更年期障害によくある症状の一つですが、身体が冷えると関節の痛みが悪化します。衣服を重ね着する、カイロを常備するなどして体を温める工夫をしましょう。特に、ひざやひじなどの冷えやすい部分は意識して温めることが大事です。ただし、痛みのある関節が炎症を起こし、熱を持っている場合は、温めず冷やすようにしましょう。

適度に運動する

運動で血行を促進することで関節の動きも改善されます。ウォーキングやラジオ体操などの運動を、軽く汗をかく程度に行いましょう。ただし、張り切りすぎて過度の運動をすることはかえってよくありません。中高年からスポーツを始める方の関節障害が増えていますから、無理をしないことが大切です。

参考文献

  1. [1]日本産科婦人科学会ほか編. 産婦人科診療ガイドライン-婦人科外来編2014
    http://www.jsog.or.jp/activity/pdf/gl_fujinka_2014.pdf(参照2017-11-09)
  2. [2]福島峰子. 女性と自律神経失調症, 産婦治療 1998; 77: 27-31
  3. [3]野末悦子. すてきな人のイキイキ更年期. 主婦の友社, 2003
  4. [4]長嶺隆二. 更年期リウマチは存在するか, 第1回博多リウマチセミナー, 2000
    http://www.hakatara.net/images/no1/1-5.pdf(参照2017-11-09)
  5. [5]若槻明彦. 更年期障害, 日産婦誌 2009; 61(7); 238-242
  6. [6]高松潔. “更年期障害” ガイドライン外来診療2017. 日経メディカル開発, 2017; 224-232
ヘルスケア本