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高血圧の原因(6)妊娠

更新日:2018/01/17 公開日:2014/12/26

高血圧の原因

妊娠している時に妊娠前と比べて血圧が高くなってしまうと、母体だけでなく、胎児にも悪影響を与える可能性があります。ドクター監修のもと、妊娠している時の高血圧症状である「妊娠高血圧症候群」について解説します。

10年ほど前までは、妊娠中期以後に見られる高血圧、たんぱく尿、むくみ、1週間に500g以上の体重増加などの症状を「妊娠中毒症」と呼んでいました。しかし、今ではその呼び名は廃止され、高血圧をともなう症状を「妊娠高血圧症候群」と呼ぶようになりました。これは、日本産科婦人科学会により、2005年4月から採用されたものです。そこに至った経緯と、疾患の症状について解説します。

妊娠に起因する「妊娠高血圧症候群(PIH)」とは?

かつては、妊娠による高血圧やたんぱく尿、むくみなどの症状を「妊娠中毒症」と呼んでいましたが、研究が進むにつれ、たんぱく尿やむくみだけでは胎児への影響はほとんどなく、直接的な影響を与えるのは高血圧をともなう場合ということがわかりました。つまり、血圧さえ正常値であれば、なんらかの異常が見られても、母体や赤ちゃんへの影響は小さいということです。このことを踏まえ、日本産婦人科学会では、高血圧をともなう異常を「妊娠高血圧症候群(PIH)」と呼ぶことに決めました。

日本産科婦人科学会の「妊娠高血圧症候群(PIH)」定義によると、「妊娠20週以降、分娩後12週までに高血圧がみられる場合、または高血圧にたんぱく尿をともなう場合のいずれかで、かつこれらの症状が単なる妊娠の偶発合併症によるものでないもの」となっています。

「妊娠高血圧症候群(PIH)」は、20人に1人の割合で発症するとされ、妊娠32週以降での発症が多いのが特徴です。妊娠32週未満で発症した場合は早発型と呼ばれ、重症化しやすくなるといわれています。重症化すると、母体の症状としては血圧上昇のほかに、たんぱく尿や腎障害、けいれん発作(子癇発作)、肝機能障害などが見られます。

妊娠高血圧症候群の胎児への影響

妊娠高血圧症候群は胎児にも悪影響を及ぼします。重症の場合には子宮や胎盤の血流が悪くなることで、胎児の発育が不良になったり(胎児発育遅延)、胎児が子宮内にいるうちに胎盤がはがれてしまったり(常位胎盤早期剥離:じょういたいばんそうきはくり)、あるいは胎児機能不全(胎児の状態が不安定になる)などが起こることがあります。

「妊娠高血圧症候群(PIH)」になりやすいタイプとは?

持病を持っている方(もともと糖尿病、高血圧、腎臓の病気などを持っている方)や、肥満体型の方、年齢が40歳以上の高齢出産になる方、双子以上の多胎を妊娠している方、出産が初めての方、以前にも妊娠高血圧症候群と診断されたことがある方などは、要注意です。

残念ながら、まだ病気の原因はわかっていませんが、よい環境作りをすることで予防につながるといわれています。疲労やストレスを溜めこまずに睡眠をたくさん取る、無理のない運動をする、リラックスする趣味や時間を持つなどして、心身を健康な状態に保つことが大切です。また、かかりつけの医師を信頼し、適切な周産期管理を受けることも重要です。

「妊娠高血圧症候群(PIH)」の治療法

「妊娠高血圧症候群(PIH)」の治療の基本は妊娠の終了(出産)です。もちろん赤ちゃんが元気に生まれてきてくれないといけないので、妊娠満期(妊娠37週以降)であることが望ましいのはいうまでもありません。妊娠が原因なので妊娠を終了(出産)することで母体の病状は安定するのですが、赤ちゃんも無事に誕生できるようにこちらの成熟も見計らって、そのバランスを見極めてお産にするのです。早産となる時期の場合には、分娩施設の規模や主治医の判断によりその判断は様々となります。すぐに分娩にする場合は、点滴などで分娩誘発をしたり、病状によっては緊急帝王切開が行われることもあります。

胎児が未熟ですぐに分娩にはできないと判断した場合には、「妊娠高血圧症候群(PIH)」の病状を安定させるために様々な治療をおこないます。血圧の状態によっては、自宅治療でよい場合や入院が必要な場合があります。主な治療法を見ていきましょう。

食事療法

基本的に食事の回数は減らさず、医師の指導のもとカロリー制限をしながら体重や血圧コントロールをしていきます。

安静

改善には疲労やストレスを溜めないことが第一であるため、自宅での安静を求められます。改善されない時は、強制入院の指示が出る場合もあります。

薬物療法

食事療法を取り入れたり安静にしていても改善が見られない場合は、胎児への影響がない降圧薬を処方されることがあります。このような処置がとられるのは、薬の投与よりも、高血圧の状態が続く方が母体と胎児にとって危険であるためです。

このように、「妊娠高血圧症候群(PIH)」は、母体の健康と胎児の発育に関わる疾患です。注意が必要な方は、血圧の上昇を防ぐよう、常に意識した生活を送りましょう。

妊娠高血圧症候群の予防法

妊娠高血圧症候群の原因が解明されていない現段階では、いまだ確立された予防法はありません。初期の自覚症状もあまりないため、定期検診をきちんと受診し、適切な周産期管理を受けることがもっとも大切です。とくに上記で述べた妊娠高血圧症候群になりやすいタイプにあてはまっている方は、信頼できる医師をかかりつけにもち、医師と相談しながら無事に妊娠期間を過ごすようにしましょう。

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