世間一般で知られるワセリンの効果といえば、保湿があげられます。そんなワセリンですが、いくつか種類があることや、保湿以外の使い方もあることをご存知でしょうか?
ここでは、実際にワセリンの効果がどれほどあるのかを解説し、あわせてワセリンの意外な用途についても紹介していきます。
油分を補うワセリンの種類
ワセリンとは、原油を原料として生成された油分です。ワセリンと一口に言っても、実は精製度に応じて以下のように種類が分かれます。
黄色ワセリン
ワセリンの中でももっとも精製度の低いワセリンです。
白色ワセリン
黄色ワセリンよりも精製度の高いワセリンです。価格が安く、ごく一般的なワセリンです。身体の大部分の部位で使われることが多いでしょう。
プロペト
白色ワセリンを原料として、さらに精製されたものです。精製度が高いことから、顔などや皮膚のデリケートな部分、目の近くにも使用できます。また、軟膏の基剤として使用される場合もあります。
サンホワイト
ワセリンの中でもっとも純度が高い製品です。肌が敏感な方や、肌が弱い乳幼児といった場合には、プロペトではなくサンホワイトが使用される場合もあります。また、白色ワセリンなどは紫外線に当たると「油焼け」する場合があります。それが気になる方はサンホワイトがよいでしょう。なお、サンホワイトは保険適用外です。
白色ワセリンの効果・効能
人間の皮膚には、外部からの刺激をシャットアウトして皮膚トラブルを防ぐバリア機能が備わっています。そして、そのバリア機能を司っているのが、皮膚のもっとも表面に位置する角質層です。角質層の内部は、水分と油分をサンドイッチ状に重ねたラメラ構造という造りになっており、その構造が外部からの刺激をはね返して皮膚の内側を守っているのです[1]。
しかし、角質層からなんらかの原因で水分保持機能が失われると、乾燥しやすくなり、皮膚本来のバリア機能が低下してしまいます。皮膚を保湿することは、皮膚のバリア機能を維持して、美しく健康な皮膚をキープするためにも最低限必要なことです[1]。
巷で「肌にワセリンを塗るとよい」といわれているのは、保湿によって皮膚のバリア機能を維持するためなのですが、実はワセリンの効果は皮膚表面を覆って角質層からの水分蒸発を防ぐことだけなのです。保湿効果があるのは確かなのですが、残念ながら肌に水分を与えるような効果はありません。ワセリンよりは、角質層の保湿を促す尿素や、肌の奥まで浸透するうえに刺激も少ないヘパリン類似物質のほうが、保湿成分としては優れています[2]。
白色ワセリンの副作用の危険性は?
白色ワセリンは一般的に副作用が少ないといわれていますが、まったくトラブルが起きないわけではありません。白色ワセリンを塗った場合に起こりうる皮膚トラブルとして、かぶれがあげられます。
ワセリンのように鉱物からできた油を皮膚に塗ると「油焼け」を起こし、色素沈着しやすくなるともいわれています。これは、ワセリンに含まれる不純物が油焼けの原因となるからであり、精製度の高い白色ワセリンではその心配は大幅に減っているとみられます。ただし、肌が敏感な方や「油焼け」が気になる場合は、白色ワセリンを塗った箇所に変化がないか観察するとよいでしょう。
白色ワセリンを使ったフェイスケア
ワセリンは、保湿効果には過剰な期待はできないと考えられます。しかし、気軽に使えることからワセリンを使ったフェイスケア方法などもあります。たとえば、マッサージクリームとしてワセリンを使う方法です。
フェイスマッサージを行うとき、肌への摩擦はできるだけ少なくしたいものです。摩擦は肌への負担になり、シミやシワなどの皮膚トラブルを招く場合もあるのです。ワセリンは、マッサージ時に使用することで摩擦を軽減することができます。マッサージクリームとしてワセリンを使用する場合は、少量ずつ手のひらで温めてから使用しましょう。
なお、白色ワセリンが持っている肌をコーティングする特徴から、肌を守る保護膜としての作用を期待して赤ちゃんの顔などに使用する場合もあるようです。
ワセリンの必要に応じた使い方の紹介
保湿成分としてのワセリンは尿素や、ヘパリン類似物質に劣ってしまいますが、保湿以外にもワセリンの活用方法は数多く存在しています。そこで、ワセリンのちょっと変わった使い方について紹介することにしましょう。
化粧下地として使い、外部刺激から守る
ワセリンを化粧下地と使用すると、紫外線などの外部からの刺激を受けにくくなるといわれています。また、ファンデーションをムラなくのせやすくなるともいわれています。ワセリンを化粧下地として使う場合は少量ずつ塗り、ベタつきが気になるときにはティッシュオフしてからファンデーションなどをのせましょう。
メイクの仕上げにハイライトとして使用
メイクした後、鼻筋、頬骨といった部位の艶出しにワセリンを使う方法があります。ラメパウダーのように一部がキラキラするのではなく、全体がナチュラルに艶出しできるのが特徴です。アメリカのメーキャップアーティストが好んで用いる手法のひとつなので、試してみる価値は十分あります。
手作りスクラブ
アメリカなどでは、どのようなものでも自作する方が多くいらっしゃいます。使用済みのコーヒー豆、砂糖、塩などをワセリンと混合することで、ボディスクラブが完成します。コーヒースクラブ、シュガースクラブ、ソルトスクラブなど、好みに合わせて自作してみてはいかがでしょうか。
ピアスの潤滑剤
ピアスをしばらく着けないでいると、穴が塞がってきてしまいます。そのため、久々にピアスをすると、出血してしまうことが珍しくありません。そのような時、潤滑剤としてワセリンを用いると、痛みも少なく、快適にピアスを着けることが可能です。
その他に保湿効果が高いといわれているセラミドが配合された製品のスキンケアの効果について詳しく知りたい方は、「セラミド配合化粧水の選び方」や「セラミド配合美容液の正しい選び方」「セラミド配合美容液の選び方・使い方」をご覧ください。また、乾燥肌用の化粧水選びのポイントや必要な成分について知りたい方は、「乾燥肌の化粧水の選び方」をご覧ください。
まとめ
白色ワセリンの効果は、皮膚表面をコーティングして肌からの水分の蒸発を防ぐことによる保湿効果です。きわめてすぐれた保湿効果が期待できるわけではないものの、副作用が少ないという特徴があります。また、肌の表面をコーティングすることから、化粧下地やハイライトとして使ったり、スクラブやピアスの潤滑剤として使用できるといった医療以外の面で活躍するといわれています。
ただし、副作用が少ないとはいえ、まったくないというわけではありません。白色ワセリンを塗った部分に赤みやかゆみといった変化があった場合には、使用をやめて医師に相談することをおすすめします。
参考文献
- [1]林田清芽/古江増隆. “角層とドライスキン” 美容皮膚科学 改訂2版, 宮地良樹ほか編. 日本美容皮膚科学会監修. 南山堂 2009; 8-19
- [2]浦部晶夫ほか編. 今日の治療薬2017 南江堂.2017. 1041
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