日常的に便秘に悩み下剤を使用している人の中には、下剤なしでは排便ができなくなっているという人がいます。これを「下剤依存症」と言います。依存症になってしまう原因と克服方法について、解説します。
軽度の場合は食事療法で改善する場合も
下剤依存症になるもっとも大きな原因は、長期間におよぶ継続使用です。下剤を使用し続けると腸の働きが弱るので、自らの力では排便が困難になっていき、結果、下剤に頼らざるを得ないという状況に陥ります。しかし、下剤は慣れると効かなくなるので、排便をしたいがために増量を続けることになり、最終的には用量以上の大量の下剤を飲んでも便意が訪れなくなってしまいます。このような状態は、特にアントラキノン系の大腸刺激性下剤を使用している人がなりやすいといわれています。
下剤依存症には段階がありますが、「下剤なしだと便意を感じにくくなった」程度の軽度依存の場合は、食事内容や生活習慣の見直しで改善する可能性があります。まず、腸の機能を回復するために、1日3回、規則正しい食事をするところから始めてください。特に朝は便意をもよおす反射が起こりやすいので、朝食を抜くことは厳禁です。便のもとを作るために、量もしっかり食べましょう。
食事内容も重要です。便を柔らかくする水溶性の食物繊維を積極的に摂るよう心がけてください。便のすべりをよくするオリーブオイルもおすすめです。1日大さじ2杯を目安に摂りましょう。
重度の場合は医師による治療が必要
下剤なしで便意を感じることはなく、下剤なしの自然排便が皆無となった場合は、重度と言えます。用量以上に飲まないと効かない、1か月以上継続して使用しているなどのケースが当てはまります。
こうなってしまうと、自力での改善は困難で、医師の指導のもと、効果的な薬と食事・運動療法などを組み合わせたプログラムを組んで治療する必要があります。治療期間は人によりますが、1~2年かけての治療が一般的です。焦らずじっくりと取り組むようにしてください。
便秘の治療は、肛門科や胃腸内科、消化器内科でできます。また、最近では便秘外来も登場しています。長年便秘で苦しんでいる方、ひどい便秘の方は、専門家がいる便秘外来を受診するのがおすすめです。
便秘外来では、問診・触診のほか、血液検査、腹部X線検査、大腸内視鏡検査などを行う場合もあります。全身状態をチェックしたり、病気が原因の便秘かどうかをチェックするためです。その後、食事・運動のアドバイスや薬の処方が行われます。
下剤依存症に陥ってしまったら、自分で治すことはかなり難しいことです。専門家にアドバイスを仰いで、じっくり確実に治していきましょう。
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