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蓄膿症(慢性副鼻腔炎)は薬で治る?治療方法・期間・費用を解説

更新日:2018/04/13 公開日:2015/07/29

副鼻腔炎(蓄膿症)の症状と治療法

蓄膿症(慢性副鼻腔炎)は、鼻の周りにある副鼻腔という空洞に膿が溜まる病気です。治療は大きく3つあり、組み合わせて行うことで治癒をめざします。ここではドクター監修のもと、蓄膿症の治療方法とその期間、費用などについて解説します。

◎短くポイントをまとめると
蓄膿症の治療は、局所療法、薬物療法、手術療法を組み合わせて行う
薬物療法の目安は3か月ほどで、自覚症状の改善を得られる例が多い
手術は日帰り、もしくは1週間程度の入院で行う

副鼻腔の画像

蓄膿症(ちくのうしょう)は、医学的には「慢性副鼻腔炎」(まんせいふくびくうえん)といいます。鼻の周り(おでこ、目の下あたり)にある副鼻腔という空洞に膿が溜まって、鼻づまり、鼻水、鼻水が喉に流れる(後鼻漏)、咳、嗅覚障害が起こります。前頭部が痛い、頬が痛いと訴える人もいます。このようなつらい症状が、3か月以上続くと慢性副鼻腔炎と診断されます。

ここでは、蓄膿症(慢性副鼻腔炎)の不快な症状を治すための治療方法とその期間、費用などについて詳しく解説します。蓄膿症の症状など他の情報については、『家庭の医学 副鼻腔炎(蓄膿症)』にリストアップされている記事をご覧ください。

蓄膿症の治療方法は?

蓄膿症の診療を専門としているのは、耳鼻咽喉科です。主な治療法は大きく3つに分けられます。

  • 局所療法(鼻処置、ネブライザー、洗浄など)
  • 薬物療法(マクロライド療法など)
  • 手術療法(内視鏡下副鼻腔手術、鼻茸摘出術など)

蓄膿症の治療でめざすこと

蓄膿症では、副鼻腔の換気ができなくなる「悪循環」に陥っているため、その悪循環のどこかを断ち切って、副鼻腔を正常化させるのが治療のポイントになります。そのために、耳鼻咽喉科医は上記の3つの治療法を組み合わせて蓄膿症の治療を行います。

蓄膿症の悪循環って何?

もともと副鼻腔は、鼻の穴(鼻腔)とつながって空気をやりとりする換気排泄口がいくつもあります。普段はこの換気口を通じて副鼻腔内には新鮮な空気が入り、要らないものは外に出してキレイに保つことができます。しかし、細菌などの感染やアレルギーなどにより粘膜が炎症を起こすと、この換気排泄口が閉じてしまいます。そうなると、副鼻腔内の空気が滞り、細菌が増殖しやすくなり、その刺激でさらに炎症が持続して粘膜が腫れて、換気排泄口がさらに塞がる、といった悪循環に陥ってしまいます[1]。

この悪循環を断ち切るための3つの治療方法について、次項から詳しく説明していきます。

蓄膿症の治療方法(1)局所療法

蓄膿症で耳鼻咽喉科にかかると、ほとんどのケースで局所療法が行われます。鼻の中を洗浄して、溜まった膿を吸引します。必要に応じて、針で穴を開けてから洗浄と膿の吸引をするときもあります。蓄膿症では副鼻腔に膿が溜まっているので、それを減らしてあげることが悪循環を断ち切る一つの方法になります。

また、血管収縮薬をシュッと鼻に吹き入れることもあります。これは粘膜の腫れを鎮め、鼻の通りをよくします。その上で、器械につながったチューブを鼻の穴に入れて、鼻から吸って口から吐くように指示されたことがあるかもしれません。これは「ネブライザー」というもので、ステロイド剤などの薬を霧状にする器械です。霧状になった薬が効率的に副鼻腔に届くようになります。

蓄膿症の治療方法(2)薬物療法

蓄膿症でよく行われているのが、マクロライド療法です。これは、マクロライド系抗菌薬(エリスロマイシン、ロキシスロマイシン、クラリスロマイシン)を3か月間ほど内服しつづける治療法です。抗菌薬(抗生物質)なので、本来は細菌を殺すための薬なのですが、マクロライド系抗菌薬には、炎症を起こしている物質や細胞の働きを抑制したり、粘液の分泌を抑えたり、不要なものを体外に出す線毛運動を改善したりする特殊な作用があることがわかっています。これも、副鼻腔炎の悪循環を断ち切るための一つの方法です。上記の局所療法にマクロライド療法を組み合わせると、多くの方は治療がよく効きます[1]。

マクロライド療法の副作用は?

なお、抗菌薬の使用は短期間の場合が多いので、少し心配に思う方もいらっしゃるかもしれません。蓄膿症でのマクロライド療法は1回に飲む量が通常の半分程度ですが、長期にわたるため耐性菌発生の問題がありますので適応は慎重に考えるべきです。その他の副作用としては、数%に肝機能の数値が悪くなったり、吐き気などの胃腸障害が出たりするといわれていますが、多くは軽度で、投与が終わればまた元に戻ります[1]。

マクロライド療法は誰にでも効く?

多くの蓄膿症患者で効果を発揮するマクロライド療法ですが、アレルギーによる炎症が強い人、気管支喘息のある人、鼻腔の閉塞が強い人、大きな鼻ポリープ(鼻茸)がある人などには効きが悪いといわれています。このような場合は、他の薬剤を使用したり、次項の手術療法を行ったりします[1]。

蓄膿症の治療方法(3)手術療法

蓄膿症では、鼻の内視鏡を使った「内視鏡下副鼻腔手術」がよく行われます。これは、鼻の穴から内視鏡を入れて鼻腔内の粘膜を切除して、換気排泄口を作り出す手術です。また、鼻腔の中で大きくなった鼻茸を切り取って、副鼻腔への空気の通り道を作る「鼻茸摘出術」もあります。これらの手術は、状況や病院によって日帰りでできる場合もあれば、1週間ほどの入院期間が必要になる場合もあります。詳しくは『副鼻腔炎(蓄膿症)の手術方法と術後のダウンタイム』をご覧ください。

手術をすると、すぐに治ると思われる方が多いのですが、そうではありません。手術は、治療を行う上で物理的に邪魔になっているものを取り去って、局所療法や薬物療法がより効きやすくなるための土台づくりという位置づけです。手術後はマクロライド療法などをしばらく継続することになります。

蓄膿症でかかる費用は?

ここまでお読みいただいて、蓄膿症の治療は数か月単位でかかるものであるということがご理解いただけたと思います。蓄膿症の治療で費用がどのくらいかかるのかというと、3割負担の場合、平均して24万円程度の自己負担額となるようです。もちろん、治療内容によって医療費は変わりますので、気になる場合は主治医におたずねください。

まとめ

蓄膿症では、副鼻腔の換気ができなくなる悪循環に陥っているために、鼻づまり、鼻水、咳、嗅覚障害、頭痛などの不快な症状が起こります。この悪循環のどこかを断ち切って、副鼻腔を正常化させるために、病院では局所療法、薬物療法、手術療法を組み合わせて行います。蓄膿症の治療は数か月を要しますが、多くの方では治療の効果を得ることができます。耳鼻咽喉科医と相談しながら、治療をすすめていきましょう。

参考文献

  1. [1]洲崎春海. “慢性副鼻腔炎” 耳鼻咽喉科 標準治療のためのガイドライン活用術, 中山書店 2017; 139-143

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