皮膚の良性腫瘍の中で、もっとも発生頻度の高いのが粉瘤です。それだけに、「ただのできもので病院なんて」と、受診を躊躇する人も多いようです。また、悪性ではないため、サイズが小さい場合は、「少し様子を見ましょう」と言われることもあるようです。ここでは、粉瘤の治療のタイミングについて見てみましょう。
粉瘤の放置が原因で炎症を起こす可能性も
粉瘤は身体中のどこにでも現れ、また、原因がはっきりしないことから、誰にでもできる可能性がある皮膚疾患です。ただし、粉瘤の進行の状態には個人差があり、できてから何十年も大きさが変わらず放置したままというケースもあれば、気付いたときにはかなり大きく育っていて、炎症を起こしていたという場合もあります。
このように個人差があるため、放置したらどうなるかについては、人ぞれぞれです。しかし、粉瘤は自然に消滅することはめったにないということが知られています。
粉瘤は、皮膚の下に袋ができ、その中に皮膚から排出された古い角質や皮脂などの老廃物が溜まった状態です。皮膚の上から手で撫でるとクリクリと硬いしこり(腫瘍)になっています。この皮膚の下の袋がなくならない限り、粉瘤が消滅することはありません。
もうひとつの粉瘤の特徴は、粉瘤の中心に、黒ニキビのような黒い小さなかさぶた状の開口部ができることが多いことです。開口部は「ヘソ」と呼ばれ、袋の内部に通じています。開口部から細菌が侵入して炎症を起こすと、赤く腫れてきます。また、中に膿がたまるとますます腫れがひどくなり、強烈な痛みに襲われます。
このように、粉瘤を放置すると最悪の場合、
- 炎症を起こして一気に腫れ上がる
- 耐え難いくらい痛みを感じる
など、慌てて医療機関に駆け込むということにもなりかねません。
炎症や化を膿防ぐために!粉瘤の治療のタイミングとは
粉瘤を根治するためには、手術によって袋ごとキレイに取り除く治療が必要になります。手術は、およそ15~30分ほどで終わる簡単なものですが、粉瘤が大きかったり、炎症を起こして袋が周囲の組織と癒着していたりすると、手術の難易度が上がり時間もかかります。また、傷跡もやや大きめにあることもあるようです。
粉瘤が小さいほど、皮膚の傷も小さくてすみ、最新の医療器具や技術の進歩によって、半年~1年でほとんど傷跡が目立たないような手術も行えるようになってきています。粉瘤が疑われるできものを見つけたら、できる限り早いタイミングで病院を受診し、それが粉瘤であった場合は、大きくなる前に治療を受けるのが望ましいでしょう。
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