「ボトックス注射」というと美容整形のシワ取りに用いられることで有名ですが、多汗症の治療にも有効とされています。では、なぜシワに効くボトックスが多汗症にも効果的なのでしょうか?ボトックス注射の顔汗への効果について詳しくお伝えします。
顔汗を止めるにも効果あり?ボトックス注射とは
ボトックス注射とは「食中毒の原因菌にもなるボツリヌス菌」をつくる、「A型ボツリヌス毒素」を有効成分とした注射です。毒素といわれると、なんだかおそろしい注射のような気もしますが、毒性を取り除いたうえで無害な量だけ使用するので、感染や人体への悪影響はありません。
ボトックス注射には、神経の末端から分泌される「アセチルコリン」という神経伝達物質の分泌を抑制し、筋肉の動きを麻痺させる作用があります。そのため、表情筋の動きを止めて表情ジワを解消するために使われたりもしますが、アセチルコリンには発汗を促す作用もあるので、汗の多い部分に注射をすれば、神経をブロックして汗を減らすことが可能です。
ボトックス注射は狭い部分の多汗症に適しているので、ワキの下や手のひら、足の裏の多汗症治療に用いられることが多いです。顔汗の場合は、額の汗を抑えるために使われるのが一般的です。
ボトックス注射の効果・注意点
ボトックス注射の効果には個人差がありますが、注射後およそ2~3日頃から汗が減るようになり、持続期間は半年ほどとされています。
2012年の11月からワキの下の多汗症には保険が適用されるようになりましたが、顔汗には適用されません。そのため、顔面多汗症の治療に用いる場合は費用が高くつきます。また、注射の際は強い痛みをともなうので、痛いのが苦手な方は局所麻酔をしてもらうなど、医師に相談してみましょう。
ボトックス注射には筋肉を麻痺させる作用があるので、まれにしびれなどの副作用を起こすことがあります。しかし、筋肉と汗腺は深さが違うので、正確な位置に注射をすればそのような副作用は起こらないともいわれています。このようなことから、ボトックス注射を受ける場合は、多汗症治療の経験が豊富で信頼できるクリニックを探すことをおすすめします。
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