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咳をすると腹筋が痛む!その原因と対処法

更新日:2018/06/06 公開日:2015/06/29

腹筋に関する疑問・質問

激しい咳が続いた後に、お腹や胸が筋肉痛になったことはありませんか。咳をするたびに痛むのはつらいものです。なぜ咳をすると腹筋が痛くなるのでしょうか?ここでは、咳によって腹筋が痛くなる理由とつらい時の対処法をご紹介します。

◎短くポイントをまとめると
咳をするたびに胸や腹などの筋肉が肺をぎゅっと押し縮めている
咳が続くと筋肉にダメージが蓄積して炎症が起こり、筋肉痛が引き起こされる
筋肉痛は放っておいても治る。痛み始めは冷やし、痛みが軽減してきたら温めて回復を促す
一番の対策は咳が出ないようにすること。咳が2週間以上続くようなら病院へ

咳がつづいて辛い女性の写真

咳をすると腹筋が痛くなるのはなぜ

咳をすると腹筋が痛くなる理由は、咳をするたびに胸や腹などの筋肉が肺をぎゅっと押し縮める動きが必要になるからです。どういうことなのか、詳しく説明していきます。

咳を1回すると2kcalを消費する!?

一般的に、咳を1回すると2kcalを消費するといわれています。2kcalと言われてもなかなかピンときませんが、例えば10回咳をするといちご2粒くらい、100回咳をするとシュークリーム1個くらいに相当するエネルギーが消費されることになります。また、身体活動と比較すると、10回咳をするのは3分ランニングをするのと同じくらいの運動量です。こう聞くと、咳は身体にかなり負担のかかる行為であることがわかります。

咳が出るメカニズム

では、なぜ咳をするとそんなにエネルギーを消費してしまうのでしょうか。それは、咳をするときの身体のメカニズムが関係しています。

例えば、空気が入って膨らんだゴム風船を持っているとしましょう。そこから空気をなるべく早く出すためにはどうすればいいでしょうか?(ただし風船を割ってはいけません)――多くの人は、ゴム風船の口を開けて、風船の周りから手で押すなどして圧力をかける方法を選ぶのではないでしょうか。強く押せば押すほど、風船の口から多くの空気が勢いよく出て、早くしぼませることができます。

このことと、呼吸のメカニズムは非常によく似ています。下のイラストを見てください。これは息を吸うときと吐くときの肺の動きを簡単に示したものです。

呼吸時の肺と横隔膜・胸壁の関係

息を吸うときは、胸が前に拡がり、肺の下にある横隔膜が下がって、胸の中(胸腔)の体積が大きくなります。このため、胸の中に新鮮な空気をたっぷり吸い込むことができるのです。逆に息を吐くときは、胸がへこみ、横隔膜が上がって、胸腔の体積が少なくなります。こうして、身体の中から空気が出ていくのです。

人間の身体は、ゴム風船から空気を抜くときと同じようなことを、腹や胸の筋肉を使って行っているということです。

咳をするにはかなりの力が必要

咳とは、気道粘膜に何らかの刺激があって、その原因となっている異物や痰などを体の外に出そうとして起こる生体反応です。そのため、咳は、通常の吐く息よりもずっと強く、早く、肺から外へと空気を押し出す必要があります。

先ほどのゴム風船の例では、口を開けて風船に圧力をかける方法をあげましたが、もっと強く空気を出すためにはどうしたらいいでしょうか?(ここでも風船を割るのはNGです)――その方法は、風船の口を閉じたままで風船本体に圧力をかけ、その状態で一気に口を開けることです。そうすれば、空気はより強く外へ流れていきます。

身体の場合、風船の口に相当するのは喉にある声帯です。声帯を閉じて空気が口や鼻から出ないようにして、胸がへこみ、横隔膜が上がって、胸腔内の空気をぎゅっと圧縮します。そのうえで、一気に声帯を開けば、そこから勢いよく空気が出ていきます。これが咳の出るメカニズムです。

ただし、ゴム風船の口を閉じて周りから圧力をかけるのは、かなり力のいる作業です。咳を出す場合も、胸腔内に圧力をかけるには相当の力が必要です。咳をするたびに大胸筋、肋間筋、横隔膜、腹横筋などに負担がかかります。咳が続くと筋肉にダメージが蓄積し、炎症が起こります。そこから痛みの原因となる物質(ブラジキニンやプロスタグランジンなど)が発生し、脳への信号となって痛みを感じるようになります。

咳で肋骨骨折するケースも

このように、咳というのは身体にとって大きな負担になります。特に骨粗鬆症こつそしょうしょうのあるお年寄りでは、咳をした衝撃で肋骨が折れてしまうというのは珍しい話ではありません。たかが咳だと思わずに、長引くようなら咳への対策を講じる必要があります。

咳によって腹筋が痛いときの対処法

最後に、咳で腹筋が痛い場合、どのように対処したらよいのかをお伝えします。

筋肉痛は、放っておいても時間と共に治ります。しかし、痛みがつらく、日常生活に支障をきたすほどの場合には、運動による筋肉痛と同様の対処を行いましょう。痛み始めは、炎症を抑えるために患部を冷やしましょう。痛みが軽減してきたら温め、血行を良くすることで回復を促します。湿布や温(冷)タオルを活用し、適度なマッサージで痛みを和らげてください。

一番の対策は「咳が出ないようにすること」です。風邪かぜなどによる咳の場合は、1~2週間で自然に止まることが多いですが、治るまではマスクなどで保湿して気道への刺激をブロックしましょう。薬局やドラッグストアで売っている咳止めの薬を使ってもいいでしょう。

ただし、咳が2週間を超えて続くようなら、ただの風邪ではなく、喘息や気管支炎、百日咳などの呼吸器の病気や、アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎といった鼻の病気、胃食道逆流症(GERD)などの消化器の病気である可能性があります。この場合は、お近くの内科や呼吸器科を受診することをおすすめします。

参考文献

  1. ・独立行政法人国立病院機構刀根山病院リハビリテーション科. 神経・筋疾患患者さまへの呼吸理学療法
  2. https://www.jmda.or.jp/4/4-pdf/reha-06.pdf (参照2018/06/06
  3. ・田中裕士. 止まらない“せき”の診かた. 南江堂 2016; 8-9

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