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インプラントの安全性と治療に適した年齢・時期について

更新日:2018/02/14 公開日:2015/10/20

インプラントの基礎知識

歯科インプラントの治療は、絶対に安全とは言いきれません。では、どのようなリスクがあるのでしょうか。ここでは、インプラント治療を受ける前に知っておきたいインプラントの安全性について、ドクター監修のもと詳しく解説します。

自然な仕上がりと、しっかりした噛み心地を得られる歯科インプラント治療。しかし、安全性について、少なからず不安や疑問を抱えている方は多いのではないでしょうか。

そこで今回は、インプラントの安全性や適切な治療年齢、インプラントの寿命などについて解説していきます。

インプラントは安全?

インプラント治療は、あごの骨を削り、人工歯根(インプラント体)という金属のネジを埋め込むという手術が行われます。

使われる人工歯根は、整形外科での骨折の治療などにも使用される純チタンあるいはチタン合金で作られており、アレルギーなどが起こりづらく、体にも調和しやすいとされています。

また、インプラント治療を行う際は、通常局部麻酔が使われるため、手術中に痛みを感じることはほぼなく、笑気麻酔・静脈内鎮静法などを併用することで、術中の不快症状を軽減することが可能です。

インプラント治療を安全に進めるためには清潔・不潔領域の管理・滅菌環境の整備も手術時の重要な要素となります。

しかし、やはり手術ですから、当然100%安全であると断言することはできません。

歯科用CT撮影などを含めた、全顎的な事前の検査が十分に行われていない、患者の健康状態の確認がきちんとされていないなど、適切な施術が行われなかった場合は、再手術が必要になることもあります。術前に、担当医師と十分相談しましょう。

インプラントのリスク

前述したように、インプラント治療は手術なので、リスクがともないます。手術中血管に傷がつき、大量に出血するケースや、術後の唇の神経麻痺、副鼻腔炎(鼻水、鼻づまりなど)が発症するケースもあります。

現在インプラント手術を行う場合、インプラント埋入本数、手術の難易度にかかわらず歯科用CT撮影を行うことでインプラント埋入部位のより正確で精密な診断や、術前のシミュレーションが可能となり、インプラント手術後合併症のリスクを軽減することができます。

また、材料であるチタンは高い安全性が認められていますが、まれにアレルギー反応が出る方もいます。アレルギーに不安がある方は、前もって大学病院や一部の皮膚科などでアレルギーテストを受けるなどでリスクを未然に回避できます。

※インプラントのリスクについては、『インプラントをする前に知っておきたいリスク・危険性について』で詳しく解説しています。

インプラントの失敗例

インプラントの脱落

歯周炎が起こるメカニズムと同じように、インプラントの周囲にプラークという細菌の塊がついて炎症を引き起こし、「インプラント周囲炎」を発症する場合があります。インプラント周囲炎が進行すると、インプラントの周囲の骨が破壊吸収(骨吸収)され、インプラントが脱落しやすくなります。

血管や神経の損傷など、外科手術の失敗

手術中に神経を傷つけてしまうと、麻痺や感覚異常が現れます。また、あご周辺にある動静脈の損傷は、大量の出血を引き起こします。歯科用CTの応用により、インプラント埋入部位の精査やシミュレーションを行うことで、多くの場合で神経損傷・血管の損傷を未然に防ぐことが可能になっています。担当医師から事前にインプラント治療のリスクにおいて説明を受けることも大切です。

※インプラントの失敗例については、『インプラント治療が失敗する理由とは』で詳しく解説しています。

インプラント治療の失敗を防ぐためには

信頼できる歯科医師を選ぶこと

インプラントで失敗しないためには、まず信頼できる歯科医師を選ぶことが重要です。医院の都合ではなく患者に合った治療計画を立ててくれること、治療のメリットやデメリットについて患者が納得するまできちんと説明してくれること、そして問診や事前検査を綿密に丁寧に行ってくれるかどうかを、しっかり確認しましょう。納得がいかなければ、セカンドオピニオン(自由診療)として複数の医院に相談してもよいかもしれません。

また、インプラント治療は、医師の技術や経験、医院の設備などの違いによって受けられる治療の質や幅が変わってきます。中には、1本あたり十数万円で治療するような歯科医院もありますが、安いからという理由だけで歯科医院を選ばないことも大切です。

治療後のセルフケアをおこたらないこと

歯科医師にすべてを任せるのではなく、治療後のセルフケアもしっかり行うことが、インプラント治療を成功させるうえで大切です。きちんとケアを行わないと、歯茎の腫れや出血、ひいてはインプラントの脱落をも招くインプラント周囲炎を発症することもあります。

術後は完治するまで特に注意が必要

歯肉を切開してあごの骨を削るほどの手術ですから、術後の経過を慎重に見ることも大切です。

術後2~3日は強いうがいを控える、硬い食べ物や刺激(辛い、酸味など)のある食べ物を避ける、手術か所や腫れ・痛みのある場所を舌や指で触らないなど、異物の侵入により炎症を起こさないよう注意しましょう。

もしわからないことがあれば、ご自身で判断せず担当医院に直接問い合わせてみましょう。

※インプラントの術後の注意点は、『インプラントの術後の経過と注意点』で詳しく解説しています。

インプラントに適した年齢

安全にインプラント治療を受けるためには、適正とされる年齢の範囲に受けることも大切です。

20歳以降が適切

インプラント治療を受けることができるのは、あごの骨の成長がほぼ完了する年齢以降(個人差はあるが一般的に20~23歳以降)とされています。これは、骨の成長が完了していないのにインプラントを装着した場合、その部分だけ骨の成長が止まってしまうことが学会でも報告されているためです。ただし、20歳以下の場合は、まだあごの骨が成長し続けていることもあるため、避けることが一般的です。あごの骨の成長が止まる時期は個人差があるので、20歳前後、またはそれ以下の方の場合は、歯科医の診断を受け、治療開始時期を相談するとよいでしょう。

上限に関しては特に定められておらず、インプラント手術の負担に耐えることができれば、80歳でも100歳でも治療を受けることは可能です。

80歳以上の方は避けた方が無難かもしれません

インプラント治療を受ける年齢に上限はないものの、80歳以上の方はインプラントを避けた方が無難と言えるかもしれません。インプラントは、人工歯根をあごの骨に埋め込むために、歯茎を切ってあごの骨を削らなければなりません。代謝が低下し、治癒能力の低下が起こりやすくなる80歳以上の方の場合、治療後になんらかのトラブルが起こる可能性が高くなります。また、高血圧や糖尿病、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)、脳硬塞(のうこうそく)などを抱えている方も、インプラントの使用は適切ではありません。

ただし、年齢で区切るよりも実際にその方の体調、全身状態、インプラント治療が終わったあと、ご自身できちんとセルフケアを行うことができるか、メインテナンスのために定期的に通院することが可能かどうか、埋入本数・設計が正しいのかどうか、など様々な視点から考慮する必要があります。

インプラントの寿命は

一般的に、インプラントは寿命が長いことから「第二の永久歯」とも呼ばれています。その寿命は、適切なメインテナンスを受ければ10年以上ともいわれています。しかし、不十分なメインテナンスがインプラント周囲炎を招くこともあります。定期的な通院・メインテナンスを受けること、歯科医に指導されたセルフケアをきちんと行うこと、食生活の乱れを防ぐことなどで、長くインプラントを使えるよう努めましょう。

※インプラントの寿命について、詳しくは『インプラントの寿命はどれくらい?』で解説しています。

もしも失敗したら……

2006年から2011年の5年間で、2,000件を超えるインプラント治療に関する相談が国民生活センターに寄せられたという報告があります[1]。治療費の返金に応じる医院もあれば、再治療を無償で行う医院もあり、対応はさまざまです。インプラント治療を受ける前、担当の先生にインプラント手術の難易度、失敗のリスクと、それに対する対応をよくご相談ください。

※インプラントの治療費返金・慰謝料請求などについては、『インプラントの失敗による治療費返金・慰謝料の請求はできる?』で詳しく解説しています。

インプラントと長く付き合おう

インプラントと長く付き合うために、あなたに合った歯科医院を見つけ、十分に納得したうえで適切な施術を受けるようにしましょう。また、適切なセルフケアも重要であることを覚えておきましょう。

参考文献

  1. [1]国民生活センター. "歯科インプラント治療に係る問題-身体的トラブルを中心に- " 国民生活センター.
    http://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20111222_2.pdf(参照2018-02-14)

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