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糖尿病がもたらす合併症(3)糖尿病腎症

更新日:2016/12/15 公開日:2015/09/28

糖尿病がもたらす合併症

糖尿病で高血糖状態が続くと、合併症として糖尿病腎症になることがあります。腎臓のろ過機能が衰えることで発症する病気です。ドクター監修のもと、糖尿病腎症がどのような病気なのかについて詳しく解説します。

糖尿病腎症は、糖尿病の3大合併症の1つとされる病気で、一般的に高血糖状態が10~15年ほど続くと発症するといわれています。糖尿病腎症とはどのような病気なのか、詳しく解説します。

腎臓の働き

腎臓は、全身をめぐって汚れた血液をろ過し、不要な老廃物や余分な塩分・水分を尿として排泄する器官です。ろ過機能を果たしているのは、腎臓内にある「糸球体(しきゅうたい)」という組織。糸球体は、毛細血管が球状に密集してできた毛糸玉のような形をしており、左右の腎臓の中に、それぞれ100万個くらいあります。

糸球体の膜はフィルターのような役割をしており、水分や分子の小さな成分(ミネラルなどの電解質や老廃物)だけを通して、タンパク質や赤血球、白血球など、分子の大きな成分は通しません。そのため、分子の大きな成分は血液中に残され、分子の小さな物質や水分だけが、糸球体の外にある「尿細管(にょうさいかん)」という部分に流れ込みます。

こうしてろ過された液体の「原尿」には、体に必要な栄養素や水分がまだ残っています。そのため、尿細管を通過する間に必要な栄養素と水分は再吸収されて血液に戻され、不要な物質だけが尿として排泄されます。

糖尿病腎症とは

血液中に増えすぎたブドウ糖によって糸球体が障害され、ろ過機能が次第に衰えていく病気を、「糖尿病腎症」と言います。初期の段階では自覚症状がほとんどありませんが、ろ過機能が衰えると老廃物や余分な塩分・水分が排泄されずに体内に溜まったり、体に必要なタンパク質などが尿と一緒に排泄されてしまいます。その状態を放っておくと腎機能がさらに低下し、正常の5~10%まで低下すると、体に溜まった老廃物などを人工的に取り除く「透析療法」が必要になってしまいます。

厚生労働省の調査によると、糖尿病の治療を受けている人の15.2%に糖尿病腎症が見られるとされます。また、透析療法を受けている人は、全国に約31万人いるとのデータがありますが(2013年時点)、そのうちの38%が糖尿病腎症によるもので、これは透析導入原因のトップを占めるそうです。

糖尿病腎症の進行過程

糖尿病腎症は、進行の程度によって第1~第5期に分類することができます。

第1期(腎症前期)

早期の腎臓の異常を発見できる「微量アルブミン尿検査」、腎機能の指標である「糸球体ろ過量(GFR/eGFR)」ともに問題のない数値で、自覚症状もありません。ただし、腎臓の組織を採取して精密検査を行うと、異常が見つかることがあります。

第2期(早期腎症期)

糸球体ろ過量は正常ですが、微量アルブミン尿検査を行うと、タンパク質の1種である「アルブミン」がごくわずかながら基準値を超えて検出されます。この段階でも、まず自覚症状はありません。

第3期(顕性腎症期)

通常の尿検査でも、尿中に基準値を超える「たんぱく」が出るようになります。また、糸球体ろ過量の低下が見られることもあります。この段階まで来ると、ろ過機能が低下して体内の水分を十分に排泄できなくなるので、手足のむくみや疲れやすさなどの自覚症状が現れるようになります。

第4期(腎不全期)

腎機能が正常の30%よりも低下している段階で、糸球体ろ過量の結果が30未満であれば、尿検査の結果に関係なく「第4期」と判定されます。自覚症状として、全身のむくみや貧血、だるさ、顔色の悪さ、手足のしびれ、動悸、息切れ、吐き気などが現れます。また、体内に溜まった水分やカリウムが心臓に負担をかけたり、尿毒症を起こす可能性も高まります。

第5期(透析療法期)

糸球体のろ過機能がほとんど失われている段階のため、生命を維持するために透析療法の導入が必要になります。

このうち、治療で確実に進行を止められるのは第2期までといわれており、第3期以降になると、治療の目的が進行を少しでも遅らせることに移行します。そのため、糖尿病腎症は早期発見・早期治療がとても重要とされています。

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