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主な不妊症の原因(女性の器質性不妊編)

更新日:2017/03/17 公開日:2015/09/29

不妊・不妊症

不妊症といってもさまざまなものがあり、検査によって原因がわかるものを「器質性不妊」と言います。器質性の原因にはどのようなものがあるのでしょうか?ドクター監修のもと、不妊の原因となる疾患・病気について解説します。

不妊症は、検査によって原因が明らかで対症ができる「器質性不妊」と、原因がわからない「機能性不妊」に大別できます。ここでは、器質性不妊について解説します。

検査でわかる不妊の原因

妊娠は、排卵→受精→分割→着床という流れを経て成立します。このプロセスのどこかに問題があり、妊娠できなくなっている状態を「器質性不妊」と言います。明らかな疾患があるため、検査によって原因を特定できる不妊症です。

器質性不妊は体のどの部位に原因があるかによって、主に「排卵因子」「卵管因子」「子宮因子」「子宮頸管因子」の4タイプに分けられます。

排卵因子の主な種類

卵胞が育たない、育っても排出できないなど、排卵が正常に行われないことが原因となる不妊症で、不妊のおよそ10%を占めています。疾患には、主に以下のものがあります。

  • 視床下部性排卵障害
  • ストレスなどの影響で視床下部や下垂体からのホルモン分泌が正常に行われなくなり、無排卵などの障害が起こることがあります。

  • PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)
  • 卵巣の表面に、直径5mmほどの卵胞が複数できる病気です。卵胞はこれ以上成長することがなく、また、男性ホルモンの一種である「アンドロゲン」が増加することで卵巣表面の膜も厚くなり、排卵がうまくできなくなります。これにより、無排卵月経などの異常が起こります。肥満などが原因といわれていますが、はっきりしたことはまだ明らかになっていません。

  • 高プロラクチン血症
  • プロラクチンとは、脳下垂体から分泌される乳汁分泌ホルモンです。本来であれば分娩後の授乳時に大量に分泌されるものが、妊娠前でも過剰に分泌される疾患を、「高プラクチン血症」と言います。プラクチンには排卵や月経を止める働きもあるため、過剰に分泌されると黄体機能不全や無排卵、無月経などが引き起こされます。女性だけでなく男性にも分泌されているホルモンで、過剰に分泌されると女性と同様、男性不妊の原因にもなります。

  • 黄体化未破裂卵胞症候群
  • 成熟した卵胞が破裂しないまま黄体化してしまう疾患です。基礎体温上では低体温と高体温がしっかり2相になっており、きちんと排卵が起きているように見えますが、実際には排卵は起きていません。1回だけなど、単発で起こる場合もありますが、くり返す場合は子宮内膜症の合併も考えられ、体外受精の適応となります。

卵管因子の主な種類

精子の移送や受精卵の発育・移送を行う卵管になんらかのトラブルがあることで起こる不妊症です。不妊のおよそ30%を占め、器質性不妊の代表的な症状とされています。主な疾患には、以下のものがあります。

  • 細菌感染
  • 膣から入り込んだ細菌が子宮頸管と子宮腔を経て卵管に到達する、上行性感染によるものが多いです。原因菌としては、大腸菌、溶連菌のほか、梅毒、淋菌、クラミジアなど、性交渉が原因となり感染するものもあります。卵管因子による不妊の多くは、この細菌感染によるものとされています。

  • 卵管閉鎖、卵管狭窄
  • 卵管が狭くなったり塞がることで、精子・卵子の移送ができなくなる障害です。

  • 卵管采周囲癒着
  • 卵管采(卵管の先端部分)の周囲が癒着していることで、卵管采の動きが鈍くなって受精卵の捕獲がうまくできなくなっている状態です。

  • 卵管内膜障害
  • 卵管の内膜にトラブルが起こることで、胚(はい:多細胞生物において、ごく初期段階の個体)の発育や移送が妨げられている状態です。

  • ピックアップ障害
  • 卵子のピックアップができなくなることで、妊娠できなくなる障害です。卵管采がほとんどない、あるいは小さい、卵管采の真ん中にあるはずの卵管口が縁にある、開口部が卵管采以外の部位にある、などが主な原因となります。

子宮因子の主な種類

子宮にトラブルがあると、受精卵がうまく着床できなかったり、着床しても維持できなくなることで不妊につながります。主な疾患には、以下のものがあります。

  • 子宮筋腫
  • 子宮の筋肉にできる良性腫瘍のことです。発生部位によって筋層(壁)内筋腫、しょう膜下筋腫、粘膜下筋腫に分かれますが、このうち、不妊症の大きな原因となるのは粘膜下筋腫です。

  • 先天性子宮奇形
  • 生まれつき子宮が変わった形をしている疾患で、不妊や流産の原因となります。さまざまな形がありますが、症状によっては手術での治療も可能です。

  • 子宮内膜ポリープ
  • 子宮内膜の一部が直立した茎のように発育し、コブのようなものができてしまう疾患です。子宮鏡検査を受けることでポリープが発見されることがあります。

  • 子宮内腔癒着症
  • 子宮の内膜が炎症を起こし、癒着してしまった状態です。人工妊娠中絶や流産などの手術後に発生することがあります。癒着がひどくなると、月経時の出血量が少なくなります。

子宮頸管因子の主な種類

子宮頸管は子宮の入り口にあり、膣と子宮腔をつなぐ部分です。ここにトラブルが起こっても、不妊の原因となります。主な疾患には、以下のものがあります。

  • 頸管粘液不全
  • 頸管粘液とは、いわゆる「おりもの」のことです。頸管粘液不全とは、おりものが十分に分泌されなくなる状態のこと。おりものには精子を子宮内に入りやすくする役割があるので、分泌が不十分であると精子が侵入しにくくなり、妊娠しにくくなります。

  • 抗精子抗体
  • 体が精子を異物と勘違いし、抗体をつくってしまう状態を言います。検査により陽性となると、人工授精や体外受精が必要になることもあります。

子宮内膜症が原因の可能性も

子宮内膜症も、不妊症の原因のひとつと考えられています。子宮内膜症とは、子宮内腔にあるはずの子宮内膜が、骨盤や腹膜、卵巣などに入り込んでしまっている症状です。症状の程度やできた部位によっては排卵が起こらなくなったり、卵子のピックアップができなくなることがあります。事実、不妊症で悩む人の3人に1人が子宮内膜症を抱えていたとの報告もあります。なぜこのような現象が起こるのかについては、まだはっきりしたことがわかっていません。

卵巣にできたものは「チョコレート嚢腫(のうしゅ)」、子宮の筋肉部分にできたものは「子宮腺筋症(内性子宮内膜症)」、子宮以外の臓器にできたものは「外性子宮内膜症」と呼びます。

不妊症にならないために日常生活で注意すること

前述した妊娠のプロセスの中で、排卵→受精の部分は加齢により、卵子の元となる原始卵胞の数が減少していき、精子と結びつき、妊娠するだけの力を持った原始卵胞が不足して、排卵できないというケースもあります、加齢とともに卵子の質の低下は免れませんが、日頃のストレスや栄養不足などが続くと、卵巣の機能低下をまねいてしまいます。栄養バランスのとれた食事をこころがけ、排卵機能を正常に保つために運動を習慣化するなど、身の回りから改善していくことで、卵子の質を維持していくことが、大事になってきます。

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